「心を読むコンピュータ」という新発想。
音声の抑揚から、コンピュータが人の感情を6種類に判断、適切な対処方法を導き出す「ST(感性制御技術)」を生み出し、ソフトとして市場投入したのが、エイ・ジー・アイ。そのイメージを想像し、具現化したのが光吉俊二代表取締役である。
「人とコンピュータとの溝を埋める」新たなインターフェイスとして、家電、ロボット、受付システムなど、利用範囲は計り知れないとか。日本SGIと業務提携を果たし、将来的には世界に打って出る。
「コンピュータの世界しか知らない奴らには、STは思いつかなかったでしょうね」
光吉氏の経歴は実に多彩。「感性の欠如を感じて」美術大学を志願。彫刻家としてモノづくりに没頭した。彫刻家の傍ら、専門学校講師を務め、その間、美術だけでなく、建築、量子力学、心理学などの知識を詰め込んできた。コンピュータサイエンスやCGなど、コンピュータ関連の知識は30歳を迎えてから。とにかく貪欲。身に付けた学問は、すべて独学だ。
「1週間で辞書を一冊丸暗記してた。馬鹿で不器用だからできたんでしょうね」
彫刻制作と幼少の頃から続ける空手が、自分に忍耐力をもたらしたという。
興奮混じりに、STの魅力を語る表情には、浸透させるための情熱と生みの苦しみ、そして楽しさが滲む。
「日本のIT業界には、斬新な発想がまったくない。みんな流通網の構築しか考えていないでしょ。ドキドキするような最先端製品を創らなきゃ、魅力を感じてもらえないし、発展なんてしないよ」
プロフィール
光吉 俊二
(みつよし しゅんじ)1965年1月20日生まれ、北海道出身。88年3月、多摩美術大学美術学部彫刻科卒業。建築や情報科学などの専門学校講師を務めながら、彫刻制作に没頭。94年、法務省「赤レンガ」本庁舎の正面門デザインを担当。96年、コンピュータグラフィックス関連事業の光吉研究所を設立、代表取締役に就任。99年、エイ・ジー・アイ設立。代表取締役に就任。03年、徳島大学大学院工学研究科、後期博士過程。同年、米スタンフォード大学コンピュータサイエンス客員研究員に就任。