宮城と福島、山形3県のソフト開発会社などが参加する「東北ITクラスターイニシアチブ(TIC)」が昨年5月に発足した。今までも寄り合い所帯的なコンソーシアムはいくつもでき、実を結ばずに消えていった。その懸念をぶつけると、「だからこそ窓口になる会社が必要。そのために起業した」と答えは明快。
社名のトライポッドとは三脚の意味。でこぼこした面でも安定して立つことができるのが三脚。「IT市場にあるさまざまなビジネスギャップを乗り越えてビジネスマッチングを実現する」という設立主旨が社名に込められている。
「起業は2年半くらい前から考えてはいた」。いつまでも日本オラクル東北支社長でいられるはずはない、次に異動する先は東京だろうと思っていた。しかしその反面、「仙台を離れられない」という思いもあった。そしてトライポッドワークス常務で、直前までNECソフトウェア東北の事業企画部長だった菊池務氏と意気投合し、会社設立に動き出したのが1年半前。起業できたのも、「さまざまな人との出会いがあったから」と語る。
TICの発足にも関わった野口正一・東北大学名誉教授、そして県立宮城大学の初代学長も務めた野田一夫・多摩大学名誉学長との出会いも「起業を後押しをした」。同社のオフィスも、「もとは野田先生の個人オフィス。内装もそのままに譲ってもらった」のだとか。「今は仙台半分、東京半分という生活」。地元IT企業と首都圏だけでなく全国のIT企業との「出会い」を演出する側にまわった。
プロフィール
佐々木 賢一
(ささき けんいち)1967年生まれ。仙台市出身。90年3月、電気通信大学応用電子工学科卒。90年4月、日本総合研究所に入社しメーンフレームのシステム開発に携わる。94年9月、日本オラクル入社。データベースの技術者を経て96年から電力など公共分野の営業を経験。00年5月、東北支社開設と同時に同支社長就任。05年11月、日本オラクルを退社しトライポッドワークス設立、代表取締役社長就任。