今年末で60歳を迎える。入社から現在まで一貫して技術畑。40歳頃まで第一線でソフト開発に携わり、日本初のファイバープロトコル開発プロジェクトに参加するなど、業界屈指の豊富なノウハウを持つ。事業部制にともない、第2事業部組込設計グループ統括マネージャーになるべくして就任したのも、こうした経歴の持ち主であるからこそ。今では、管理職として本社にデスクが置かれている。しかし、「1週間の半分以上は現場(開発拠点)に行く」ことを徹底している。
というのも、効率的な開発工程の追求には「日々の変化を知っていなければならない」と考えるからだ。机上の理論だけでなく現場を把握する。慢性的な人材不足といわれている業界にあって、同社も決して例外ではない。最近は、案件の納期が短くなっているにもかかわらず「身につけなければならない技術が増えているため、技術者がスキルを習得するのに時間がかかる」状況にもなった。それでも、納期と高品質は絶対に守らなければならない。「ソフト開発の技術はスピードが速い。現場にいなければ、技術者としての勘が鈍り、指導者としても失格になる」。だからこそ、現場をよく把握して的確に指導しなければならないと判断している。
部下への指導で、「どうしても厳しく当たってしまう」こともしばしば。しかし、これは優秀な技術者を多く輩出したいとの想いからだろう。「技術者は、独りよがりになりがち。相手があるからこそ開発できることを伝えたい」という。
一人前の技術者を育てるためには、「技術と顧客対応の両方の面で、自分が手本を見せなければならない」。そのため、管理職でありながらも“生涯現役”を貫く。
プロフィール
恒屋 清治
(つねや せいじ)1947年12月19日生まれ。70年4月、アイエックス・ナレッジの前身であるデータプロセスコンサルタント(DPC)に入社。電子交換機TP(テストプログラム)をはじめ、磁気テープ制御装置や磁気テープ装置マイクロプログラムの開発、光ディスク装置、ストレージ制御装置マイクロプログラムなどの開発業務に従事。05年4月、事業部制採用にともない、第2事業部組込設計グループ統括マネージャーに就任。現在に至る。