オーストラリアで起業したグレン・ラビーは、ビジネス・インテリジェンス（BI）ソフト「Yellowfin（イエローフィン）」を世界で認められるソフトに育て上げた。iPhone/iPad、Android機などスマートデバイスへの対応を積極的に推進。これまで経営者やデータアナリストといった一部の専門家のためのものだったBIを、スマートデバイスを利用する現場のビジネスパーソンが日常業務で使えるようにつくり変えている。直近では世界35か国、100万ライセンス余りの販売を達成。今期（2012年6月期）売り上げは前年度比40％増を見込む。 


　世界に認められるソフト開発ベンダーになるまでに最も苦労したのは、「販路をどう開拓するのか」だった。オーストラリアのソフト業界は、日本と同様、グローバル化の壁に果敢に立ち向かうものの、そのハードルは依然として高い。Yellowfinは、オーストラリアのなかではグローバル市場で大きな実績を上げた数少ないソフトベンダーである。日本では、早い段階で有力SIerの京セラ丸善システムインテグレーション（KMSI）と組んだ。KMSIは専任組織をつくり、スマートデバイスに強いYellowfinを国内ユーザーに訴求。今では、「スマートデバイスを活用するBIといえばYellowfinだ」と、日本のユーザーに思い浮かべてもらえるまでに認知度を高めている。

　スマートデバイスには、使い勝手のよさだけでなく、位置情報やリアルタイム性を重視したソーシャル機能など、従来のデバイスにはない特性が多くある。今後は「スマートデバイスによるビックデータの活用など、次世代型のBIを、KMSIをはじめ世界のビジネスパートナーとともに世に送り出す」と意気込んでいる。（文中敬称略）