佐々(さっさ)という苗字は、有力氏族の一つである「佐々氏」まで遡ることができる。佐々博音は、「先祖が武士だったと聞いている。父から珍しい苗字をもらっただけではなく、モノをデザインする興味も引き継いでいる」と自らを語る。
佐々の父親は、ショベルカーの設計士。子どもの頃、CADを使って自宅で設計図を作成する父親を見て、「自分の考えをかたちにする」作業に心惹かれた。大人になってからもその気持ちは変わらず、ベンチャー企業の社風に魅力を感じてエス・アンド・アイに入社。3年ほど前に、スマートフォンを内線電話として利用することができるサービス「uniConnect」をベテランエンジニアと二人でつくった。
独自商材である「uniConnect」の開発は、これまで日本IBMなど他社製品の構築を事業としてきたエス・アンド・アイにとって、大きなチャレンジだ。プログラミングや設計といった技術の仕事を担当しながら積極的に客先を訪問し、そのニーズを吸収しようとする佐々の活動を会社はきちんと評価して、新サービスの開発を彼に任せた。
佐々は、「お客様の要望を細かく反映したからこそ売れるサービス」をつくることを目指した。そして、技術と営業の視点を併せもち、スマートフォンを活用して社内外コミュニケーションの活性化を支援する「uniConnect」を開発した。
「当社がこれまで扱った経験のない独自商材の開発に挑戦したので、売れる製品として火がつくまでかなり苦労した」。ここにきてユーザーの数が順調に増えており、今年1月には最新版も投入した。佐々は「子どもを育てるような思い」を込めて、「uniConnect」を大きく成長させようとしている。(文中敬称略)
プロフィール
佐々 博音
佐々 博音(さっさ ひろね)
1978年生まれ。工学院大学情報工学科を卒業して、2002年、エス・アンド・アイに入社。上流工程のエンジニアとして、主にメディア系を中心としたウェブアプリケーション開発のマネジメントに従事した。2010年、スマートデバイス向けの内線電話ツール「uniConnect」の企画・開発を担当。現在は、営業開発本部でスマートデバイスを中心としたクラウドビジネスの企画・構築に携わる。