高校で演劇部に入り、大学では学業に専念。社会人になってから再び趣味で演劇を始めた。愛妻とは演劇を通じて知り合った。古家佳武は、人やモノをインターネットでつなげていくIoT/IoEやウェアラブルコンピューティングといった日本システムウエア(NSW)の戦略部門を担当する技術者だ。芝居をやる人は文系のイメージが強いが、実は理系出身者も意外に多い。「私の演劇仲間も知っているだけで3~4人は理系。ちなみに俳優の向井理さんも理系ですよ」という。
自宅には、ウェアラブル端末やスマートデバイスなど国内未発売/米国直輸入の最新のITガジェットがゴロゴロしており、さらには古家が担当することの多い演劇の宣伝美術の制作物や妻が書いた脚本なども所狭しと置いてある。「ITも好きだし、お芝居も好き。接点はあまりないかもしれないが、たまに役立つこともある」。
例えば、プロジェクトの進行。演劇では演出や脚本、役者など個性的な人たちが集まるので、取りまとめていくリーダーシップや進行管理が欠かせない。古家が所属する劇団は明確な「座長」や「主宰」がいないので、なおさらだ。「この人には、こういうこと言ったら怒るんだな」といった人間観察力や、初期の段階から「このスケジュール感では開演に間に合わない」という“独特な勘”も、「劇団活動を通じて身につけた」。
直近で印象に残っている役柄は「病弱な男性役」だが、「仕事で演技の技巧を使うことはない」と断言する。むしろ「メンバーの個性を見極め、共通の目標やゴールに向けてモチベーションを高めて、スケジュールを組んでいくスキル」が“演劇×IT”の最も相性のいい点だと朗らかに話す。(文中敬称略)
プロフィール
古家 佳武
古家 佳武(ふるいえ よしたけ)
1983年、熊本県山鹿市生まれ。2006年、福岡工業大学情報工学部を卒業して、日本システムウエア(NSW)に入社。組み込みソフトやスマートフォンアプリなどの開発に従事。近年ではウェアラブルコンピュータやIoT/IoE(モノや人のインターネット)領域で活躍している。