SMBに強みをもち、複数のウイルス対策ソフトを取り扱うSIerは、こう市場を分析する。「ウイルス対策ソフトは、零細・中小企業に最も導入率が高いアプリケーションのジャンル。したがって、市場は確実に飽和状態となっている」。そのなかでの要望としては、「今はどのメーカーでも機能、価格ともに差がなく、どの製品を販売しても同じ状況。要望としては、他の製品との連携だ。IT資産管理ツールなどと連携が取れ、ウイルス対策だけではなく、総合的なセキュリティソリューションを提供できるようにしてもらいたい」と話している。
一方、中堅から大企業に強く、あるウイルス対策ソフトメーカーとのパートナー契約を打ち切ったSIerは、その理由についてこう話している。「サポート体制に不満を感じた。製品や価格はどこも同じだけに、技術・営業の両面でどこまでサポートをしてくれるかが、われわれSIerにとっては重要だ」。今後、中心的に販売するウイルス対策ソフトは、サポートを重視しながら選定していくという。
カスペルスキーはダークホース!?
他社と競合せず、取り扱い増える
最近は、トレンドマイクロ、シマンテック、マカフィーのほかに、昨年から本格的に法人展開を開始したカスペルスキーの製品を担ぐ動きも販社の間で活発化している。もともとOEMで評価を伸ばしていて、「セキュリティソフトを入れておかなければという意識は、もうどこの企業ももっている。セキュリティ市場が飽和状態になるなか、乗り替え戦略で新しいものを提案しようと各社考えている。そのなかで、価格の安いESETは注目を集め始めている。また、当社では大手メーカーと競合せず、エンジンの評価が高いカスペルスキーの企業向け製品を全般的に取り扱い始めた」(PFUの担当者)という。また、既存アプリケーションと競合する問題をはらんでいるにしろ、カスペルスキーがパートナープログラムを開始した結果、一気にパートナーが増えたことも、市場の注目度がもともと高かったことがわかる。技術的な面での対応が速いという評価もあり、今後の躍進が期待される。
何かが起こった時の対応が重要 セキュリティソフトそのものは、前述のように「減点法」で評価されてしまうため、どうしてもデメリットの部分が目立ってしまう。セキュリティソフトを導入しなければ何か危険なことが起きるという認識は中小企業のユーザーもすでにもっている。セキュリティソフトを入れて何かが起こってしまった場合のサポートをとにかく手厚くしてほしいという声が多く聞かれた。 メーカーはパートナーに対してさまざまな支援策を用意しているが、営業・技術面で問題が起きたときに、いかに親身になって対応するかが、製品を販売するパートナーの一番の要望のようだ。