次の商機はクラウド、仮想化
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日本IBM 矢崎誠二部長 |
セキュリティアプライアンスは、使いやすさが訴求点の一つとして挙げられるが、最近の傾向としては、動画など、大容量の通信をパフォーマンスを落とさずにセキュリティを高めたいというニーズが高まっている。日本IBMの矢崎部長は「これまでは、100Mbps~200Mbpsの製品が多く出ていたが、2Gや3G、4Gといったより高速な製品が売れている」と実情を話す。日本IBMでは2010年1~3月に新製品を発表した。同じ価格ながら、従来製品よりも2~4倍もパフォーマンスが向上し、しかも競合製品と比べてもコストメリットが高いという。同社ではこうしたニーズを踏まえて、2011年に10Gbps対応製品を発売する。日本IBMでは、前述のとおり2003年にIPSを発売した。後発メーカーが2005~06年に現れ始めたことから、5年サイクルのリプレースのタイミングを見越して、製品を訴求する。
一般的にIPSは、「何なのかよくわからない」「パフォーマンスが落ちる」「誤検知して正常通信を止めてしまう」といった危うい一面をもっている。
この点について矢崎部長は、「第三者機関によって高い検出率を認定されているのは、IBMとマカフィーだけ。また、同じパフォーマンスで価格が安い。競合製品と比べて、x86アーキテクチャによって、頻繁なシグネチャのアップデートも問題なく対応できる」と強みを話す。
各社の傾向でも、より高速化したハイエンドモデルへの需要が高まっているという。クラウド・コンピューティングが浸透しつつある現在、企業がクラウドを活用するうえでセキュリティが最大のネックとなっている。それに伴って必然的に「次なるビジネスチャンスは仮想化への対応やデータセンター事業者などクラウドサービスを提供する事業者だ」と、日本IBM、マカフィーやシスコ、ジュニパーは口を揃える。
「例えば、パブリッククラウドはいわば『情報の銀行』の役割を果たすだけに、当然ながらセキュリティ対策が重要になる。IPSを導入して保護していく必要がある」と矢崎部長は話す。IBMではクラウドサービスとしてIPSを利用してもらうための課金体系を模索している。
また、ジュニパー・ネットワークスは、「アプライアンス、ヴァーチャルアプライアンスなど、ラインアップを揃えることで顧客の要望に応えたい」(小川マネージャー)との考えを明らかにしている。
セキュアソフト
日本で認められた品質をもとに
ソリューション展開でハイエンド狙う  |
セキュアソフト 織田雅樹本部長 |
新興メーカーとして日本市場で攻勢を強めているのが、韓国のセキュアソフトだ。同社は、2010年12月1日、10G対応製品「Sniper IPS10G」と、DDoS攻撃防御に特化した「Sniper DDX」を発売した。通信事業者や学術ネットワーク、オンラインゲームなどで10Gの引き合いが伸びているという。
これまでは不況の影響で保守契約を引き延ばしていた企業が、リプレースを始めている。そのなかで、「最近、当社への問い合わせが非常に増えている」(エンタープライズ営業本部の織田雅樹本部長)という。
韓国では当たり前のようにSMBでもIPSが入っているという。技術本部技術サポートグループの中島勝利シニアマネージャーは「日本は、国のガイドラインでファイアウォールが入っていればセキュリティが万全だという意識を植え付けられてしまっているために導入が進んでいない」という。一般的にUTMにもIPS機能は実装されているが、それを入れてもパフォーマンスが落ちるだけで、費用対効果は望めない、と指摘する。セキュアソフトでは専用アプライアンスを価格据え置きで、性能のよいハードウェアに常に切り替えている。そのため、価格を据え置きながら、性能では業務に支障を与えない高速のパフォーマンスが出せるようになっているという。
また、同社ではキヤノンITソリューションズと組んで国内販売を行っている。韓国製品ながらキヤノンの品質試験に合格していることから、高い品質を自負している。
ただ、アプリケーションサーバーやネットワークインフラの内部システムの見直しの時期が来ないと、なかなか導入が進まないのが実情だ。ファイアウオールは導入している企業が比較的多いことから、「単品販売ではなく、官公庁や大手企業に、例えばファイアウォールと組み合わせたソリューションとしてハイエンドモデル販売に注力する」と姜昇旭社長は話している。