伸びる製品・サービス
端末が起こすイノベーション
クラウドと海外という強化領域に加えて、2012年に各社が注目している分野がある。それがスマートデバイス──スマートフォンとタブレット端末の存在だ。これらが急速に普及した2011年を受けて、12年はスマートデバイス関連事業を強化しようとする動きが激しくなる気配がある。
スマートデバイスが急伸 IDC Japanが11年12月に発表したデータによると、11年第3四半期(7~9月)の国内スマートフォン出荷台数は、前年同期比243%増の530万台、メディアタブレット(タブレット端末)の出荷台数は133%増の42万台となり、ともに大幅に成長した。スマートフォンに関しては、12年通年では2830万台、15年通年では3403万台に拡大すると予測した。IDC Japanの木村融人・PC,携帯端末&クライアントソリューションシニアマーケットアナリストは、タブレット端末について「通信事業者の手厚い販売奨励金による需要喚起が期待でき、2012年もプラス成長を続ける」と分析。個人市場、法人市場を問わず成長を疑っていない。
また、米シスコシステムズが発表したレポートによると、2015年の全世界のモバイルトラフィック量は、2010年に比べて26倍に増えると予測している。端末が増え、そこに流れるデータ量も増えるわけだ。端末がここまで大幅に成長することはここ数年ではなく、12年のキーワードになることは間違いないだろう。そうなれば、端末を活用したさまざまなITソリューションは活気を帯びるのは間違いない。
意欲を燃やすSIer すでに着眼しているIT企業も多い。富士ソフトの坂下智保社長は、キーワードの一つとしてモバイルを挙げ、関連するソフト開発事業の拡大に意欲を燃やす。また、組み込みソフト開発事業を得意にする富士通BSCの室町社長もスマートフォン向けソフト開発事業に強い関心を示している。「スマートフォンを使ったソリューションは、今後さらに増えるはず。関連ソフトも当然伸びるとみており、12年はスマートフォン向け事業のビジネスチャンスが多い」。同社は、11年にスマートフォン関連ビジネスを伸ばすための専門組織を関連する部門からスタッフを選出して構築しており、需要拡大に備えている。
高機能な携帯電話が多く出荷されながら、それを使ったモバイルソリューションはこれまで普及してこなかったのが日本のIT産業の実情だった。しかし、プラットフォームが共通化されているスマートフォンが登場したことで、その厚い壁をようやく突破できる可能性が高まってきた。富士通の山本社長も、「今ハードウェアで唯一期待がもてるのはスマートフォンだろう。それを使ったソリューションビジネスも伸びるだろう」と話している。
クラウドと海外というここ数年の注力分野に加えて、12年はモバイルデバイスがキーワードになるのは間違いないはず。モバイルを活用したソリューションビジネスがどの程度伸びるかは、12年の大きな注目点になりそうだ。