IDC Japanのアナリストに聞く 垂直統合型システムの商機
調査会社のIDC Japanは、IBMの「PureSystems」の登場によって垂直統合型システムが注目を浴びるなかで、この7月、垂直統合型製品に関するユーザーニーズの調査結果を発表した。調査では、10台以上のサーバーを導入している国内企業を対象に、垂直統合型製品に求める最適な統合の範囲(レイヤ)をたずねた。その結果、アプリケーションのレイヤを含めた製品に関するニーズが高いことがわかった(図3参照)。アプリケーションレイヤは、SIerの腕の見せどころ──。調査を担当したIDC Japanの福冨里志リサーチマネージャーに、垂直統合型製品のビジネスチャンスを聞いた。

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IDC Japan 福冨里志 リサーチマネージャー |
──今回の調査で、ユーザー企業はアプリケーションを組み込んだ垂直統合型製品を求めていることが明らかになった。
福冨 ユーザー企業は、ピンポイントですぐに使うことができるものを欲しているということだ。しかし、アプリケーションのレイヤは、それぞれの企業の事業内容に合わせたワークフロー(業務の流れ)が入ってしまうので、メーカーからすると、統合しにくい。なぜなら、アプリケーションを細分化して統合すれば、一部のユーザーのニーズにはぴったりマッチするが、細分化すればするほど、ユーザーの絶対数が少なくなるからだ。その結果、製品がごく一部のユーザーにしか売れないという問題に直面する。
──そうすると、アプリケーション開発をパートナーに任せる日本IBMのモデルのほうが商機に恵まれているということになるのか。
福冨 日本IBMのモデルでは、各パートナーがユーザーのニーズに最適なアプリケーションを開発し、ウェブ上の販売プラットフォームを通じて、迅速にデリバリすることができる。さらに、製品自体にアプリケーションが含まれないので、ユーザーの絶対数が少ないという問題も解決できる。その意味で日本IBMのモデルは有効だと考えている。
一方、日本オラクルは、「Exaシリーズ」を主に既存のデータベースユーザーに提案しているので、そもそも日本IBMとは異なるターゲットを狙っている。また、アプリケーションを製品に組み込んで提供することから、当社の調査で明らかになったユーザーのニーズに応えているということになる。
──垂直統合型システムの普及の可能性をどうみているのか。
福冨 IBMの「PureSystems」の本格販売が始まっていることもあって、垂直統合型システムのIT市場へのインパクトはあると思う。
しかし、垂直統合型の製品は、高額であるなど、導入のハードルがかなり高い。だからこそ、メーカーと販社は、ユーザー企業に導入の効果を明確に示す必要がある。構築・運用コストが低減できるメリットなどをきちんと数値化して伝えなければ、垂直統合型システムの普及は進まないだろう。
・記者の眼 垂直統合型システムは、SIerにとって「脅威」なのか、それとも「ビジネスチャンス」なのか──。SIerは、垂直統合型システムの普及の兆しがみえていることに着目して、いち早くビジネス展開のシナリオを描く必要がある。垂直統合型システムを脅威と捉えるのではなく、自社のリソースをアプリケーション開発に活用したり、垂直統合型製品に独自の付加価値をつけたりすることによって商機につなげることが、ビジネスの成否を分けることになる。