【地方ビジネス】
西日本にビジネスチャンス 自動車メーカー向けで案件増も
国内で、「ビジネス上、重視している(東京以外の)大都市圏はどこか」という質問に対しては、西日本に可能性があるとする回答が多かった。また、自動車メーカーの業績が回復しつつあることから、名古屋でのビジネス拡大に期待している声もある。
重視している都市圏として、最も回答が多かったのは東京に次いで市場規模が大きいといわれる大阪だ。厳しい状況ではあるものの、関西を中心にビジネスを手がけるITベンダーのなかには、「新しい製品・サービスを開発することによって需要を掘り起こせる」との回答を寄せたベンダーもみられる。また、グループ企業との連携で、大阪を中心に西日本でのビジネスを広げたいとの声もあがっている。とくに、SMB(中堅・中小企業)を開拓したいとの考えを表明する企業が多い。
札幌を重視するITベンダーは、設置したデータセンター(DC)の強化などを理由に挙げる。仙台は、東日本大震災の復興需要が期待できるからだ。名古屋を重視しているのは、自動車メーカーの業績が回復しつつあることで、自動車関連の製造業者を中心にシステム増強の案件が出てきていることが要因となっている。
地方でのニュービジネスについては、業種に特化した製品・サービスの提供を重視するとの声があがっている。医療や教育などでは、スマートデバイスを導入するニーズが高まってきているほか、新しいマーケティングツールとして小売業などにデジタルサイネージを提供する可能性が出てきている。さらに、農業のIT化が活発化しそうなことなど、新しい製品・サービスの創造によって、ビジネスが拡大する可能性があるということだ。
東京一極集中といわれて久しく、一方で地方でのビジネスが厳しいとの見方が強い。しかし、その地域ならではの特性を見出して新しい製品・サービスを提供することによって、まだまだ開拓できる余地は十分にあることを今回のアンケート結果は教えてくれる。
記者の眼
今回、ITベンダーへのアンケートを行って明らかになったのは、2013年の市場動向について多くのベンダーの経営層が、決して楽観視はしていないが悲観的には捉えていないということだった。
今後、市場全体が大きく伸びることは期待できないが、スマートデバイスを活用したクラウドサービスの提供など、これから需要が高まる可能性のあるビジネスに力を注ぐことで、各社とも業績拡大を図ろうとしている。また、国内だけにとどまらず中国や東南アジアなどIT新興国とみられる国でビジネスを展開することを視野に入れながら、グローバル化を目指す姿も垣間見える。さらに、首都圏以外の地方都市では、業種に特化した製品・サービスの提供に活路を見出そうとしている。
ITベンダーの多くは、ハードやソフトを中心としたITシステムを構築するという従来のオンプレミス型のビジネスモデルだけでは生き残れないと判断しており、オンプレミス型に加えてクラウドサービスなどサービス型を生かして、いかに新しいビジネスモデルを構築していくかを模索している。IT業界全体が過渡期を迎えているなか、各社が成長路線を敷くためには自社の強みを生かしながら新しいビジネスモデルが創出できるかどうかがカギを握る。
なお、世界を見渡しても、IT業界には2012年よりも明るい兆しがみえ始めている。調査会社のガートナーは、13年の全世界のIT関連支出が、世界経済の見通し改善で企業や個人の支出の高まりによって、前年比4.2%増の3兆7000億ドルになると予測している。12年が前年比1.2%増の見込みということから、13年の支出の伸びが12年を上回るとの見方を示しているわけだ。世界の動きに歩調を合わせて、日本のIT業界が活性化することを期待したい。
【アンケートに回答いただいたITベンダーのキーパーソン】
アイエックス・ナレッジ 安藤文男社長
アイティフォー 東川清社長
アイネット 梶本繁昌社長
インフォアジャパン 市東慎太郎社長
インフォコム 竹原教博社長CEO
内田洋行 柏原孝社長
SRAホールディングス 鹿島亨社長
エス・アンド・アイ 藤本司郎社長
SAPジャパン 安斎富太郎社長
NECシステムテクノロジー 富山卓二社長
NECソフト 古道義成社長
NECネクサソリューションズ 鈴木良隆社長
NECフィールディング 伊藤行雄社長
NTTコムウェア 海野忍社長
NTTソフトウェア 山田伸一社長
NTTデータ 岩本敏男社長
NTTデータビズインテグラル 中山義人社長
OSK 宇佐美愼治社長
応研 原田明治社長
オービックビジネスコンサルタント 和田成史社長
兼松エレクトロニクス 榎本秀貴社長
キヤノンMJアイティグループホールディングス 浅田和則社長
京セラコミュニケーションシステム 佐々木節夫社長
GRANDIT 山口俊昌社長
クレオ 林森太郎社長
コア 簗田稔社長
シーエーシー 酒匂明彦社長
JBCCホールディングス 山田隆司社長
シネックスインフォテック 松本芳武社長
ジャステック 中谷昇社長
首都圏コンピュータ技術者 齋藤光仁社長
新日鉄住金ソリューションズ 謝敷宗敬社長
スーパーストリーム 谷本善男社長
ソフトクリエイトホールディングス 林宗治社長
ソフトバンクBB 溝口泰雄取締役常務執行役員
ダイワボウ情報システム 野上義博社長
TIS 桑野徹社長
TKC 角一幸社長
TDCソフトウェアエンジニアリング 谷上俊二社長
DTS 西田公一社長
電通国際情報サービス 釜井節生社長
東京エレクトロン デバイス 栗木康幸社長
東芝ITサービス 清野和司社長
東芝ソリューション 河井信三社長
東洋ビジネスエンジニアリング 石田壽典社長
トッパンエムアンドアイ 江口昌幸社長
日興通信 鈴木範夫社長
日商エレクトロニクス 瓦谷晋一社長
ニッセイコム 武本秀徳社長
日本オフィス・システム 尾嶋直哉社長
日本システムウエア 青木正社長
日本事務器 田中啓一社長
ネットスイート 田村元社長
ネットマークス 佐藤宏社長
ネットワンパートナーズ 齋藤普吾社長
野村総合研究所 嶋本正社長
ピー・シー・エー 水谷学社長
日立システムズ 高橋直也社長
日立ソリューションズ 林雅博社長
富士ソフト 坂下智保社長
富士通FIP 浜野一典社長
富士通エフサス 今井幸隆社長
富士通システムズ・イースト 石川享社長
富士通ビー・エス・シー 室町義昭社長
富士通マーケティング 古川章社長
三井情報 齋藤正記社長
三菱総研DCS 木村高志社長
ミロク情報サービス 是枝周樹社長
弥生 岡本浩一郎社長
ユニアデックス 入部泰社長
理経 黒田哲夫社長
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