有力SIerの事例を一挙公開 あの手この手でチャンス掴む
有力SIer6社による“強みの横展開”の取り組みをレポートする。業種・業務に焦点を当てたクラウドサービスやBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、自社の強みを生かすかたちでのグローバル展開など、準大手や中堅・中小SIerはあの手この手で成長のチャンスを掴もうとしている。
●【アイティフォー】
自らの強みをサービスビジネスに応用 アイティフォーが“強みの横展開”先として選んだ分野は、BPOとサービスの二つ。主力のシステム構築(SI)とBPO、サービスを組み合わせることで、ユーザー企業と長く深くつき合うというスタイルを重視する。2012年11月に本稼働した仙台市の国民健康保険催告センター業務では、アイティフォーが開発した「CARS滞納管理システム」をベースにして、このシステムを運用するオペレーション業務もBPO方式で受注している。
債権管理はアイティフォーが最も得意とする分野で、主要地方銀行の延滞管理分野では全国8割近いシェアをもち、大手の債権回収会社(サービサー)でのシェアは半数以上という実績をもつ。今回はこれを自治体に横展開し、なおかつ地元で新たに人員を雇用して滞納管理業務を請け負った。自治体向け滞納管理では、広島市から滞納管理システム、東京都江戸川区から電話催告システムを受注するなど、全国13件余りの滞納管理、電話催告システムを受注するに至ったが、この分野で本格的なBPO事業を立ち上げたのは仙台市が初めての事例だ。アイティフォーの東川清社長は、「サービスビジネスを切り口とする新規領域の開拓を進める」と、“強みの横展開+サービスビジネス”のコンビネーションで収益拡大を目指す。
●【三菱総研DCS】
オンラインで仮想的なグローバル化 三菱総合研究所(MRI)グループの三菱総研DCSは、中国・上海に初の海外法人を設立し、2012年11月から本格的な営業を始めた。MRIグループの昨年度(2012年9月期)ITソリューションセグメントの売上高は542億円と、準大手SIerの売上規模をもつにもかかわらず、三菱総研DCSのビジネス形態はドメスティックな印象が強かったが、実際のところは着々とグローバル対応を進めている。
この一例として、同社のSWIFT(スイフト)サービスビューロ事業で「SWIFT Ready Connectivity ラベル」の認証を2012年6月に取得。SWIFTとは金融機関同士の国際間決済ネットワークの通信手順であり、同認証は「SWIFT」への接続環境を提供するサービス事業における最高レベルのものだ。国内はもとよりアジア太平洋地域で初めて取得した。日本の企業がアジア市場への進出度合いを増しているなか、邦銀も同地域での決済サービスを拡充しており、三菱総研DCSは、SWIFT接続のためのあらゆる機能を提供することで「海外法人を多くつくらなくても、オンラインでグローバルビジネスを伸ばすことができる」(木村高志社長)とみて、オンライン上での仮想的なグローバルビジネスの拡大に意欲を示す。
●【TDCソフトウェアエンジニアリング】
スマートデバイスと業務を連携 TDCソフトウェアエンジニアリングは、金融分野の売上構成比が過半を占めるSIerではあるが、一方でモバイルやスマートデバイスと業務システムの連携で豊富な実績をもっている。クラウド基盤の「Trustpro(トラストプロ)」と、モバイル端末を使って現場から報告書を自動生成する「HANDy TRUSt(ハンディトラスト)」を組み合わせることで、基幹業務システムとモバイル端末をシームレスに連携することができる。
「Trustpro」は、2012年10月、ソーシャルメディア機能を追加するなどのバージョンアップを行うとともに、大型案件も進行中だ。直近の約3000ユーザーから早い段階で数万ユーザーに増える見通しで、モバイル連携など特色あるクラウド基盤を打ち出したことで、谷上俊二社長は「引き合いや受注が手堅く推移している」と話す。
TDCソフトは、独自の営業チャネルによるビジネスを展開する一方、大手元請けITベンダーとも良好な関係にある。金融ではみずほ銀行の基幹システム刷新案件が動き始めるなど、明るさもみえるが、「大型案件はボーナスのようなもの」と、安定して売り上げを伸ばすベースとなる部分は、「Trustpro」や「HANDy TRUSt」のような、独自性の高いビジネスを中心に伸ばす考えだ。
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