その他
第3世代DCは「諸刃の剣」 主要SIer、需要飽和点を模索
2012/10/25 14:53
週刊BCN 2012年10月22日vol.1453掲載
第3世代データセンター(DC)ブームはいつまで続くのだろうか。キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、10月17日、2300ラック相当の最新鋭の第3世代DCを全面開業した。今年5月には新日鉄住金ソリューションズが1300ラック相当のDCを開業しており、11月には野村総合研究所(NRI)が都内に2500ラック相当の大型DCの開業を予定するなど、主要SIerはこぞって第3世代DCを建設してきた。需要を見越しての投資ではあるが、それは永遠には続かない。飽和点の予測は極めて難しく、SIerは模索を続けるなかで100億円単位の巨額な投資を決断している。
1990年代半ばにインターネットが爆発的に普及し、ネット接続に対応した第2世代DCが建設されて10年余りが経った後、仮想化技術をふんだんに取り入れたクラウドネイティブ対応の第3世代DCへと移行してきた。技術のブレークスルーが起こるタイミングで周期的に世代が代わるDCは、携帯電話の第2世代ネットワークが第3世代、あるいはLTEへ移行するのに似ている。
だが、第3世代DCを際限なく建設し続ければ、需要はいつか飽和点を迎える。今回のキヤノンMJのDCも、今年春先の時点では2300ラックの販売の目処が立っておらず、開業が間近に迫ってきた夏以降になって「確かな需要が見えてきた」と、同社グループのキヤノンITソリューションズでDC事業を担当する秋葉俊幸ITサービスマネジメントセンター長は振り返る。フタを開けてみると、引き合いはラック換算でざっと3000ラック規模もあり、遅くとも2020年までには「完売するめどが立った」と胸をなで下ろす。
キヤノンMJは新DCと同じ敷地内に、もう一つ同規模のDCを建設できる土地を確保していることから、実際の受注状況を把握しながら第二期工事の着工の可否を判断するものとみられる。また、NRIは11月の新DCの完成を待たずに、関西地区に最新鋭DCの新規建設の検討に着手している。
DCは、世代が新しいほど「ITリソースあたり」のコストが下がる。10年前のパソコンよりも、今のパソコンのほうが格段に処理能力が高いのと同じ理屈だ。DCの限られた貴重なスペースで、ラックあたりの処理能力の高さは、そのまま運用コストの削減につながり、第2世代から第3世代へ引っ越すだけで運用コストが2~3割削減できるといわれている。一方で、建設には多額の先行投資が必要で、技術革新に伴い、おおよそ10年のスパンで世代交代する。
SIerにとって、DCを活用したサービスビジネスは、不況時でも安定収益を得られる貴重なストック型ビジネスの柱であることは間違いない。ただし、十分な技術的ブレークスルーがないままの状態でDCをつくり続ければ、不良資産化しかねない諸刃の剣でもある。(安藤章司)
第3世代データセンター(DC)ブームはいつまで続くのだろうか。キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、10月17日、2300ラック相当の最新鋭の第3世代DCを全面開業した。今年5月には新日鉄住金ソリューションズが1300ラック相当のDCを開業しており、11月には野村総合研究所(NRI)が都内に2500ラック相当の大型DCの開業を予定するなど、主要SIerはこぞって第3世代DCを建設してきた。需要を見越しての投資ではあるが、それは永遠には続かない。飽和点の予測は極めて難しく、SIerは模索を続けるなかで100億円単位の巨額な投資を決断している。
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