日本オラクル
「エンジニアド・システム」で差異化
EBSよりも伸びが大きい中堅向けJDE
●パートナーの層の厚さも強み SAPと並ぶビジネスアプリケーションのグローバル・メガベンダーであるオラクル。ERP製品としては、大企業向けに「E-Business Suite(EBS)」、中堅企業向けに「JD Edwards Enterprise One(JDE)」を展開している。
同社は近年、製品別にユーザー規模をかなり厳密にセグメンテーションしており、年商1000億円未満の企業には、「JDE」を提案するのが基本方針となっている。日本オラクルの野田由佳・アプリケーション事業統括本部事業開発部ディレクターは、「『JDE』は、『EBS』と比べてもグローバルで伸びている。製造業を中心とする中堅企業の海外展開ニーズに合わせて、『JDE』を積極的に提案している」と説明する。
では、「JDE」が海外拠点で積極的に採用されている要因は何なのか。
競合製品との差異化ポイントとして、野田ディレクターは「製品開発の方向性が、UIに向かっていること」をまず挙げる。
「JDE」は、すべての機能をiPadで操作することを前提にUIを開発し、35の関連特許をすでに取得しているという。「ルック&フィールで使える、ERPとは思えないようなUIに仕上がっている」と、野田ディレクターは手応えを語る。

野田由佳
アプリケーション
事業統括本部
事業開発部
ディレクター また、今年7月には、「JDE」のラインアップに、インメモリ・アプリケーションの「In-Memory Sales Advisor」と、「In-Memory Project Portfolio Management」を追加。販売支援とプロジェクト・ポートフォリオ管理のアプリケーションだが、これらは、データベース・マシン「Oracle Exadata」など、ハードウェアとソフトウェアを垂直統合した「エンジニアド・システム」上で動かすように設計されている。
野田ディレクターは、「もはやERPは、アプリケーション単体では語れない。バックグラウンドに、ハードウェア、OS、データベースなど膨大なテクノロジーがあることがオラクルの強みで、市場のニーズの変化にすばやく適応できる要因」と話す。
また、パートナーに対して、これまでのオラクルソリューションの導入実績と、ユーザー企業からのエンドースメント(保証)にもとづいて、製品別、産業別の認証を与える「Specialization」というプログラムを展開している。国内では、57社が280の認証を取得しており、「後発のベンダーとは、パートナーエコシステムの層の厚さが違う」(野田ディレクター)と強調する。
インフォアジャパン
独自の開発基盤に強み
業種特化で拡販めざす
●生産管理機能に絶対の自信 
尾羽沢功 社長 グローバルでは、ビジネスソフトウェアでSAP、オラクルに次ぐ第3位のシェアを誇るインフォア。日本市場では数%のシェアにとどまり、ガートナーの認知度・期待度調査でも同程度の数値だった。しかし、「今年は明らかに日本企業の投資力が戻ってきており、見通しは非常に明るい」とインフォアジャパンの尾羽沢功社長が話す通り、決して不調ではない。同社の戦略は、広くシェアを拡大していくのではなく、尾羽沢社長が定義する「製造、流通など特定の業界で圧倒的な強みを発揮するマイクロバーティカル(詳細な業界別)戦略」であり、これが派手さとは対極の独自の立ち位置の確立につながっているといえそうだ。
ERPは、年商500億~1000億円のユーザー企業をターゲットとした「SyteLine」が主力。製造業分野に強みをもつ同社らしく、生産管理機能が特徴だ。尾羽沢社長は、「ほかのベンダーのERPと比べてもダントツの機能性をもっており、日本の製造業にはぴったりの製品」と自信をみせる。
また、インフォアは、「Mongoose」という独自の開発基盤上にアプリケーションを構築しており、「SyteLine」も、パートナーが容易にカスタマイズすることができる。また、UI基盤の「ION」を使えば、複数のアプリケーションをシームレスに連携して使うことができる。
ユーザー企業の海外展開は、「単に製造拠点を移転・拡大するたけでなく、調達、販売も含めて現地でビジネスを展開する方向にシフトしている」と話す尾羽沢社長。「Mongoose」と「ION」は、そうしたニーズの変化にも対応するソリューションだという。
さらに、米インフォアは、2011年、ローソン・ソフトウェアを買収し、流通業界に強みをもつERP製品もラインアップに加えた。製造業からさらにターゲットを拡大し、着実な成長を目指す。
国産ベンダーの活路――B-EN-G
海外特化型会計システムのノウハウを生産管理に注入
現地でのリソース確保が財産
日本企業のグローバル化に伴うERP需要においては、必然的に外資系ベンダーのシェアが高くなる。そんななか、国産ベンダーで大きな存在感を放つのが、東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)だ。生産・販売・原価管理の「MCFrame」シリーズと、海外対応会計パッケージ「A.S.I.A」を二枚看板に、製造業分野で高い競争力をもつ。

(写真左から)入交俊行 本部長、山下武志氏 プロダクト事業本部マーケティング本部長の入交俊行氏は、「MCFrame」について、「海外での需要はここ3~4年で急激に伸びて、ビジネスとして大きく成長した。これは、『A.S.I.A』のノウハウがあったからこそ」と説明する。
「B-EN-Gは、『A.S.I.A』をもともと実験商材として開発・展開してきた。そこで得たノウハウを『MCFrame』にフィードバックすることで成果が現れている」と話すのは、プロダクト事業本部マーケティング本部マーケティングアライアンス部・山下武志氏である。「A.S.I.A」は、開発に着手した十数年前から、多言語、多通貨のグローバル対応をめざした海外現地法人特化型のERPで、ASPやSaaS型のパッケージ展開にもいち早く対応した。こうした先進性が評価され、2層ERP戦略を採るSAPユーザーなどを中心に順調に採用を増やし、キラーコンテンツになった。
しかし山下氏は、「機能はユーザーのニーズをクリアして当然。それよりも大事なのは、現地でのシステム構築、運用、サポート体制をどのように構築していくかだ」と指摘する。「A.S.I.A」が実験商材という位置づけで長年の試行錯誤を続けてきたことの真の成果は、こうした業務でのリソース、実績、ノウハウを海外で蓄えることができたことだという。
現在、「A.S.I.A」「MCFrame」とも、さらに販路を拡大し、増大する需要に応えるべく、東南アジア圏を中心に、システム構築能力に長けた日系の現地パートナー企業を発掘している。
また、「MCFrame」に関しては、昨年からタイでユーザー会も立ち上げており、ユーザーサポートにもベンダー主導で注力する。入交本部長は、「こうしたきめ細かい対応は、B-EN-Gならではの差異化ポイントだと自負している。製造業の海外展開における現実解として当社のソリューションを考えてもらえれば」と、取り組みをアピールする。