プロセスマイニングは、ビジネスアプリケーションのトランザクションログを基にビジネスプロセスを可視化する製品分野である。国内でこの分野に注目が集まるようになったのは、独セロニスの日本法人設立や伊コグニティブ・テクノロジーズが開発したプロセスマイニングツール「myInvenio」の提供が始まった2019年のことだ。翌20年には、米ユーアイパスがプロセス・ゴールド(オランダ)の製品を統合し、「UiPath Process Mining」として提供を開始したほか、OCR製品で知られる米アビーが「ABBYY Timeline」の製品強化に乗り出した。さらに21年、業界に大きな再編の波が訪れる。3月にはSAPが独シグナビオの買収を完了して、本格的に市場に参入。4月にはIBMがmyInvenioを買収、8月には日本法人を7月に設立したばかりの米アピアンが独Lana Labsの買収をそれぞれ発表した。新たな局面を迎えたプロセスマイニングの現状について、国内市場をリードする3社の動向から探る。
(取材・文/冨永裕子  編集/藤岡 堯)

セロニス
データドリブンなビジネスオペレーションを支援

 11年に独ミュンヘンで3人の創業者によって設立されたセロニスは、シーメンスでの採用をきっかけに急速に製品を洗練させ、現在は全世界で約1000社の顧客、約2000件のユースケースを支援している。19年2月に日本法人を設立し、日本の顧客は約50社になった。

 日本法人の小林裕亨社長は「セロニスの特徴は大きく二つある」と語る。一つはリアルタイム性だ。リアルタイムに様々なデータをセロニス側にフィードできるとし、例えば、海外にいる誰かが買掛金の処理プロセスで標準から逸脱した行為を行えば、即座に検知し、アラートを出すことができる。
 
セロニス日本法人 小林裕亨 社長

 もう一つは、常に全量データを取得していることだ。「トランザクションID」「アクション」「タイムスタンプ」に代表されるログを基に構築した組織の「デジタルツイン」を作ることで、ビジネス目標の予測と改善の切り口の発見を可能にしている。

 また、裏側のAIの力を使えば、ビジネス目標達成に向けた提案も取り入れられる。このほか、組織に展開する前に新しいモデルのシミュレーションを行い、検証することも可能だ。さらに、同業種の企業がセロニスを使っていれば、ビジネスKPIをベースに自社のプロセスの問題点を特定し、改善できるようにもしている。

 一連の機能の提供で、企業のビジネスプロセス分析の負荷が大幅に軽減できるようになった今、今後に向けてセロニスが見据えるのは、企業の「Execution Management」の実現である。Execution Managementとは業務オペレーションの最適化を意味する。上田聡・エバンジェリストによれば、企業がデータを基に日々のビジネスオペレーションを実行できる環境を提供していく構想を描いているという。
 
セロニス日本法人 上田 聡 エバンジェリスト

 企業がデータドリブンなビジネスオペレーションを実行できるよう、21年10月にはリアルタイムストリーミングデータ処理に特化したLenses.ioを買収した。PCのアプリケーションがOSの上で動くように、小林社長は「ビジネスのためのOSを提供する製品にしたい」と今後の展望を語る。さらに10月には、米サービスナウと戦略的パートナーシップを結んだ。自動化に適したワークフロープロセスを特定し、優先順位を付けた上で、プロセス最適化を可能にするソリューションを開発する。早ければ22年前半にも提供を開始する予定だ。