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盛り上がるSIerの生成AIビジネス 選択の自由度が高い設計を重視

2024/04/29 09:00

週刊BCN 2024年04月29日vol.2012掲載

 SIerの生成AI活用ビジネスが盛り上がっている。NTTデータグループは顧客接点や業務効率化などでの利用促進のみならず、生成AIを使った新しいビジネスの創出を目指す。野村総合研究所(NRI)グループは、自社でGPUサーバーや生成AIエンジンの基盤を用意してユーザー企業の投資負担の軽減に注力。TISは、外部の生成AIサービスとのデータのやりとりを集中的に管理する独自のプラットフォームを開発し、ユーザー企業のAIガバナンスを強化する提案に力を入れている。技術が著しく進歩する中、常に最新の生成AI技術に切り替えられるよう、各SIerは選択の自由度が高い設計を重視する傾向にある。
(取材・文/安藤章司)
 
作成:『週刊BCN』編集部

NTTデータグループ
顧客接点の分野で利用広がる

 NTTデータグループは、生成AIについて、▽自社での活用▽顧客先業務への応用▽AIガバナンス-の3点を重視している。まずは自社で使ってみることで生成AIへの理解を深めるとともに、システム開発の生産性向上につなげるのが狙いだ。自社で培った知見を生かしながらユーザー企業の業務効率化に応用しつつ、情報漏えいなどが起きないようなAIガバナンスの策定を支援するとの手順を踏む。

 自社での活用では、生成AIによってプログラム・コードの自動生成を行っており、本橋賢二・企画部Generative AI推進室室長は「部分的にではあるが、すでに実用化が進んでいる」と話す。コード生成の中で特に実用性が高いとみられているのが、古いコードから新しいコードへ書き換える分野だ。
 
NTTデータグループ 本橋賢二 室長

 例えば古いバージョンのJavaコードや、SAPで使われるABAP(アバップ)などを最新バージョンに書き換えるといった用途を有望視する。逆に生成AIによって新規プログラムを生成する場合は、生成されたコードが設計書通りなのかを確認する作業負荷が比較的大きいことが分かっている。今後の技術革新によって、新たに生成されたコードの正確性が高まれば確認作業の負荷が減る見通しで、本橋室長は「古いコードからのバージョンアップ同様に実用性が高まる」と期待を高める。

 ユーザー企業の業務に生成AIを応用するケースでは「業務効率化やコスト削減の分野での利用が増えている」(本橋室長)という。自然言語で滑らかな応答ができる生成AIの特性から、主にコンタクトセンターや受付業務などの顧客接点の分野で活用が進んでいる。

 次のステップとして、生成AIを使った新しいビジネスの創出に挑戦することを検討している。ユーザー企業ごとに個別開発する手法もあるが、新規事業が軌道に乗らないリスクが高いため、「NTTデータグループ側で業種共通で使えるSaaSや共同利用型の生成AI活用サービス」の開発を視野に入れる。例えばアパレル業界向けに新作衣装を着たファッションモデルの3DCGを自動生成するサービスをSaaSで提供するといった用途を想定。SaaS化することで、国内のみならず、海外市場へも展開しやすくなるとみている。
 
NTTデータグループ 柿沼基樹 部長

 AIガバナンスでは、各国・地域のAI規制に対応しつつ、「ユーザー企業の重要データを保護する仕組みが求められる」と柿沼基樹・戦略企画部戦略企画担当部長(Generative AI推進室兼務)は指摘。データ保護ではユーザー企業専用のGPUサーバーや独自の大規模言語モデル(LLM)を構築するケースも想定され、NTTグループのLLM「tsuzumi」の活用も踏まえてAIガバナンスの強化を支援していく。
この記事の続き >>
  • 野村総合研究所とNRIデジタル 時代はまさに“LLM戦国時代”
  • TIS “関所”でAIガバナンスを担保

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