――PC市場はコロナ禍を経てどう変化したか。
PCがないと仕事ができない、勉強もできないという環境に置かれたことで、日本におけるPCのイメージが「一家に一台」から「一人に一台」に変わった。法人市場ではコラボレーションの重要性が高まったことで、マイクやスピーカーといった、用途に特化した機能が大事になってきた。ここは当社の「ThinkPad」が元から力を入れていたところなので、多数の引き合いをいただいている。
代表取締役社長
デビット・ベネット
――半導体不足にはどのように対応していくか。
レノボは世界でも日本でもナンバーワンのPCメーカーであり、そのスケールを活用し、これまでよりも長期のスパンで部材の確保に動いている。また、日本国内で製品を設計・製造しているのも強みだ。足りない部品があれば代替品に切り替える、調達先を二重化、三重化するといった取り組みも柔軟に行える。
――NECとの合弁事業が始まって10年あまりが経過した。
日本と海外の合弁で、ここまでうまくいっている例はほかにないのでは。同じビジョンを共有しながら、それぞれのユーザーに最適な製品をお届けできており、Win-Winの関係にある。両ブランドのポジショニングを変えたり、統合したりする考えはない。
パートナーとの競合は起こさない
――サービス売り上げの拡大を成長戦略の軸としている。
日本市場はサービス事業の成功例だ。PC購入と同時にサービスを契約していただける「アタッチ率」は、アジア太平洋地域では日本がトップとなっている。最も基本的なサービスとしては導入時のキッティングがあるが、MDMの運用など、購入後の活用を支援するサービスも発展させている。
――サービスはこれまで販売パートナーが手がけてきた領域でもある。
明確にしておきたいのは、当社はパートナー各社の競合になるつもりはないし、なりたくもないということだ。パートナーが今まで提供していないサービスがあれば、その部分を補完する。あるいは、パートナーと当社が協業することで、お客様により低コストでサービスを提供できる余地があるのなら、役割分担していくということ。カニバリゼーションを発生させることは絶対にない。
――22年の目標は。
モバイル端末からPC、データセンターのインフラまで、エンドツーエンドのポートフォリオを持っているのはレノボだけだ。そのすべての領域でサービスとソリューションをお届けできる会社になるのが目標だ。テレワークとGIGAスクールの特需が一巡したこの時期でも当社は人的資本への投資を増やしている。お客様をより深く理解するためのスキルを磨き、我々の製品とサービスでお客様のビジネスそのものの成長に貢献していきたい。