──2021年のビジネスの総括を。
上期(1~6月)はコロナ禍にうまく対応することができた。しかし、6月末からの第5波で、再び営業活動の制約などの影響を受けた。緊急事態宣言が解除された10月以降、需要は戻るとみていたが、そうはならなかった。そこに半導体をはじめとしたモノ不足などの要因が絡み、回復が遅れている状況だ。世間で動き始めたといわれる経済の実態と、われわれが見込む数字やお客様の投資意欲との間には、やや乖離(かいり)が生じている気がする。
代表取締役社長
大塚裕司
──複写機の販売台数は、21年上期は前年を上回るペースで推移していたが、第3四半期は前年を下回る状況だ。
コロナ禍の部品不足に加え、市場のニーズが変化していることが影響している。以前は複写機をリプレースすると、コストは1、2割安くなることがあったが、オフィスに行かない働き方が広がったことで、コストをそこまで下げられない環境になった。これまでのような単品売りの価格勝負や、売りたいものを売りに行くという提案は通用しにくくなっている。
課題解決に向けて原点に戻る
──ここ数年、コンセプトとして掲げる「オフィスまるごと」関連のビジネスの状況は。
新規顧客を単品で獲得し、それから複合ソリューションを提案することに重きを置いているが、まだできていない部分は多い。21年に創業60周年を迎えたので、もう一度原点に戻り、お客様の小さな困りごとを起点に、しっかりと課題を解決していく。
――オフィスを取り巻く環境の変化への認識は。
テレワークの裾野は広がったが、オフィスは引き続き重要な場所だと思っている。リアルとデジタルを組み合わせることで、今までできなかったことができるようになる可能性はある。
――今後、商談の切り口になりそうな商材やサービスについては、どのように考えているか。
オフィス用品通販サイト「たのめーる」は、変わらず有望だ。ドキュメント系や改正電子帳簿保存法絡みも切り口になると思っている。工場でのIoT活用が増えるほか、中堅以上の企業でAIの活用が進むことが考えられるので、この部分でのソリューション展開も期待できる。
──恒例の年頭スローガンは。
年頭スローガンは「お客様に寄り添い、DX・全商材で共に成長する」とした。これまで重要視してきた「DX」や「オフィスまるごと」は引き続き推進していく。その上で、営業担当者は、担当商材以外は弱い部分があるので、全商材という言葉をスローガンに入れることで売りやすいものを売る、あるいは売りたいものを売るという考えからの脱却を目指すという思いも込めた。