──2021年のビジネスの総括を。
21年は、デジタル庁の新設やデジタルトランスフォーメーションの推進、脱ハンコ、テレワークなど、いろいろなキーワードがあり、期待感を持っていた。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大や、それに伴う緊急事態宣言があった。主力の基幹系製品「SMILE(スマイル)シリーズ」は、まだオンプレミスの割合が多いので、対面販売の部分で想定以上の逆風が吹いた。年間を通じて業績は厳しかったと感じている。
代表取締役社長
橋倉 浩
──成果は。
業績は今ひとつだった一方、成果の多い1年でもあった。具体的には、SMILEのクラウド化を達成し、共創をキーワードにしたつながるビジネスの開発はほぼ予定通り進められた。SMILEより早くクラウド化した情報系製品「eValueシリーズ」のクラウドビジネスは、もくろみ通り立ち上がった。ビジネスの柱となっている受託開発については想定以上に伸び、この領域にまだニーズがあることが分かったことも成果の一つだ。
──印象的なトピックは。
電子帳簿保存法の改正絡みの動きだ。21年後半から、前年に比べて3~4倍と、想定をはるかに上回るペースで売り上げが伸びた。既存顧客に加え、新規顧客からの引き合いも多くなっている。法改正への対応だけでなく、将来の業務効率化につなげられる点が評価されたと思っている。
壁を打ち破る覚悟を決めた
──22年はどのような方針でビジネスを展開するか。
22年は、1歩先に行く年にしたいとの思いを込め「時代を見据え次世代製品改革に挑む」をスローガンに設定した。SMILEシリーズはリリースしてから40年以上、eValueシリーズも数十年がたった。目標だった基幹系と情報系を融合させる部分は、Vシリーズでいったん完成した。時代に合った形にすることを目的としたクラウド版も開発した。ただ、製品の技術基盤は、必ずしも今の時代に合ったテクノロジーになっているとは言い難く、エンジニアの育成も課題になっている。22年は製品もエンジニアもリニューアルし、新たなスタートを切ることを計画している。
──具体的にどのような構想を描いているのか。
まずは得意とする年商10億円未満の層をターゲットに、強みを生かしたクラウドネイティブな新製品の提供を目指す。既存製品の機能強化やお客様のサポートと同時に進める必要があり、やってみないと分からない部分はあるのは事実だが、先に進むためには、壁を打ち破っていかないといけない。覚悟を決めた格好なので、本当にいい製品をつくっていきたい。エンジニアについてはクラウド関係の技術力の向上に努める。