Special Feature

物流業界で広がるIT活用 ベンダーはDXの後押しに注力

2023/03/23 09:00

週刊BCN 2023年03月20日vol.1961掲載

 国内のビジネスや生活を支える物流業界で、IT活用を目指す動きが広がりつつある。これまで指摘されてきた人手不足や過酷な労働環境といった課題に加え、時間外労働への規制強化を背景とする「2024年問題」もあり、変革の必要性が一層高まっているからだ。関連市場は右肩上がりで拡大するとみられており、ITベンダーは「物流DX」を後押ししようと、ソリューションの開発や提供に注力している。
(取材・文/齋藤秀平、岩田晃久、大向琴音)
 

迫る「2024年問題」へ対応は急務

 21~25年度を期間とする国の「総合物流施策大綱」において「物流は、我が国における豊かな国民生活や産業競争力、地方創生を支える重要な社会インフラ」とされているように、物流は国の発展にとって非常に重要だ。しかし、業界を取り巻く環境は明るいとはいえない状況が続く。最近は、インターネットショッピングの台頭で小口配送が急増し、物流プロセスの効率が悪化。ドライバーの高齢化やなり手不足、長時間労働が慢性的な課題となっている。それに加え、24年4月以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間が制限されることで、配送できる貨物量の減少や運賃の高騰などの混乱が生じる「2024年問題」への対応も必要で、事業者が既存業務の見直しに迫られている。

 物流業界ではこれまで、技術革新やデジタル化の遅れが指摘されていた。一方、最近は官民による取り組みは進んでおり、徐々に新しい技術を活用し、生産性の向上を図る動きが活発になっている。

 富士経済が22年12月に発表した調査レポート「23年版 次世代物流ビジネス・システムの実態と将来展望」によると、22年は、EC需要の増大による物量の増加や、複雑なオペレーションへの対応を背景に、人手不足解消、業務効率化に向けて、ロボティクスやAI、IoTなどの先端技術を活用した機器・システムの導入が進み、市場は21年比7.4%増の7114億円に達する見込みだ。さらに30年は同比78.6%増の1兆1831億円まで拡大するという。
 

 レポートは「ドライバーの労働環境の整備と人材確保のための取り組み、新たな輸送スキームの構築などが進められており、その中で『物流DX』のニーズが増加し、ビジネスチャンスが広がっている」と展望している。

 物流業界は、山積する課題を解決し、国の成長を支える役割を果たすために変わろうとしている。既に市場が盛り上がりの様相を示す中、ITベンダーはビジネスの拡大を見据えて動き出している。多様なニーズに応えるために、どのような手を打つのか。各ベンダーの戦略を紹介する。
この記事の続き >>
  • 各ベンダーの戦略を紹介:BIPROGY 提携を広げてビジネスを強化
  • 各ベンダーの戦略を紹介:NEC 倉庫業務の人手不足解消を支援

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