Special Feature

クラウドベンダーがけん引する小売りDX 激変する事業環境にどう挑むか

2023/08/07 09:00

週刊BCN 2023年08月07日vol.1980掲載

 国内大手を中心に、小売業でのDXが広がっている。消費者の購買行動が変化する中で、売り上げや利益の確保、顧客体験の改善はもちろん、長時間労働の改善、生産性向上といった内部課題の対処に迫られるなど、激動する事業環境を前に、デジタル技術を活用したビジネス変革は待ったなしの状況だ。DXを支援するクラウドベンダーの動向から、小売りDXの今を探る。
(取材・文/袖山 俊夫  編集/藤岡 堯)
 

アマゾン・ウェブ ・サービス・ジャパン
小売業者としての知見で貢献

 「重要度が増しているのが、オンラインと実店舗をまたいだユーザー体験だ」。アマゾン・ウェブ ・サービス・ジャパン(AWSジャパン)技術統括本部技術推進本部の小林正人・本部長はこう指摘する。販売チャネルや顧客接点が分散する現代において、さまざまなチャネルで統一的なサービスを顧客に届けるために、システム連携は不可欠だが、実際は分断されている例は少なくない。
 
AWSジャパン 小林正人 本部長

 この問題を解決する考え方として、小林本部長が言及したのが「ユニファイドコマース」だ。多様な顧客情報を集約・統合し、パーソナライズされた消費体験を提供する取り組みである。その実現にはデータの扱いがかぎとなる。小林本部長は「チャネルとデータベースを分離し、マイクロサービスを使用してチャネル間で共通のコマース機能を使用する。そのためには変化に適したプラットフォームが必要であり、クラウド活用が有効だ」と説明する。

 AWSは、小売業を主力とする米Amazon(アマゾン)が展開するクラウドサービスだ。その特性はスタートアップの俊敏性とエンタープライズリテールリーダーとしての経験を融合して、変革の推進を支援している点にあるという。「これが小売企業にわれわれが貢献できるポイントだ」と小林本部長は強調する。

 AWSで何ができるのか。小林本部長は「インサイトの改善と運用の最適化、顧客体験の変革の三つの柱がある」とする。例えば、良品計画はECや店舗サービスなどの顧客領域、マスタ管理や商品計画・発注をはじめとする商品領域、販売・購買管理に代表される会計領域、データウェアハウスといった共通基盤の各領域でクラウドシフトを進め、業務改革につなげている。

 加えて、AWSが近年注力しているのがデータ利活用への挑戦だ。多くの小売企業がデータの重要性を認識しているものの、十分に利活用できていない。こうした状況を改善していくための方法論として、「モダンデータストラテジー」を提唱する。これには三つの要素がある。一つめが拡張性、信頼性、安全性に優れたクラウド環境に移行する「MODERNIZE」、二つめがデータサイロを解消しデータの重ね合わせを容易にする「UNIFY」、三つめが新しい体験を発明しビジネスプロセスを再構築する「INNOVATE」だ。AWSは、これらを包括的に支援しているだけでなく、さまざまなサービスと組み合わせることでさらなる価値を創出することが可能とみる。

 現在、大きなトピックとなっているのは生成AIである。「AWSはこのテクノロジーを既に多様なサービスで使っており経験も豊富。お客様の用途に合わせて最適な基盤モデルを提供できる」(小林本部長)とアピールする。

 その上で「われわれは、お客様に『執着』することを重視している。パートナーと連携しながら、大きな価値を提供したい」(小林本部長)と意気込む。
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