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デル、年次イベント「Dell Technologies World 2025」を開催 成長の“電力”として生成AI実装をパートナーと推進
2025/06/09 09:00
週刊BCN 2025年06月09日vol.2062掲載
(取材・文/堀 茜)

「AI Factory」を支える最新製品を多数発表
「AIは世界を前進させるオペレーティングシステムで、企業がデータから価値を創造するために、AIは電力と同じように必須となっている。当社はこの変革を推進する送電網だ」。基調講演で、マイケル・デル・会長兼CEOは、AIが企業の成長にもたらす変革の重要性について繰り返し訴えた。
同社は2024年の年次イベントで、企業がAIを適切に活用できるよう支援する戦略「Dell AI Factory」を発表した。AI対応のハードウェア、ソフトウェア、プロフェッショナルによるサポートなど、さまざまなインフラとサービスを提供する包括的なAIソリューションで、データの準備からモデルの展開まで、AIのライフサイクル全体を管理する。デル会長兼CEOは、1年間でグローバルで3000超のAIプロジェクトが生まれたことを報告。同社の調査によると、大規模言語モデル(LLM)の推論処理をオンプレミスで行った場合、パブリッククラウドと比較し、コスト効率が最大60%優れているとし、「投資収益率(ROI)と生産性を20~40%押し上げた」と成果を強調した。
今後さらにAI実装を推進するために発表したのが、エヌビディアとの協業強化だ。両社の協業による統合モデル「Dell AI Factory with NVIDIA 2.0」として、多くのカテゴリーで最新製品を発表した。「PowerEdge XE9780L」「PowerEdge XE9785L」は、次世代の水冷サーバーで、最新GPU 8基と高速ネットワーキング機能を統合したエヌビディアの「HGX B300」を搭載し、LLMの学習を従来の4倍の速度で実行できる。25年後半の提供開始を予定する。

「PowerCool eRDHx」
多くのGPUを搭載した際に避けられないサーバーの冷却問題に対応するため、独自開発した新しい冷却ラック製品「PowerCool Enclosed Rear Door Heat Exchanger(eRDHx)」も発表した。自己完結型のエアフローシステムにより、IT機器から発生する熱を100%回収するように設計されているという。最新の水冷サーバーと冷却ラックの利用で、冷却コストを最大60%削減し、より高密度のAI環境を実現する。ネットワークスイッチの新製品やソフトウェアのアップデートも実施。AIネットワークのパフォーマンスを高速化する「NVIDIA Spectrum-Xイーサネットネットワーキングプラットフォーム」の一部として、高密度かつ低レイテンシーのスイッチ「PowerSwitch SN5600」を提供する。
デル会長兼CEOは、企業の85%が、今後24カ月以内に生成AIのワークロードをオンプレミスに移行する見通しとする同社の調査を紹介。エヌビディアと共同で展開するAIソリューションによって、AI Factoryの導入件数は、現在の数千から今後数年間で数百万と飛躍的に増大するとの見通しを示し、「当社は、世界中の何百万ものお客様にAIを提供するという使命の先頭にエヌビディアと共に立っている」と力を込めた。

アバターで返答するデモストレーション
会場には、同社の最新ソリューションが数多く展示された。来場者の多くは環境負荷への関心が高く、冷却ラックのPowerCool eRDHxは常に多くの人が説明員からの解説を受ける様子が見られた。また、AI PCのブースでは、手話をカメラが読み取ってPC内で解析し、英語に翻訳。入力した返事をAIが手話に変換し、画面上のアバターが手話で返答するデモンストレーションが行われた。PCについてデル会長兼CEOは、「Windows 10」のサポート終了が10月に迫っていることに触れ「15億台のPCをAIイノベーションで刷新するために、責任ある取り組みが必要だ」とAI PCの普及に一層力を入れる考えを示した。
- 販売もエージェントで効率化へパートナーが顧客ごとに構築
- 日本市場での生成AI実装に全力
- ITインフラの管理に「分離型」の概念を提唱
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