米Dell Technologies(デル・テクノロジーズ)は米国時間4月8日、サーバー「PowerEdge」をはじめとする同社のITインフラ製品全般で多数の新機種を発表した。性能と効率性をともに向上させることで、データセンター運用のコスト効率を改善するほか、分析やAIなどのワークロードではより大規模なデータを高速に処理できるようにした。バックアップ用ストレージでも新製品を投入し、データ保護や事業継続に向けたソリューションも強化した。
サーバーのPowerEdgeでは、より多くのワークロードを集約できるデュアルソケット(2CPU)製品と、厳しい予算やエネルギー要件に対応するシングルソケット(1CPU)製品の両方を用意。米Intel(インテル)のCPU「Xeon 6」シリーズを搭載し、同社の前世代の同クラス製品から67%の性能向上を図った。サーバー1台に搭載できるCPUコア数も増加していることから、サーバー台数の削減が可能となっており、データセンターのスペースや電力消費の効率を改善できる。
ストレージでは、主力製品「PowerStore」に搭載するソフトウェアの最新版で、AIを活用した運用支援を強化した。製品の使用状況や性能をAIが自動的に分析し、アラートやその対応の自動化、CO2排出量の予測などの機能を提供する。
オブジェクトストレージ「ObjectScale」の新製品では、オールフラッシュ製品、HDD製品の両方で性能を向上させた。大規模なデータセットを用いたAIトレーニングといったワークロードに対応するほか、動画など大容量メディアの取り込みやバックアップなどでもコストを抑えながら処理時間を短縮できる。また、米Wasabi Technologies(ワサビテクノロジーズ)との協業でクラウド連携基盤を共同開発した。オンプレミスとクラウドにまたがったストレージ領域の構築やレプリケーションが可能。
バックアップ専用アプライアンス「PowerProtect Data Domain」では製品ラインアップを拡大。小規模企業や拠点などで導入しやすい最小12TBからの機種を用意したほか、高性能機種ではオールフラッシュモデルを投入し、復元の高速化や省スペース化を図った。
クリス・ケリー シニアバイス プレジデント
同社でアジア太平洋地域のITインフラ製品営業を統括するクリス・ケリー・シニアバイスプレジデントは、「企業は仮想化基盤やデータベースといった従来のワークロードだけでなく、コンテナ化されたモダンなアプリケーションやAIにも対応する必要がある」と述べ、製品のバリエーションを拡大した意図を説明。日本向けでは愛媛県が行政基盤にPowerEdge、PowerStore、PowerProtectを導入し2024年から本格運用を開始していることを紹介し、新しい製品の採用は性能のみならず柔軟性やセキュリティーの向上にもつながることを強調した。
(日高 彰)