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<ラネクシー特集>4月1日に「プロトン」から「ラネクシー」へ

2008/04/14 19:56

週刊BCN 2008年04月14日vol.1231掲載

 2008年4月1日、「ラネクシー」が誕生した。最新の技術をもつベンダー製品をユーザーの手元に届くよう橋渡しするのが、同社の使命だ。これまで「プロトン」で培ってきたノウハウを生かし、ビジネスをさらにドライブする「ラネクシー」について、二瓶孝二代表取締役社長に話を聞いた。

ベンダー、パートナー、顧客へのベネフィットをついに走り出したラネクシー

ソフトウェアに軸足を移すラネクシー

 2002年5月、「ラネクシー」の前身である「プロトン」が誕生した。「プロトン」は、システムインテグレーターの「YDKシステムセンター」、ソフトウェアの企画・販売会社「ソフトボート」、ハードウェアの開発・販売会社「プロトン」が合併して生まれた企業。ソフトウェアとハードウェアの融合を図り、ソフトウェア、ハードウェア、サービスという垣根を越え、顧客に必要なソリューションをワンストップで提供した。

 「ハード・ソフト・サービスの統合効果を狙ってのスキームでした。しかし、ハードウェア市場の環境は大きく変化しました。国内大手や海外からなど多くのベンダーが参入し、価格競争に陥りました。結果として取り扱いロットが落ち、コスト高となり始めたのです。そこで、コンシューマ市場から撤退し、法人に特化して展開してきましたが、こちらもコスト的に見合わなくなり、07年3月にハードウェア市場からの撤退を決めました」と、二瓶孝二代表取締役社長は語る。

 現在では、ハードウェアの保守・サポートをアウトソーシングし、「プロトン」のビジネスとしてソフトウェア・サービスを中心に展開している。しかし、ハードウェアから撤退してもなお、ハードウェアメーカーとしての「プロトン」という名前が残った。二瓶社長は、この状態を「しっくりこないな」と感じていたという。

 同社はここ数年、会社として次のステージを目指すフェーズに移る準備を進めていた。その準備がすべて整った08年4月1日、満を持して「ラネクシー」が誕生した。業態が完全にソフトウェアとなり、公開を視野に入れた新しい展開を図るという新たな目標を旗印に、「ラネクシー」としてセカンドステージを歩み始めたのである。

キャッチコピーはRun in the Next!

photo 「社名は、30件以上検討しました。受け流されることなく、耳にとまるような感覚の社名にしようと思いました。その中で残ったのが“ラネクシー”です」(二瓶社長)。確かに「ラネクシー」という言葉の響きは、印象に残る。

 ラネクシーのロゴを見ると、「Run in the Next!」というキャッチが添えられている。このキャッチには、「スピード感を持って新たなことにチャレンジしていく」という思いが込められている。先端技術や新しいコンセプトの製品を取り扱い、世の中に提供してきた同社には最適だ。ロゴのカラーは、同社の熱い思いを込めてオレンジを採用している。これを見るだけでも、同社の意気込みが伝わってくる。

 「今後の日本のマーケットを考えたときに、“開発”をするよりも、先端技術などをいち早く紹介する“目利き”のビジネスが大きくなると考えています。当初と比べて30倍のビジネスに育った“Acronis True Image”などはその好例といえるでしょう」(二瓶社長)とのことだ。

 「Acronis True Image」は、バックアップソリューションの中でも一定以上の知名度を有し、多くのユーザーからの支持を獲得した結果、販売店などでも必ず置かれている定番ソフトウェアとなった。法人向けソリューションも好調で、今もなお「倍々」に伸長しているとのことだ。

 「当社では“セキュリティ”“システム運用管理”“ウェブ”“仮想化”といったカテゴリの中で、業種業態を問わず誰もが使える製品、ユーティリティ、ミドルウェアの提供に注力しています。さまざまなベンダーと協業しながら、お客様のニーズに応えていくソリューションを随時提供していく予定です」(二瓶社長)という。

 これだけ幅広いカテゴリの製品を提供できるのも、同社がいわゆる「独立系」であるためだ。メーカーやベンダーグループの傘下では、グループ自体の戦略も考慮しなければならず、このような展開は難しい。

 もちろん、同社が扱う製品の開発元のベンダーは、まだ規模が小さく、多くの市場に進出する体力がない場合も多い。そういったベンダーとのパイプを太くし、信頼関係を構築すれば、日本市場にマッチした商品を提供すると同時に、ビジネスチャンスが拡大できる。ユーザーとベンダーの橋渡しをすることにより、双方がメリットを享受できるようになる。

 「エンドユーザーのニーズに敏感になれば、ベンダーとの関係強化も図れます。“Acronis True Image”は、5年かけてシステム運用管理ソフトのブランド製品として認知されるまでになりましたが、これを1年から2年程度のスパンで行えるのではないかと考えています」(二瓶社長)。ラネクシーの財務基盤も強化し、ベンダーへの経営支援なども視野に入れているとのことだ。

 また、パートナー施策にも力を入れる。ラネクシーの製品をパートナーが持っているソリューションに組み込むことで、パートナーの付加価値を高めることにもつながる。また、ラネクシーに注力してくれるパートナーに対しては、より販売を伸ばせるよう、ラネクシーとしての協力も惜しまないという。パートナーと共に、市場を広げようという構えだ。「ラネクシーの目標は“売り上げ倍増”ですね。社員が潤い、企業が大きく成長していくことが何よりも重要だと思っています。また、よい製品を提供し、パートナー様やお客様にも喜んでいただきたい。当社は、すべての企業にとってパートナーとなりうる存在だと考えています。パートナー様とともに、業界全体を活性化するような展開をしていければと考えています」(二瓶社長)。

 次の世代に向けて走り出したラネクシー。同社の新しい展開に、業界からも注目が集まっている。
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外部リンク

ラネクシー=http://www.runexy.co.jp/