お客様の経営に最適なソリューション、IT環境を提供する日本事務器は今期、さらなるチャレンジに向けて抜本的な構造改革を行なった。そこで、新たなスタートを切った同社の陣頭指揮をとる田中啓一社長に、今回の構造改革の狙い、今後のパートナー戦略について話を聞いた。

業種/地域で加速するNJCパートナービジネスの強みと可能性を探る!
お客様目線での業種対応力に顧客対応力を強化 4つのラインで構造改革に着手

地域対応力と専門性を両立
改善効果に確かな手応え


 日本事務器は、2008年4月、業種対応力と地域顧客対応力強化に向けて、『地域営業ライン』『ソリューション事業推進ライン』『テクニカル事業ライン』『アドミニスタッフライン』に組織を再編し、構造改革に着手した。

 田中社長は、「従来の業種ビジネスユニット型の体制では、業種・業界対応力の専門性が向上する一方で、地域の顧客対応力低下が課題となっていました。そこで、業種・業界に対する専門性を高めつつ、より地域性を重視した体制(支社・業種対応型)へ再構築したわけです」と、今回の構造改革の狙いを説明する。

クリックで拡大 改革後の支社・業種対応型は、全国を東地域営業本部と西地域営業本部にセグメントし、東地域営業本部内に北海道支社、東北支社、関東信越支社、首都圏支社を、西地域営業本部内に中部支社、関西支社、中四国支社、九州支社を設置。さらに地域に関係なく活動できる専門部隊として各地域営業本部内に特定事業部を加えた全10ユニットで構成。各支社には、医療・公共やERP、ITプラットフォーム、地域対応のIT営業など各スペシャリストを配置したため、地域に根ざしたお客様目線で専門部隊による業種対応の充実を図ることができる。

 さらに、医療、福祉、保健、文教などの『医療・公共事業』と、食品、通販など業種向けのERPを推進する『業種ERP事業』を「ソリューション事業推進ライン」とし、全社共通事業として展開。全社共通事業以外の地域独自の自主事業は特定事業部が取りまとめ、事業のカテゴリを明確にした。

 「全社共通事業において、医療事業は、特定健診をはじめ、レセプト電算処理や電子カルテなど今後一段と期待できる分野です。文教事業では学生サービスや大学図書館向けのパッケージに注力していきます。自主事業では、大手食品飲料に関連した事業をはじめ、SPA(温浴施設)やオートオークション、漁協、通販など様々な業種別のソリューションでお応えしています」

 また、技術に立脚したプラットフォーム&サービス(P&S)やQC(品質管理)、開発手法などを一元化するためのパッケージ開発部隊を「テクニカル事業ライン」とし集約を図り、子会社や外部のソフトハウスも組み込んで、生産性の向上を図っている。

 「東、西地域営業本部、さらにソリューション事業推進ライン、テクニカル事業ラインにそれぞれ取締役を置き、技術分野、全社事業推進、現場の事業責任をより明確化しました。現場の改革はこの次の段階ですが、まずは改革の浸透度をチェックしながら改革を進めることです。すでに一番の狙いであった“各地域のお客様目線”という部分では、かなり改善されたという手応えを感じています。営業・システム・サービスのチームワークも非常によくなりました」と、田中社長は早くも改革の成果を実感しているという。

専門性の追求に向け「PTE」を設置
プラットフォームSIを推進


 技術力に定評がある日本事務器では、今期から新たにキーワードに掲げる「プラットフォーム」を事業として推進するため、従来のSEやCEを統合して、新たにプラットフォームテクニカルエンジニア(PTE)を設置した。

 「ネットワークやミドルウェア、情報系のアプリケーション(ドキュメントやワークフローなど)の専門家を社内で集め、従来は顧客の要望に合わせて対応していたプラットフォームに関する提案をメニュー化する体制を整えました。昨今の旬である『仮想化』や『シンクライアント』『アクティブディレクトリの設計構築』なども、このPTEが中心となって担当します」

 現在、約16名のPTEを、東京や大阪を中心に配置。必要に応じて地域を横断した顧客対応にも取り組んでいく。

 「プラットフォーム事業は、メニューを用意して体系化しました。サーバの仮想化、アクティブディレクトリの構築などに特化したプラットフォームSIを推進していくとともに、他のベンダーとの補完業務が増えると見ています。その際、開発設計から構築、運用・保守までワンストップでサービスを提供できる強みが大きなアドバンテージとなるでしょう」と、田中社長は期待を寄せる。

 また、オフコン販売で実績をあげてきた同社のユーザーの中には、現在でも約3200システムのオフコンが稼動している。このため、「A-VX(オフコンの総称)タスクフォース」を結成して、ベテラン営業約15名を各地に配置し、オープン化やカスタマイズに対応していく予定だ。また、ハードウェアの老朽化といった課題に対して、PaaSによるサービス提供を計画しており、付加サービスなどの検証を経て、来年度の事業化を目指している。

地場、異業種パートナーとの協業
パートナープログラムを策定へ


 昨今の市場は、原材料高や原油高によって、業界にも大きな影響が及んでいる。しかし、勝ち組になるためには、IT投資による付加価値がより重要な意味合いを持つ。

 「支社・業種対応型への転換は、地方ビジネスを活性化させる狙いがあります。拠点が多い当社としては、構造改革第二弾として、地域や販売パートナー戦略の強化を目指す予定です」

 顧客ニーズの多様化、技術の変化などに応えていくには、他社との共同開発や、地場のSIer、異業種の販売パートナーとの販売提携など、相互に付加価値を提供できる体制が不可欠だ。そのため、「パートナープログラム」を作成して、「質」の高いパートナー教育、活動を支援していく。

 日本事務器の構造改革はまだスタートを切ったばかり。新設した事業推進ライン、地域営業ラインがどのような成果をもたらすか、今後の動向に注目だ。