ハウジングやホスティングに加え、MSP(Managed Service Provider)サービスを柱として事業展開を行うイーツ。1999年の設立以来、多くのノウハウを蓄積し、さまざまな顧客のニーズに応えてきた。MSPサービスは、ユーザー企業はもちろん、パートナー企業の付加価値として利用されるなど、新たなビジネスチャンスを生んでいる。イーツの事業戦略について、代表取締役の田中辰夫氏に話を聞いた。

顧客志向を追求する フルカスタマイズの運用サービス

一般的なMSPと一線を画す
フルカスタマイズのMSP


 「当社は、携帯電話向けコンテンツプロバイダの運用会社としてスタートし、その後、アウトソーシングニーズの高まりに応える形でハウジングサービスやホスティングサービス、そしてマネージドサービスへ軸足を移してきました。特に、“監視・運用・作業”を提供するMSPサービスは、その独自性から多くのユーザー様にご支持いただいています」と語るのは、今年7月に就任した田中辰夫社長だ。

 

 他のデータセンターもMSPサービスを提供しているが、死活監視や通報などが中心で、障害時にもアラートをあげるまでにとどまり、その後の運用・保守の大半はユーザーが行わなければならないケースが多い。

 そのような中、イーツは顧客ニーズが高まっているフルマネージドへの対応を図るべく、MSPサービスの品質向上を続けており、この点が、他のMSPサービスとは一線を画す独自性となっている。「(フルカスタマイズのMSPサービスなので)当社をご利用いただく企業様とは、長いお付き合いになります。実際にお客様から“ここまでやってくれるんだ”と驚かれることも多く、さらに他のお客様へのご紹介につながっています。他社が提供していない、きめ細かなサービスが提供できている証しといえるでしょう」(田中社長)。

 イーツは、ユーザーの求めるスペックに合わせてフルカスタマイズしたMSPサービスを提供してきた数少ない企業である。その実績と経験こそが、既存ユーザーからの厚い信頼を獲得し、長期にわたる利用を実現しているのだ。「コンテンツプロバイダとしての開発の経緯があるため、ユーザー側に立った運用サービスを提供できます。当社のお客様は、ミッションクリティカルなインターネットビジネスを行っているケースも多く、お客様ごとのニーズも異なっています。その声に応えるために、お客様ごとに異なるMSPサービスを提供しているのです。もちろん、そのノウハウを持ったエンジニアも多く抱えています」(田中社長)。顧客企業が安心して同社のサービスを利用できるよう、ISO27001やISO9001なども取得している。

 イーツのMSPサービスを活用することで、システム担当者を中心に行われてきた作業の一部をイーツが請け負うことになる。その結果、企業はシステム担当者というリソースを本来の業務に割り当て、コアビジネスに専念することができる。つまり、運用コストを削減しながら、生産性の向上にも結びつくのである。

 さらに、障害時のダウンタイムによる損害を最小限にすべく、障害発生を未然に防ぐことはもちろん、万が一の障害時には高い技術力を有したイーツのネットワークエンジニアが障害の一次対応を行う。24時間365日稼働することが当たり前となっているミッションクリティカルなWebサイトには、このようなMSPサービスの利用は不可避と言えよう。

経験を生かしたさまざまなサービスを提供

 コストセーブといった観点や運用の容易さから「仮想化」ニーズが高まっている中、イーツは仮想化技術を活用した「新・仮想化サービス」の提供を開始した。

 多くの企業では、業務効率・生産性の向上を目指し、多くのサーバーを導入した結果、サーバーが乱立して運用・管理が困難となっている。そのため、これらを統合し、コスト削減と運用を容易にしようという動きが活発になっている。さらに、サーバーのOSやアプリケーションのアップグレードをしないといった、既存システムの延命措置を行いたいとするニーズも顕著となっている。これらの声に応えるのが「新・仮想化サービス」である。

 

 メリットの多い仮想化だが、同一ハードウェア上に多くの仮想サーバーが稼働することになり、これまで以上に障害時のインパクトは大きくなる。24時間365日の有人サポートを実現できるイーツであれば、安心して運用を任せることができる。

SaaS/ASPのスタートアップキットとしてソフトベンダーの利用も促進

 一方、ソフトウェアベンダーは、従来のパッケージソフトだけではなく、SaaS/ASPとしてサービスをエンドユーザーに提供できる土壌を整えつつある。しかし、それらはやはりミッションクリティカルなサービスとなるため、システムの構築や運用ノウハウがなければ新たなサービスを提供できない。そのジレンマにも、イーツは応える。「ソフトベンダー様がSaaS/ASPでサービスを開始しようとする場合、アプリケーションの開発ノウハウに加え、システムの構築・運用のノウハウが必要となります。しかし、それが容易にできないため、二の足を踏んでしまうケースが多いようです。このようなソフトウェアベンダー様にとっては、当社が従来から培ってきたサービスを、SaaS/ASPのスタートアップキットとして利用いただけます」(田中社長)。

 ここでもやはり、ソフトウェアベンダーは本来のアプリケーション開発に全力を尽くすことができるわけだ。さらに、前述の「新・仮想化サービス」と組み合わせれば、1台のサーバー上に異なるバージョンのWebサービスを展開することも可能となる。これらは、顧客の要望に応えるカスタマイズを得意とするイーツならではのサービスメニューと言えよう。

イーツのMSPサービスをパートナーの付加価値に

 「最終的に“運用”は避けて通れない部分です。しかし、本当の意味での“運用”まで請け負える企業がないため、お客様自身がシステムを“運用”してきたという事実は否めません。当社は、その“運用”を提供できます。パートナー様経由でのサービス提供も行っているので、パートナー様が、自社の付加価値として当社のサービスを利用するケースも増えています」と田中社長はSIerやNIerとの協業に対する意欲も見せる。

 イーツのデータセンター内はもちろん、他のデータセンター内で稼働しているサーバーに対してリモートサイトからの提供や、人的資源を提供し、オンサイトでのMSPサービスも提供している。イーツのMSPサービスは、SIer/NIer、ソフトウェアベンダーなどのパートナー企業にとっては新たな顧客を開拓するビジネスチャンスとなることは間違いない。その付加価値を活用し、顧客への提案の幅を広げ、市場を拡大するために活かしてみてはどうだろうか。

クリックで拡大