日本オラクル(遠藤隆雄社長)では、中堅企業向けの市場でパートナーと連携してビジネスを創出する「Game Plan for Mid.Market: Oracle ECO Model」と称する戦略が軌道に乗り始めた。同戦略では、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)やソフトウェアベンダーなどが持つ「得意技」と連携させ、これを「売りだま」として販売を担当するSIerが対象ソリューションを流通するまでの「ビジネスモデル(エコモデル)」を構築することを目指している。第一弾として、BI(ビジネス・インテリジェンス)分野でこの活動を開始した。既に富士通ビジネスシステム(FJB)との協業が始まり、多くの商談を成立させ、同社の営業シナリオに組込まれた営業活動を行っている。

ISV、ソフトウェアベンダー、SIerと「セールスシナリオ」を共有

パートナーの相互連携で中堅攻め

 国内でオラクル製品を担ぐパートナー(SIer)が、オラクルのパートナープログラムに加盟しているISVやソフトウェアベンダーのソリューションを「セールスシナリオ」として顧客に提案するのが、この「エコモデル」である。

 日本オラクルは中堅市場で元請け(プライム)実績のあるSIerと協業し、オラクルベースのソリューションを提案するだけではなく、各SIerのプロモーション活動や営業活動を共に実施することで、中堅市場における案件を増やす戦略をとる。

 このモデルに関係するベンダーとしては、ISVや要素技術に長けた受託ソフト開発ベンダーのコミュニティーである「ニュー・テクノロジー・インテグレータ(NTI)」のほか、ディストリビュータなどを想定。SIerの販売戦略に応じ、これらプレイヤーを絡めた中期的な「ビジネスシナリオ」を策定する。

 SIerに対してBIなどオラクル製品別にセールスシナリオをつくり、技術的な支援はもとより、営業・マーケティングを含めてユーザー企業にソリューションが届くまでのすべてのタイミングで、同社パートナーが絡む形態としているのが特徴だ。

 日本オラクルでは、既にISV向けには「On Oracle」、ソフトウエアベンダー向けには「NTI」と、パートナー属性に応じたプログラムは展開済みだが、パッケージ製品を提供するISV、ソフト開発するNTIとそれをインテグレーションするSIerの3者が横軸で連携するケースは少なく、各プレイヤーの「得意技」を結集して一つの案件に取り込むことは難しかった。

まずはBIでFJBとシナリオ策定

 そこで同社が繰り出したのが、「Game Plan for Mid.Market: Oracle ECO Model」と称する戦略である。この戦略に中堅市場に強いSIerとして富士通ビジネスシステム(FJB)が名乗をあげた。

 日本オラクルとFJBは、昨年11月に双方のビジネスプランを共有し、複数のセールスシナリオとこれを展開するプロモーションプラン」を策定した。具体的には富士通の主力ERP(統合基幹業務システム)「GLOVIA」のユーザー企業に対しオラクルの低価格BI「Oracle Business Intelligence Standard Edition One(Oracle BI SE One)」をエンジンとした各種のBIテンプレートを準備。続いて「提案活動」「受注活動」を日本オラクルの中堅市場の営業を担当する「ゼネラルビジネス営業本部」と連携し、組織化した活動として詰めた。

 今回の戦略を指揮する日本オラクルの遠藤哲・アライアンス統括本部パートナービジネス推進本部ソリューション推進部部長は、今回の戦略について次のように語る。「ISVには競争力のある『売りだま』をつくってもらい、NTIには他にできない『サービスモデル』をつくってもらう。これに加え、SIerが『売りだま』と『サービスモデル』を使った案件づくりをすれば、各プレイヤーがWin-Winの関係を築ける。複雑化する企業システムを1社で賄うには限界がある。それぞれが協力関係を密にすることで市場を発掘することができる」。この先、FJBの成功例を基に、同じように中核となるSIerを3~4社開拓する計画。SIer個々に応じた製品や「ビジネスプラン」に、プレイヤーとしてISV、NTI及びディストリビュータなどを絡め、中堅市場における販売機会の拡大を狙う。

 この戦略では、中核SIerの協力会社になり得るNTIとして全国の受託ソフト開発ベンダーを募る。受託ソフト開発ベンダーにとっては、案件を得る機会が増えることにつながる朗報であり、SIerにとっては、自社にないソリューションや技術スキルをISV/NTIから補完でき、ビジネススピードを落とさずに顧客ニーズに応えることができる。中堅市場をターゲットにした、このような「エコシステム」は、競合のマイクロソフトさえ描けていないため、関心を呼びそうだ。



BI案件増加、不足部分はNTIと連携

 富士通ビジネスシステム(FJB)は、第1ステップとして主力ERP「GLOVIA」を導入する既存ユーザー企業に対し、日本オラクルの「BIキャンペーンプログラム」に基づく提案活動を積極化させている。同プログラムをFJB側で指揮する浅香直也・システム本部WebASソリューション統括部長は「中堅企業はBIを使った管理会計の実現などに興味を抱いている。日本オラクルと共同展開するプログラムは、ユーザー企業に安心感を与えることができ、競合他社と差別化できる」と話す。これまでは、ハイエンドのデータベースなど、プロダクトベースでのつき合いが主だった。しかし、中堅市場向けの「ビジネスシナリオ」を共有することで、同社の領域でオラクル案件が順調に獲得できているという。このプログラムに基づき、FJBはこれまでに多くの商談につなげてきている。「共同で作り上げたBIと融合した会計テンプレートを提案先に紹介すると、『オラクルは面白いモデルを持っている』と関心を示してもらえる。このため、ビジネスがスピーディーに進むようになった」と、浅香統括部長は語る。浅香統括部長はこうもつけ加える。「システム開発現場で人員が足りない事態が生じても、協力工場と目する先の力量が分からないため、探すのに苦労する。日本オラクルのNTIとは安心して組むことができると想定しており、システム構築の工期を短縮化し、当社の足りない部分を補ってもらうことを今後検討していくことを予定している」。

 FJBは、初期の段階で得た成功モデルがビジネスの幅を広げたことで、近く既存ユーザー企業に限らず、新規企業の開拓を開始する計画だ。