昨年来の不況によって、企業の間では依然としてIT投資の抑制が続いている。しかし、企業の情報システムは分散・複雑化し、非効率な運用で、投資、運用コストは増大しているのが現状だ。「コスト最適化」は、当然のキーワードとなっている。
そんななか、システムをデータセンターに移設して統合することによってITインフラを再構築し、効率的な運用でコストを抑制していこうとする動きがある。データセンター(DC)を利用することで、セキュリティに優れた堅牢な設備での24時間監視や、障害対応といった運用アウトソーシングによる安定稼動を実現しようとするものだ。また、追加のITリソースが必要になった場合、インフラ構築、ハードウェア調達に費用をかけず、必要なとき、必要な分だけを従量課金で利用できる仮想化技術を駆使した「オンデマンドサービス」を利用すれば、変化するビジネスのニーズに柔軟かつ俊敏に対応することができ、TCO(総所有コスト)の最適化に効果を発揮する。
大手SIerも含め、DC事業者が続々とオンデマンドサービス提供を開始している。直近では09年11月、ビットアイルが、「Cloud ISLE」ブランドで展開するクラウドコンピューティングサービスに「サーバオンデマンド」サービスを追加した。
また、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は、08年から同社のインターネットデータセンター「D@TA Center」で、「オンデマンドサーバ」と「オンデマンドストレージ」の2サービスを開始。SIとアウトソーシングを中心に、コンサルティングからインフラからミドルウェアサポートまで、一貫したサービスができることが強みだという。
必要なとき、必要なだけ、使った分だけ料金を払う――余剰な投資を抑え、企業のITコストを最適化するには、絶好のサービスといえる。
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