2006年、カスペルスキーが個人向けソフトに参入する際に総代理店となったのが国産ソフトウェアベンダーの雄、ジャストシステムだ。そのジャストシステムのコンシューマ事業部 企画部 横井太輔部長にカスペルスキー製品取り扱いに至った経緯と、今後の戦略について聞いた。

「Kaspersky Internet Security 2010 1年版」

両社の強み生かしたサービスを展開

 ──はじめに御社の概要を教えてください。

ジャストシステム
コンシューマ事業部 企画部
横井太輔部長
 横井
 1979年に徳島県で創立したソフトウェアメーカーとして、ワープロソフト「一太郎」、かな漢字変換ソフト「ATOK」を主力に据えて成長を続けてきました。当社は法人向け製品で官公庁、文教市場を中心にシェアを伸ばし、個人向け向け製品では100万人以上のアクティブユーザーを抱えています。30年培ってきた開発体制、サポート姿勢がユーザーに支持されています。

 ──カスペルスキーの個人向け製品で国内総代理店になったのは2006年でしたね。そのきっかけは?

 横井
 当時の個人ユーザーは、セキュリティソフトをイメージや価格で選ぶ節がありました。本来は「性能」で選ぶべきで、「日本人のPC環境をしっかり守りたい」という思いがありました。06年ジャストシステムでは技術を世界に発信すると同時に、海外の優れたソフトを日本に紹介する方針のもと、世界戦略を推進していました。そのなかでアンチウイルスソフトの検出率を測定する第三者機関「AV-Comparatives.org」の結果で常に上位にあったカスペルスキーに着目しました。

 ──国内市場でカスペルスキーは後発でした。参入当初、どのようにユーザーにアプローチしてきたのですか。

 横井
 カスペルスキーを販売し始めた時点ではシェアNo.1を目指していたわけではなく、シェア10%を取るつもりでいました。「性能」を前面に出し、よくも悪くもユーザーにインパクトを与えたいと、カスペルスキー本社CEOで、世界的なウイルス研究者であるユージン・カスペルスキー氏の顔と「KGB(ソ連国家保安委員会)」という表記をパッケージに入れました。そのおかげでテレビ番組でも紹介され、ユーザーの記憶に残すことができたと効果を実感しています。

 ──2009年に新版「Kaspersky Internet Security 2010」とMac OS対応「Kaspersky Anti-Virus for Mac」を発売しましたね。強みを教えてください。

 横井
 パッケージでは小さなカスペルスキー氏をたくさん並べて「カスペルスキーセキュリティネットワーク(KSN)」を表現しました。全世界で2億5000万人がカスペルスキー製品を使っていますが、2010バージョンではそのネットワークを活かして、最新ウイルス情報を収集し、クラウドベースで未知・既知の脅威を防ぐ技術「KSN」を搭載しています。また、仮想空間上でアプリケーションを実行し、PC本体に影響を与えずマルウェアか否かを判断できる「仮想実行スペース」といった多彩な機能を持ち合わせています。

 また、ネットワークのつながるところにはさまざまな危険が潜んでいるので、Macユーザーにセキュリティのファーストステップを提供するためにMac OS対応版もリリースしました。

 ──量販店中心に製品展開しておられますが、注力する点は?

 横井
 当社は量販店の棚に製品をきちんと並べられることが強みです。当社のラウンダーが、全国の販売店の65%をカバーしています。今後も売り場づくりに注力していきます。セキュリティソフトは、各社が独自技術で開発し、特徴や強みも違います。大手ベンダーの製品で検知できない脅威が出てきた場合には、駆け込み寺となる別のセキュリティソフトも必要です。販売店の方には、引き続き売り場を確保させてくださいとお願いしたいと考えています。

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 ──今後の展開を教えてください。

 横井
 パッケージも重要ですが、このところ、ユーザーのニーズはサービスを利用したいというふうに変わってきています。そこで、我々も月々数百円の定額サービスを検討しています。当社では、先行してATOKの定額サービスを開始していますが、ユーザー数を順調に伸ばしています。今後はカスペルスキーとATOKを組み合わせたサービスを想定し、ISPやWiMAXのMVNO(仮想移動体通信事業者)である販売店に提案することで、両社でビジネスチャンスを獲得できると確信しています。

 ──最後にカスペルスキー社に期待されることを一言お願いします。

 横井
 インターネットに接続できるのは、もはやPCだけではありません。スマートフォン、ゲーム機などほかのデバイスでビジネスを指向しないと市場が広がりません。可能なら、ぜひとも他のデバイスでのビジネス展開を検討していただきたいですね。