コンピューター周辺機器などの製造・輸入・販売を手がけるプリンストンテクノロジー(プリンストン、中出敏弥社長)と、重電機器やソフトウェアなどを開発・製造・販売するキクデンインターナショナル(キクデン、菊池文武社長)はこのほど、「簡単・安心・安価」なNAS(ネットワークストレージ)製品の開発・販売に関して業務提携した。両社は、NASにCDP(Continuous Data Protection)バックアップ/リカバリソフトを搭載したアプライアンス製品を共同開発する。そして、専任のIT管理者が不在で、しかもデータ容量が増す一方の中小企業を主なターゲットとして、プリンストンや大手SIerが販売・サポートを行う。

専任IT管理者不在の中小企業をターゲットに市場拡大へ

協業したプリンストンテクノロジーの中出敏弥社長(右)とキクデンインターナショナルの菊池文武社長

クラッシュ2分前まで差分を取得、高速復旧可能

 両社が共同開発したNAS製品は、プリンストンが販売する台湾のProware Technology社の「proNASシリーズ」にキクデンのCDPバックアップ/リカバリーアプライアンス装置「Data Saver」に入っているソフトを搭載した「datasaver」というアプライアンス製品だ。キクデンの菊池社長は「この製品は、事業継続対策のデータバックアップ・復旧が可能で、低コストでCDPを実現することができる。IT知識は不要で、運用コストの削減に貢献する」と、IT管理者が不足し、NASに不慣れな中小企業でも「簡単・安心・安価」に導入できるという。

 価格は1台46~140万円(税別、3年間のオンサイト保守付き)で、年間500台を目標に販売する。販売・サポートを行うプリンストンの中出社長は「『datasaver』の機能やコンセプトは素晴らしい。この製品を“武器”に他の取り扱い製品を拡販する機会が生まれる」と、ターゲット企業のタイプ別に4モデルの「datasaver」を提供し、自社事業の拡大も図っていく計画だ。

キクデンインターナショナルの菊池文武社長

 「datasaver」に搭載するキクデンのCDPバックアップ/リカバリーソフトは、競合の同種ソフトに比べて、多くの優位点がある。第一には、専任IT管理者が不在でも、簡単に導入・設定・管理ができることだ。例えば、同製品をネットワーク接続後は、ブラウザからログインしてウィザード設定や個別登録、バッチ処理一括登録が簡単操作できる。また、市販されている同等のバックアップソフトの場合、ユーザー数に応じてライセンス購入する必要があるが、この製品は「ライセンスフリー」でWindowsOSのパソコンおよび小規模サーバーを自由に対象として増設でき、これらすべてをカバーできる。

 機能面でも、同価格クラスの製品とは思えない「バックアップ力」を備える。菊池社長によれば、「変更部分を常にVSSより自動同期させ、データロスを最小限にさせる。設定により、クラッシュ2分前まで差分を取得しスナップショットさせるため、完全復旧まで短時間ですむ。復旧させたいポイントが選択できる『世代管理』も可能だ」という。OS・設定・データを丸ごとバックアップするために、障害時にはディスクイメージを丸ごと復旧できる。復旧手順は、専任IT管理者でなくても「3ステップ」で自動復旧できる優れモノだ。

 プリンストンの中出敏弥社長は、「ユーザーによっては、使い慣れているバックアップソフトを活用する傾向がある。ストレージ製品とバックアップソフトは、同一メーカーより導入するケースが少なく、その都度、検証しなくてはならない問題を今回の提携により解決でき、ユーザー様や大手SIer様も安心できる」と今回の協業メリットを話している。

 
datasaver特徴(1)「簡単」   datasaver特徴(2)「安心」

 キクデンは現在、同ソフトをハードウェアに同梱したバックアップアプライアンス製品を出している。しかし今回、プリンストンと手を組んだ。その理由について菊池社長はこう語る。「当社はハードウェアを専門としていないため、ユーザーに対して十分なサポートを提供するのが困難であり、今回販売・サポートを手がける大手SIerの助言もあり、プリンストンが提供する高いシェアを誇る高機能NAS製品『proNASシリーズ』と連携し、製品面だけでなく、同社の販売・サポート体制でユーザー支援を確立すべきとの考えに至った」。キクデンはソフト提供という形で新たな事業拡大の道を切り開いたのだ。

従業員30人以下がターゲット、中・大規模向けも開発へ

 一方、「proNASシリーズ」は社内で共有するファイルを一元管理でき、必要な資料を各自でダウンロードできる。19インチのラックマウントに実装でき、ハードウェアによる高い冗長性と簡易なデータ運用が可能だ。プリンストンの中出社長は「当社NAS製品にキクデンのソフトを搭載することで、NAS事業を次のステップに進むことができる」と、今後は「datasaver」の中堅・大規模版(64ビット)も共同開発し、自治体や文部科学省が提唱する「スクール・ニューディール構想」に関連する文教分野、データ容量が急速に増している通信キャリアなどへの事業拡大を検討している。

プリンストンテクノロジーの中出敏弥社長

 今回発売する中小企業向け「datasaver」の4モデルは、従業員30人以下でパソコンが10~30台程度のユーザーをターゲットにする。販売は当面、プリンストンと同社の2次店である大手SIerの2社で行い、将来的に他の販売パートナーも獲得する。国内のNAS市場は、2002年頃まで「情報の一元管理や情報共有」用のハードとして利用されていた。だが、最近のNASは、企業内の機密情報を含めたデータ容量が増大し、クライアントパソコンのバックアップ用途に活用されるケースが増え、市場自体もプラス成長が見込まれている。とはいえ、これまでIT管理者が不在の中小企業については、ターゲットとするメーカーや販社が少なかった。両社の共同開発製品は、この間隙を縫ってNAS市場で存在感を示しそうだ。


DS-2803PRO-7000(左)とDS-503PRO-4000(右)