アドビ システムズ(アドビ、クレイグ・ティーゲル社長)は、「Software Asset Management=SAM」のパートナー支援活動を強化している。「SAMパートナープログラム」を開始して2年半が経過。同プログラムの課題を解決しつつ、近く新たな施策を展開する計画だ。

販売機会増やす展開増

 アドビ システムズは2008年3月、企業や官公庁・自治体などの組織を対象にして、SAMの支援活動を展開するパートナー向けの「SAMパートナープログラム」を開始した。現在は同プログラムに18社が加盟している。同プログラムの開始から2年半の間、中長期的に組織がSAM体制を構築するための方策を支援するためのトレーニングやSAM成熟度レベル評価制度、SAMを支援・サポートするために最適な提案活動となる「SAMソリューション」を提供してきた。また、09年10月には、「エンドユーザー側でのSAM実施に適しており、SAMの観点からもパートナーの販売機会を増やす」(宮澤啓一郎・ライセンスコンプライアンス管理部 シニアマネージャー)ことを目的に新ボリュームライセンスプログラム「Adobe Volume Liscensing Progran(AVL)」を開始している。 

宮澤啓一郎・ライセンスコンプライアンス管理部 シニアマネージャー

 パートナーが主体となり提供する「SAMソリューション」の具体策としては、(1)SAMの企画から導入・管理・運用までの全般をサポートする「コンサルティングサービス」、(2)SAMを実現するためのライセンスプログラムを提案する「ライセンスソリューションサービス」、(3)SAMデータベースを作成するための「インベントリーサービス」、(4)SAM導入後の管理体制を確認する「確認サービス」、そして、(5)SAMに関するトレーニングを提供する「トレーニングサービス」がある。顧客先のソフトウェアを棚卸しし、新たなボリュームライセンスを基にコスト削減策や導入・運用・管理体制のあり方を提案し、導入後の継続的なサポートをする。宮澤マネージャーは「当社のパートナープログラムに参加して顧客にSAMソリューションを提案すれば、導入先と中・長期的な関係性が築ける」と話す。 


案件成立増に向けた新規施策が続々

 同プログラムでは、企業や組織内で需要が高まりつつあるソフトの「混在化」や「散在化」の状況を数値で把握したり、同社のライセンスプログラムなどを導入し、ソフトのコストを適正化することを支援・サポートできるパートナー体制を築いてきた。ただ、このプログラムを推進する中では、パートナー側から出てきたSAMソリューションを提案・提供する上での課題も浮上してきた。

 これを解決すべく、同社は今年に入り、さまざまな策を講じている。パートナーが顧客先へ行き、棚卸しなどに関する提案をする際、「顧客側にメーカーに対して棚卸し情報を開示する心理的なハードルがあった」(宮澤マネージャー)ことから、棚卸の提案をする以前に案件が成立しにくいケースが散見していた。このため同社は、ソフトウェアの棚卸しなどをすることで、不正コピーによるオーバーインストール状態が発覚し、メーカーであるアドビ システムズに知られることを恐れる顧客に配慮し、「悪質なケースを除き、そうした不正利用が発覚した場合でもエンドユーザーに対し、法的な賠償を請求しない」(同)という免責策を開始した。

 この免責策が、パートナーを通じて提供される「安心チェック・サポート」と題するソフトウェア棚卸に関するソリューションであり、顧客が棚卸しを実施し、その際に不足分が発見された場合でも、その不足分をすべて是正することで、本来メーカー側として請求できる不足分の賠償責任を免除することにした。同サポートでは、ライセンスの状況や管理体制、不正コピーの把握などの再点検を実施し、コスト削減と中・長期的なライセンス管理体制を築く上での支援策を提供している。

リセラーやコンサル会社もパートナーに

 これらにより、同プログラムに参加するITベンダーなどの活動が活発化している。さらには、SAMに関するプリセールスとコンサルティング活動を拡大するため、パートナー向けにアドビのライセンス棚卸に関する新トレーニングを開始。アドビ製品のライセンス販売に関する専門知識を有する「ライセンスマスター」の資格を取得すると、アドビ認定のSAMパートナーであることを証明するロゴを付与した。パートナーも、従来はソリューション販売を得意とするSIerなどが名を連ねていたが、新たにリセラーやSAMコンサルティングができる監査法人やSAM専門会社を加え、SIerと連携した体制を築いた。

 今年7月22日には、このパートナーの1社であるソフトバンクBBと共同で「SAMセミナー」(BCN主催)を開催した。ソフトバンクBBでは、ソフト流通で培ったナレッジをもつコンサルタントが、直接顧客へソフト導入からライセンス管理まで提案できる体制「ライセンスコンサルティングセンター(LCC)」を敷いている。その中の一つのサービスとしては、棚卸しや突合結果を基にしたソフト資産管理状況の実態把握と余剰資産などの有効活用につなげる提案ができるように、Web上で顧客が自社のライセンス状況などを可視化できる「ライセンス・マッチング・レポート」をSaaS型で提供している。

 アドビ システムズでは、こうしたパートナー個々の取り組みを拡充するため、近く新たな施策を打ち出す予定だ。