日立製作所が2010年10月に国内で発売したサーバやネットワーク機器の稼働監視ツール「Hitachi IT Operations Analyzer」は、海外市場では2009年4月末から先行して発売されていた。中堅・中小市場に対しては後発の立場にあった日立だが、この1年で着実に実績を積み上げてきた。その1つが英国の医療機関であるAspen Healthcareの事例だ。情報システムの自動監視体制を築いたことで、IT管理者の負担は減り、安定運用も実現した。その先進的な事例を詳説する。

 「Hitachi IT Operations Analyzerにより、当社のインフラ全体の可視化が実現し、問題が検出されるとリアルタイムで警告されるようになりました。その結果、業務効率を格段に高めるとともに、患者の皆様により質の高いサービスを提供することができました」

Aspen Healthcare
情報・テクノロジー担当ディレクタ
David Williams氏


日立のソフトウェアでIT環境の管理を強化する
Aspen Healthcare

 入院は、多くの人にとって苦痛な体験になりがちだ。Aspen Healthcareは、入院という体験ができる限り過ごしやすいものになるよう、質の高いケアを提供することを心がけている。そのためには、ITインフラから最大限のパフォーマンスを引き出し、ダウンタイムを最小限に抑える必要がある。そこでIT環境を自動的に監視して潜在的な問題について警告するHitachi IT Operations Analyzerの導入を選択した。これにより、リソースをより効率的に配分することができるため、医師や職員が必要なときに必要な情報にアクセスできるようになり、患者の皆様に質の高いケアを継続的に提供できた。

 Aspen Healthcareは、ロンドンとその近郊で数カ所の民間救急病院と1カ所の外来腫瘍専門診療所を運営している。精密検査から美容整形に至るさまざまな診断検査や治療、専門的な癌治療、術後の看護などにおいて質の高いサービスを提供している。

 同社は、民間のヘルスケア・サービス事業者である以上、高い医療基準を満たすと同時に、ビジネスとして成功しなければならないという二つの課題に直面している。この課題を解決するためには、各拠点のITインフラを効率的に稼働させ続け、医師や職員が必要なデータに迅速にアクセスできる環境を整えることが重要である。

 Aspen Healthcareの情報・テクノロジー担当ディレクタであるDavid Williams氏は次のように述べている。「情報は私たちにとって非常に重要です。会社の詳細な記録を保持することも当然必要ですが、最優先事項は、医師や職員が必要なときに患者様のカルテや医療画像にアクセスでき、可能な限り質の高いケアやサービスを提供できるようにすることです。当社のシステムは、ダウンタイムを最小限に抑えて業務の中断が起こらないように管理されています」。

 そのため、Williams氏のチームではテクノロジー・リソースを常に細心の注意を払って監視する必要があった。しかも、異機種が混在するAspen HealthcareのITインフラは、ストレージを含め全4カ所の拠点に分散していたため、ITスタッフを各拠点に配置してシステム管理にあたらせ、問題発生時にすぐに対処できるようにしていた。

 機器やリソースを最大限に活用するには、システムを一元的に監視できる必要がある。同社のシステム監視について、Williams氏は次のように述べている。「管理作業の中には非常に時間のかかるものがあります。しかも、人間の手で対処しなければならず、多くの時間を要します。場合によっては24時間365日体制で臨まなければならないこともあります。病院の受付時間外にも同じくらい、スイッチに障害が発生したり、サーバに対応が必要になったりというリスクがあり、病院のITシステムは、受付時間と同じように5時半に終了、というわけにはいきません」。

IT環境の一元化と自動化

 Aspen Healthcareで必要としていたのは、インフラ全体をより徹底して一元化・自動化された形で監視し、潜在的な問題が検出された場合は昼夜を問わず、問題が深刻化する前に警告されるようにすることだった。同社の既存のサーバには、監視と管理の機能が備わっていたが、いくつかの制約があり、ストレージ、スイッチ、その他のコンポーネントといった領域が対象外となっていた。そこで同社は、中規模ビジネスのニーズに適したコストで同社のIT環境全体を管理できるソリューションを求めて調査を開始した。

 「約9つのインフラ管理ツールを検討し、できるだけIT環境全体をカバーできるものを選ぶことにしました。また、当社の環境を常時監視するだけでなく、問題を検出したら当社のサポート・スタッフがすぐに対処してダウンタイムを回避できるようリアルタイムで警告してくれるソリューションであることが必要条件でした」(Williams氏)。

 さまざまな製品の機能・利点・コストを検討した結果、インフラ全体にわたってパフォーマンスと可用性の監視と警告を実現するHitachi IT Operations Analyzerの購入を決めた。手始めに最大50デバイスのライセンスを購入し、現在30台を超えるサーバと、コア・スイッチ、SAN環境、Hitachi NAS Platform(BlueArcを装備)を監視している。同製品には、Root Cause Analysis(根本原因分析)機能やネットワークを容易に可視化できる機能が備わっているほか、直感的なWebベース・インターフェースが用意されているなど、同社がIT環境をより効果的に管理するために必要な機能がすべて揃っていた。

 ライセンスは、地域有数のソリューション・プロバイダでありHitachi Data Systemsのチャネル・パートナーであるIBERTEK(www.ibertek.com)を通じて提供された。Williams氏は次のように語っている。「ソフトウェアの試用版をインストールしていたため、導入作業はシンプルでした。本番導入のために必要だったことは、システム全体に適用範囲を広げるためにライセンスを購入することだけでした。日立のソリューションの費用対効果が高いことは明らかでした」。

可視化による安心感

 システムの可用性に対する潜在的な脅威が24時間いつでもすぐに特定できるという安心感だけでなく、IT環境全体の視認性が向上したことが、Williams氏のチームにおける成果のひとつだった。任意のサーバの可用性と稼働時間を確認できるようになったため、「使用中の各サーバのパフォーマンス基準値が分かるので、リソースをより効果的に配分し、システムの稼働率を高めることができます。その結果スタッフが患者様の診療プロセスを管理する能力を高めることができました」とWilliams氏は述べている。

 システムの稼動状況を把握し、サーバ間でよりバランス良く負荷分散することができるため、それまで問題の原因となっていたボトルネックを回避することも可能になる。「予約受付担当などの部門は常に業務に追われています。今回の導入により、業務の繁忙期と突出したピーク期をより正確に特定できるようになったため、適切な部分にシステム・リソースを集中させることができます。Hitachi IT Operations Analyzerにより、このように対処が必要な領域を特定し、業務に影響が及ぶ前にパフォーマンスを維持するよう迅速に対処し、円滑な業務を継続して行うことができます。これは以前はとても難しいことでした」(Williams氏)。

約0.5人分のコストを削減

 Hitachi IT Operations Analyzerで収集・表示される情報は、IT環境をより深く理解するのに役立つだけでなく、時間の節約にも役立つ。Williams氏は「自動監視機能のおかげで節約できた時間は、週に35時間に相当します。全体の労働時間から考えると、1週間で従業員約0.5人分のコストを抑えられたことになります。その一方でインフラの可視化が24時間実現しているのですから、十分満足のいく結果です」と、時間短縮の成果を述べている。

 Hitachi IT Operations AnalyzerをITインフラの一部に組み込み、ITとスタッフの両方にとって、そしてさらには患者にとっても、目に見えるメリットが得られたAspen Healthcare。同社は今後もテクノロジー・リソースのさらなる改善を計画している。


▼Aspen Healthcare
業種 医療
ソリューション IT運用ソリューション
ソフトウェア Hitachi IT Operations Analyzer
サービス Hitachi Data Systems社のチャネル・パートナーであるIBERTEKが提供

IBERTEKについて

 IBERTEKは、資産管理、運用管理、ストレージ、アプリケーション、データベース管理などを専門とし、BMC Software、Hitachi Data Systems、Vizioncore、Quest、VMware、Microsoftといった市場をリードするベンダーのさまざまなソリューションを取り扱っている。

 また、実装、ITILプロセス・コンサルティング、プロジェクト管理、ソリューション・サポート、製品トレーニング、コンサルティング、開発のサービスなど、総合的な関連サービスも提供している。詳細については、www.ibertek.comをご覧いただきたい。


株式会社 日立製作所 ソフトウェア事業部
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