マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Windows Azure Platform」の本格的な事業展開が進んでいる。これに合わせて日本マイクロソフトでは、アプリケーションおよびソリューション開発パートナーに対してクラウドシフトを提案、クラウド時代におけるパートナー戦略の充実を図っている。具体的なパートナー支援の核となるのが「Microsoft Platform Ready(略称:MPR)」だが、これは従来から提供しているパートナー施策「マイクロソフト パートナーネットワーク」のサブセットプログラムである。そのMPRは、「開発」「検証」「ビジネス」という3つのステージで構成され、各ステージにおいて手厚いサービスを提供する。「開発支援だけでなく、開発したアプリケーションやソリューションをビジネスとして展開していただくため、多角的なサービスを用意している点が大きな特徴」と語るデベロッパー&プラットフォーム統括本部 パートナーテクノロジー推進部部長の石黒豊氏に聞いた。

日本マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部
パートナーテクノロジー推進部部長 石黒 豊氏に聞く

まず、マイクロソフトのクラウド戦略におけるWindows Azure Platformの位置づけを教えてください。

石黒 豊氏
 石黒 クラウドは、大きくSaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)の3つに分類されます。クラウド戦略においては、マイクロソフトはこれら3つの全方向をカバーする製品やソリューションをもつ唯一の企業であることが大きな強みと考えています。

 Windows Azure Platform はPaaSに分類され、顧客ターゲットとなるのは独立系ソフトウェアベンダー(ISV)、Web開発者、システムインテグレーターなど開発企業であり、そこに所属する開発者の皆様です。今後、Windows Azure Platformにおいても、こういった対象企業に対してクラウドビジネスを強力に推進していく方針です。

Windows Azure Platformでクラウド向けアプリケーションを開発するメリットとはどのようなものでしょうか。

 石黒 Windows Azure Platformは、オンプレミス(on-premises:自社設備でシステム構築・運用)で培われた技術をクラウドに最適化したものです。したがって今までの開発運用の経験をそのまま活用できることが大きな特徴です。Microsoft Visual Studioでの開発経験があれば、これまでオンプレミス環境で蓄積してきたスキルがそのままクラウドでも活用できます。また、Windows Azureは、Windows Server 2008 相当のクラウドOSであることから、簡単に言えばWindows環境そのものなので、オンプレミスのアプリケーションを動かすことは技術的に大きな問題はない。このように同じシステムが、オンプレミスとクラウドのどちらでも動作するようにできる“対称性”もアプリケーションやソリューションを開発する企業の方々にとって大きなメリットでしょう。

開発者に向けた具体的な支援策を教えてください。

 石黒 支援策の核となるのが「Microsoft Platform Ready(略称:MPR)」です。これはISV、Web開発企業、システムインテグレーターなどの開発系企業に対して、開発するアプリケーションやソリューションをWindows Azure Platformをはじめとする最新マイクロソフト製品に対応いただくためのソフトウェア開発ビジネス支援プログラムです。MPRは、新しいパートナー制度である「マイクロソフト パートナーネットワーク」(略称:MPN)の1機能として生まれたプログラムの一つでもあります。当社では、年度内におよそ700社、2~3年後には日本マイクロソフトの開発系パートナーが対象となる数千社に新規のパートナーを加えて、7000社以上のパートナー獲得を目指しています。

どのような支援が受けられますか。

 石黒 MPRは、「開発」「検証」「ビジネス」という3つのステージで構成しており、ステージごとに様々な支援策をポータルサイトを通じて提供しています。 「開発」ステージでは、開発情報の掲載をはじめ、各プラットフォーム上でアプリケーション開発を行なうためのHowtoセミナー、トレーニングなども頻繁に開催します。

 「検証」ステージでは、互換性検証ツールを無償でダウンロード提供します。検証結果(検証ツールから出力されるファイル)をMPRのポータルサイトにアップロードすることで、認証(合否判定)が得られる仕組みとなっており、アプリケーションやソリューションに問題がある場合、具体的にどのような箇所で問題が発生しているか、レポートで確認することもできます。認証に合格すると、MPNにおける「Silverコンピテンシー」の1要件の取得が可能となり、同時にWindows Azureの「製品ロゴ(Powered by Windows Azure)」を無料で取得できます。

 3つ目の「ビジネス」ステージでは、開発したアプリケーションやソリューションによるビジネスを加速していただくためマーケティング支援への誘導を行います。

MPRを活用するメリットを教えてください。

 石黒 従来のアプリケーション開発では、例えばISVの方々は自社で開発したアプリケーションやソリューションとマイクロソフト製品との整合性などをチェックする必要がありました。とくに、ベンチャーや中小規模のISVの方々にとってこれは大きな負担でしたが、MPRでマイクロソフトが作成した検証ツールを使用することで、独自のチェックツールも不要となり、開発コストと開発時間を大幅に削減できます。検証ツールは、Windows Azure Platformや複数のマイクロソフトのプラットフォームとの互換性を一度に検証可能なことも大きな特徴です。

 「ビジネス」ステージにおいては、対応済アプリケーションやソリューションをMicrosoft Pinpoint(略称:Pinpoint)で掲載することができます。Pinpointは開発パートナーを企業間やユーザー向けに紹介するマッチングサービスで、システム構築・開発などを必要とする企業が、Pinpointから地域や特徴をベースに開発企業を検索できるものです。

 Pinpointへの掲載で、ベンチャー、中小規模のISVの方々も、多くのユーザー企業に自社の実績を告知する機会が増えます。このほかにもMPNのサービスを通じて、多くの営業系ツールを無償公開しており、販売・マーケティング活用することが可能です。さらにMPNにおいては、各種の販売及びインセンティブプログラムも用意しています。

 また、MPN・MPRでは、クラウドビジネスへの参入を検討中のパートナーの方々に対して、Windows Azure Platformをはじめとするマイクロソフトのクラウド環境を1年間無料で利用できる「クラウド エッセンシャル パック」の提供など、さまざまなキャンペーンも行っています。是非とも早期にご登録いただけるよう、お待ちしております。