日立情報システムズは、コンテナ型データセンター(DC)の販売を本格化する。製品ラインアップを拡充するとともに、国内外での積極的な営業展開に乗り出す。コンテナ型DCは、それ単体でDCとしての機能をもっており、専用の建屋や電算室を用意する必要がないのが最大のメリットだ。同社では消費電力を大幅に抑えたコンテナ型DCを販売しており、今後は、コンテナサイズ別のラインアップを順次増やす。また、既存のDC向けの遠隔運用・監視やマネージドサービスと組み合わせることで利便性を高め、販売増につなげる。

コンテナ型データセンターの外観

トップクラスの省電力性能

宇根照男
インフラサービス営業統括本部
ネットワーク・クラウド営業本部
第二営業部 部長代理
 コンテナ型DCは、IT機器類を保護する建物と一体化した構造であるため、専用の建屋が不要となる。一般的な企業がコンピュータを管理する場合、電算室など特別な部屋を用意したり、ホスティング事業者などはDC用の耐震性の高い建物を使うなどしていた。

 この点、コンテナ型DCであれば「電源設備の整った工業団地などの空き用地にコンテナを並べるだけで済む」(日立情報システムズの宇根照男・インフラサービス営業統括本部ネットワーク・クラウド営業本部第二営業部部長代理)というように、コストメリットが大きい。コンテナはブロックを並べるように増設することが可能で、ある程度の規模までであれば、コンテナを増やすことで対応できる。

 日立情報システムズは、コンテナ型DCの本格的な販売を2011年4月から順次スタートしている。今年1月の第1号機の発表を受けて、3月末までにおよそ40件の問い合わせがあった。うち15社は、日立情報システムズの湘南データセンタ(神奈川県)の敷地内に設置している第1号機を見学するなど、引き合いの強さに手応えを感じている。注目すべきは、コンテナ型DCの省電力性能の高さだ。限られたスペースではIT機器の集積度が高くなり、熱がこもりやすくなる。だが、空調機能の効率性と省電力性を追求した結果PUEを1.2に抑えることに成功している。

 PUEとはデータセンター全体の消費電力を、IT機器の消費電力で割った指標であり、1に近いほど効率がよいことになる。平均的な国内DCのPUEが2.0といわれるなかで、1.2の省エネ性は高い数字だ。また、夏場の暑さ対策のため、コンテナの断熱性も高めた。スタンダード版では、コンテナ貨物で使う20フィート(約6メートル)型コンテナとほぼ同じサイズだが、「コンテナの断熱性は、貨物用に比べて格段に高めている」(宇根部長代理)と説明する。

コンテナサイズ別に品揃え

 顧客からの引き合いの傾向をみると、プライベートクラウドの用途が最も多い。自社の敷地内にコンテナ型DCを設置することで、建物を有効活用しようというものだ。当初は、DC運用を専門とするホスティング事業者などからの引き合いが先行するとみていたが、「土地や建物の有効活用を期待するエンドユーザーが多い」という。コンテナ型DCは、ASEANなどグローバル市場への販売も予定しており、海外事業所のDC設備としての活用にも期待が高まる。

 日立情報システムズは、土地や建物を有効活用したいという顧客ニーズの高さを踏まえ、コンテナ型DCのサイズを複数用意することを決めている。今、想定しているのは20フィート型コンテナサイズの「Standard」と、その約半分の「Small」、さらに小さい「Miniature」、「micro」の4種類。物理サーバーの設置台数は80台、40台、20台、4台とコンテナの大きさにほぼ比例する。IT機器と電源や通信機器などのサポート機器を別々のサイズのコンテナに分けて収納するなど、大小さまざまなコンテナを組み合わせることも可能だ。

 日立情報システムズのコンテナ型DCは、同社が得意とする遠隔運用・監視サービスを活用できる。ユーザー先に設置するコンテナ型DCではあるものの、通信ネットワークを経由して、24時間サポートされる仕組みだ。宇根部長代理は「コンテナ型DCと遠隔運用・監視サービス、さらには当社が運営するDCと一体化させて活用することで顧客の利便性を高める」と話す。IT機器の設置場所や所有・利用形態、マネジメントのアウトソーシングなどをフルラインアップで揃えることで、顧客のニーズに応える。