サーバー・ストレージ製品の販売を主事業とするキング・テックは、このほど、半導体などエレクトロニクス製品とシステム情報機器を展開する菱洋エレクトロと資本・業務提携を行った。キング・テックは、菱洋エレクトロの中国での製品販売を支援するとともに、菱洋エレクトロがもつ広い販売網や経営ノウハウを生かし、キング・テックの日本国内の事業展開を強化していく。キング・テックの王遠耀社長は、「菱洋エレクトロとの提携によって、向こう3年で、日本と中国を柱にした新しいビジネスをつくっていきたい」と意気込みを示している。

現地で強いパートナーをもつ
「成功する確率が高い」

王 遠耀 代表取締役社長
 サーバーやパソコンなどのストレージ製品を中心として、ITソリューションを展開するキング・テックは、中国でのビジネスを急速に伸ばしている。中国大手ITサービス事業者のデジタル・チャイナをはじめ、中国の有力企業と連携して、ATM(現金自動預け払い機)を中国の金融機関に販売するなど、地場市場をターゲットとする事業を推進している。同社は、2010年度に中国事業の売上高が日本市場のそれを上回っており、中国をますます重要なマーケットと捉えている。

 キング・テックの王遠耀社長は、自社の中国ビジネスの成功を踏まえ、「中国進出を図っている日本企業のお手伝いをする」ことを切り口として、パートナーとの関係づくりに取り組んでいる。パートナー連携の最新の事例となるのが、6月に大手商社の菱洋エレクトロと資本・業務提携を結んだことだ。

 王社長は、「菱洋エレクトロは中国市場で拡販を目指しているが、日中間の商慣習の違いや、人材の育成、販路の拡大など、さまざまな障壁があることから、当社と組むかたちで、半導体製品やIT製品を中国現地でよりスムーズに販売することができると判断したのだ。一方、当社は菱洋エレクトロの幅広い製品ポートフォリオを活用して、中国でまだ手がけていない市場領域の開拓を目指していく。提携によって、互いに市場の扉が開くわけだ」と、両社の補完関係を語る。

 キング・テックと菱洋エレクトロは、今後、キング・テックの中国現地での強いパートナーであるデジタル・チャイナを通じて、菱洋エレクトロの製品展開を本格化させていく。王社長は、「われわれは、デジタル・チャイナを入れて、3社の強みを発揮してビジネスしていくので、成功する確率が高い」と自信満々だ。これからは、両社のメンバーを一体化させるチームを形成し、今夏から現地での販売を開始するという。商材は半導体にとどまらず、中国で需要が高まっている省エネソリューションなども提供し、中国で高く評価される日本の品質をアピールすることによって、地場ベンダーとの差異化を図っていく方針だ。

向こう3年で新しいビジネス
今後はソリューション展開を強化

 両社は今回の資本・業務提携によって、中国での事業拡大に取り組むと同時に、国内のビジネスにも拍車をかけていく。「菱洋エレクトロは、グローバルでの大規模な販売網をもっており、取引先との交渉の仕方などに長けている。当社はパートナーのその強みを生かし、今後、製品の仕入れにあたって、大幅にコストを下げることができる。これを武器にして、国内で大型案件の獲得を狙っていきたい」(王社長)と鼻息を荒くする。

 キング・テックは、日中の両市場を舞台にして従来のビジネスを拡大するだけでなく、「菱洋エレクトロとの提携によって、向こう3年で、新しいビジネスをつくっていく」としている。同社は、ここ数年、クラウドコンピューティングの普及によってIT市場が大きく変動しているなかで、ハードウェアの販売に加え、事業のもう一つの柱として、独自のサービス/ソリューション展開を強化していく構えだ。王社長は、「ITサービスの需要が非常に高くなってきているので、ハードウェア以外の新ビジネスづくりに注力していく」という。

 キング・テックは、グループとしても存在感を強めている。同社は、デジタル映像のアプリケーションやソフトウェアを提供する関連会社のリミックスポイントをわずか1年間で赤字経営から黒字経営に転換し、リミックスポイントをはじめとする子会社/関連会社を通じて、ビジネスの領域を広げているところだ。今後、グループとして、中国で需要が高いものの現地ではまだ適切なソリューションが存在しないとみる商材の展開に力を入れていくという。王社長は、「中国では、例えば、中古車の査定システムや、監視カメラが撮った映像の分析システムなど、市場に求められ、当社が強みとしている製品がたくさんある」とみて、そういった製品の市場を狙うことによって、事業拡大を目指していく考えだ。

 王社長は、日本と中国でのビジネス展開をさらに強化するために、今後もパートナーとの業務提携を検討していくという。同氏は、「当社は中国ビジネス関連のコンサルティングも考えているが、何より、実業というかたちで、日本企業の中国進出を積極的に支援したい」と熱く語っている。