2011年、東日本大震災の甚大な被害を目の当たりにしたことによって、事業継続や仮想化に注目する企業が増えてきた。とはいえ、導入のハードルは決して低くはない。例えば事業継続の場合、バックアップやシステムの二重化、災害対策に対応したソリューションを構築するためには、大容量のサーバーやストレージが必要になる。このように、ソリューションを導入するには多額の投資コストを要することから、これまでは大企業を中心に導入が進められてきた。しかし現在の市場動向をみると、その状況が大きく変わりつつあることがわかってきた。中堅・中小企業でも災害対策ソリューションを導入する動きが活発になってきているのだ。

 ここ数年の市場動向をみると、中堅・中小企業(SMB)においても、事業継続や仮想化などのソリューションを導入するケースが増えている。その要因の一つとして、SMBでも導入が容易で、管理・運用できるソリューションが充実し始めてきたことが挙げられる。

 仮想化の分野では、仮想環境を低価格で構築できるライセンスや、ハードウェアと組み合わせたパッケージ製品が提供され、導入時のハードルが大幅に低くなっている。また、事業継続ではクラウドを活用したソリューションが拡充されてきており、コストを抑えながら、遠隔地のデータをバックアップすることが可能になっている。

 調査会社のIDC Japanが2011年9月6日に発表した「国内仮想サーバー市場予測」によると、サーバー全体のうち、仮想サーバーの比率は2010年は16.3%の水準だが、2015年には23%まで伸びると予測している。

 事業継続という観点では、IDC Japanが2011年7月19日に発表した「国内SMBストレージ利用実態調査結果」が参考になる。この調査は、国内のSMBのストレージ利用実態を調査したもので、2011年度のシステム投資で重視する項目として「災害対策強化」を挙げた企業が20%弱にも上った。昨年も同様の調査を行っているが、そのときは10%弱となっており、2倍に増えたことがわかる。また、同じ調査によれば、オンラインストレージを検討している企業が増加しているという点も興味深い。インターネットへの接続環境さえあれば、簡単にサービスを利用できる「クラウド」の利用が注目を集めているのだ。

 SMBのニーズが顕在化するなか、ストレージ市場も新たな展開をみせ始めている。これまでファイル共有用として利用されてきたNASだが、仮想環境に対応した製品がラインアップに加わり、市場に投入され始めているのだ。

 また、iSCSI対応をうたう製品も少なくない。高価なファイバーチャネルを利用する必要がなく、ブロックレベルのストレージを導入できるので、導入の障壁を大きく下げる役割を果たしている。さらには、パーソナルクラウドを構築することで、ストレージ間でデータを二重化し、ディザスタリカバリとして活用できる製品なども登場している。

 SMBのニーズに応えるNASが登場し、これまで大規模企業に限られていたソリューションのメリットがより多くの企業に行き渡るようになった。この時流に乗ったNAS製品が、市場の拡大をけん引する可能性は高い。

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