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<ユーザーに安心・安全を届ける フィルタリング大特集>#1 キヤノンITソリューションズ メールフィルタリングの市場を広げる 大手に加えてSMBもターゲットに

2012/05/18 19:55

週刊BCN 2012年04月23日vol.1429掲載

 キヤノンITソリューションズ(浅田和則社長)は、電子メールのフィルタリングソフトウェア「GUARDIANWALL」のユーザー層を広げようと活発に動いている。実際に製品を利用する立場であるエンドユーザー向けに、メールフィルタリングの必要性を訴える特設ページ「GUARDIANラボ」をオープンして積極的に情報提供を行っている。既存ユーザーを訪問して要望を聞く活動も展開中だ。

#1 メールフィルタリング編

本紙は、フィルタリングに焦点をあて、数回にわたって特集を組む。今号はその第一弾である。

●必要性を訴えるサイト開設

セキュリティソリューション事業部
セキュリティ企画部
古市睦郎氏
「GUARDIANWALL」は、メールの送信による情報漏えいを防ぐためのソフトウェアだ。メールアドレスや、本文と添付ファイルの中身を検査し、情報漏えいの疑いがあるメールの送信を事前に制御する。2010年の国内シェアは54.2%で、過去10年間、この分野でNo.1を獲得してきている(富士キメラ総研「2011ネットワークセキュリティビジネス調査総覧」)。

キヤノンITソリューションズのセキュリティソリューション事業部セキュリティ企画部の古市睦郎氏は、「メールの運用ルールやセキュリティポリシーは、企業によって千差万別。『GUARDIANWALL』は、ユーザーが考えている細かなルールとポリシーに合わせて、柔軟に設定を行うことができ、システム側で実現できないためにルールを変更しなければならないなどの影響が少なく、理想のポリシー実現が可能」と、強みを説明している。

昨年1月に発売した最新版「Ver.7.4」では、誤送信を防止する「電子メールの一時保留機能」や、万が一、誤送信してしまった場合でも、暗号化することで内容を判読できないようにする「添付ファイルの自動暗号化機能」を新たに搭載した。従来のソフトウェア購入型ではなく、年間利用料により、規模の変化に柔軟に対応できる「サブスクリプションモデル」も採用。機能向上と、ユーザーが購入しやすくするためのライセンスメニューを用意した。

ユーザー企業のセキュリティポリシーに合わせて、利用方法を柔軟に設定できる。最新版では、メールの誤送信による機密情報漏えいを防ぐ「電子メールの一時保留機能」を追加するなど、機能の充実を図った

No.1の座をさらに強固なものにするため、キヤノンITソリューションズはさまざまな販売施策を打っている。その一つが、今年2月に開設したウェブページ「GUARDIANラボ」である。「GUARDIAN」シリーズの製品情報だけでなく、ユーザーの導入事例やメール・ウェブセキュリティに関する最新情報を、サイトを通じて発信していく。「『GUARDIAN』のウェブサイトはあるが、これは主に製品の特徴を説明する内容になっている。これに対して『GUARDIANラボ』は、製品情報というよりも、ユーザーにメールフィルタリングの必要性を理解していただくためのページで、今後さらにコンテンツを充実していく予定だ」(古市氏)。

●スパム対策を超える市場に

普及・啓発活動だけでなく、ユーザーの要望を収集する活動も推進している。2年前からは、営業担当者が「GUARDIANWALL」のユーザーを訪問して、生の声をヒアリングする活動を定期的に行っている。こうした取り組みを通じてユーザーが求めている機能を探り、バージョンアップに生かしている。また、古市氏は「保守契約の更新率は向上し、カスタマイズ開発を伴うプロジェクトを受注するケースも増えた」という。

こうした販売施策を進めるなかで、キヤノンITソリューションズは、メールフィルタリングソフトを導入する大手のユーザー企業は着実に増えているが、SMBの導入率は極めて低いとみている。「メールフィルタリングソフトは、アンチウイルス・スパム製品と比べても必要なツールだが、それに気づいていないユーザー企業がまだ多い。重要性をきちんと認識してもらえれば、市場はもっと広がる」と話し、ビジネスチャンスを感じている。

「GUARDIANラボ」を通して、エンドユーザーに情報発信しながら、既存ユーザーの声を聞いてバージョンアップに生かす。そのうえで、「サーバーの自社運用ができないSMBに対しては、プロバイダによるサービスの利用などを通して市場を広げていきたい。また、そういったプロバイダに関しては積極的に支援したい」(古市氏)。

アンチウイルス・スパムソフトに比べて、メールフィルタリングはまだ認知度が低い。だが、「その分、ポテンシャルも大きい」とキヤノンITソリューションズは期待を寄せている。積極的な販売活動を引き続き展開していく姿勢をみせている。

・今年2月に開設したウェブ「GUARDIANラボ」

特設ページ「GUARDIANラボ」では、ユーザー企業向けのメール・ウェブセキュリティに関する最新情報やユーザー事例などを掲載している
http://canon-its.jp/guardian/labo/


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外部リンク

キヤノンITソリューションズ=http://www.canon-its.co.jp/

「GUARDIANラボ」=http://canon-its.jp/guardian/labo/