日本マイクロソフトは、これまで提供してきた「Windows Small Business Server(SBS) Essentials」の新版を、「Windows Server 2012 Essentials」に名称を変更して発売した。「Windows Server 2012」の基本機能だけを搭載したシンプルな構成の小規模企業向けサーバーOSで、サーバープラットフォームビジネス本部Windows Server製品部の藤本浩司マネージャーが、「ユーザーは使いやすく、販売パートナーは手離れがよく、売りやすい」と自信を示す戦略商品だ。藤本マネージャーにその特色を聞いた。
ユーザーの利便性とSIerの手間軽減を両立

日本マイクロソフト
藤本浩司
サーバープラットフォームビジネス本部
Windows Server製品部マネージャー 日本マイクロソフトは、11月1日、小規模企業向けのサーバーOS「Windows Server 2012 Essentials」の販売を開始した。以前から提供している「Windows Small Business Server (SBS)2008」の新バージョンだ。
SBS 2008は、「Windows Server」と同じサーバーOSではあるものの、ソフトウェアの構造が違う。そのため、Windows Serverの上で動作しているアプリケーションソフトでもSBS 2008で動くとは限らず、個別にアプリケーションの動作検証を行う必要があった。しかし、今回のWindows Server 2012 Essentialsは、Windows Serverと同じ構造で、「Windows Serverの『Standard』『Datacenter』版で動作すれば、Windows Server 2012 Essentialsでも動く」(藤本マネージャー)。評価・検証する時間と手間を大幅に削減することができる。パートナーは、従来よりも手間いらずでユーザー企業に販売できるというわけだ。
Windows Server 2012 Essentialsでは、最大25人まで、デバイス数では50台までの利用に適した小規模向けサーバーで、SBS 2008よりも搭載する機能をあえて少なくしている。その理由について藤本マネージャーは、「SBS 2008では、パートナーが、多くの機能について問い合わせに対応する必要があって、サポートの手間を増大させていた」と話している。そのうえで「SBS 2008では、小規模企業が初めて使うサーバーという位置づけで、『Exchange』など、複数の機能を搭載していたが、Windows Server 2012 Essentialsではサーバー運用に必要な機能だけに搭載するものを絞った」と説明している。
機能を厳選して使いやすさを追求

「Windows Server Essentials」のパッケージ 最低限必要な機能の搭載にこだわったWindows Server 2012 Essentials。そのなかでも、藤本マネージャーが「ユーザーにぜひ使ってもらいたい機能」とアピールするのが、「ダッシュボード機能」と「バックアップ機能」、そして「リモートウェブアクセス機能」だ。
サーバーの運用状況や制御を行うための中枢機能であるダッシュボードでは、サーバーの導入・運用に詳しくないユーザーでも、簡単に取り扱うことができるように、わかりやすい操作画面を用意している。バックアップでは、日単位での自動バックアップのほか、クライアント端末ごとにバックアップデータを作成する頻度や範囲を細かく設定することができる。
一方、リモートウェブアクセス機能では、インターネット回線に接続されている環境であれば、場所やデバイスを問わず、サーバーにアクセスすることができる。ファイルは、オフラインアクセス用に自動的にキャッシュされ、サーバーに接続できる環境に入ると自動的に同期を行うのも特徴。このほか、クライアント端末の最新OS「Windows 8」もサポートしており、サーバーとクライアント端末を最新環境に一気に変えることも可能だ。
価格は25ユーザーまでで8万1700円。藤本マネージャーは「10万円以下でファイルをインターネットを通じて複数人が共有することができて、バックアップ環境も構築することができる。そして何よりもシンプルで使いやすい。サーバーを導入したことがない小規模事業者には、自信をもって提供できる。パートナーにとっても、手離れがいいので、売りやすいはず。価格は安いので、Windows Server 2012 Essentialsビジネスでは儲からないかもしれないが、これをドアノックツールにしてユーザーとの関係を築き、販売拡大につなげてほしい」と勧めている。

簡単な操作でデータをバックアップすることができる(写真/横関一浩)