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<Windows Server 2012 特集>事業のリード役に聞く 新OSの利点とビジネスチャンス、チャネル支援策は――サーバービジネスのキーパーソン 梅田成二 業務執行役員 本部長

2012/11/08 19:55

週刊BCN 2012年11月26日vol.1458掲載

 2012年9月に発売となった「Windows Server 2012」は、クラウド環境での利用を想定して開発された新サーバーOSである。クラウドの構築・運用に必要な機能を複数実装し、オンプレミス型システムとクラウドの連携を容易にしている。日本マイクロソフトのサーバープラットフォームビジネス本部の梅田成二・業務執行役員本部長は、この新OSの品質と機能に絶対の自信を示し、「1年以内に企業・団体のなかで最も利用されているOSにする」と意気込む。梅田本部長に新OSの利点について話を聞いた。

クラウド生まれの「Windows Server」

●180個以上の新機能を実装


 「『Windows NT』の発売から十数年が経ち、クラウド時代に最適な『Windows Server』が誕生した。マイクロソフトは、『Windows Server 2012』を開発するにあたって、クラウドでの利用を構想段階から意識していた」と、梅田本部長は語る。「Windows Server 2012」は、前版の「Windows Server 2008 R2」に180個以上の新機能を追加し、企業が保有するオンプレミス型システムからプライベートクラウド・パブリッククラウドまで、幅広いシステムに対応するOSに生まれ変わったという。梅田本部長は、その特徴について「包括的な仮想化」「クラウドとの連携」「Windows 8との連携」そして「事業継続オプション」という四つのキーワードを挙げた。これらの言葉の意味を詳しくみていこう。

 「包括的な仮想化」では、CPUやメモリなどサーバーのリソースに加え、ストレージやネットワークも含めたシステム全体の仮想化をサポートする機能を実装した。その核となるのが、仮想化技術・機能の「Hyper-V」だ。

 新OSに標準搭載する「Hyper-V 3.0」では、最大320の論理プロセッサと、4TBの物理メモリをサポートし、クラスタ環境では、最大4000台の仮想マシンを実行することができる。ストレージ分野では、分散した物理ディスクを、仮想的に一つのリソースに統合するプール化やデータの重複排除機能を搭載。さらに、ネットワークでは、「Windows Azure」と社内システムを接続するハイブリッドクラウドを実現することを容易にした。

 「運用管理」では、オンプレミス型システムとクラウドのシームレスな連携を図り、ハイブリッド環境でシステムを柔軟に構築・管理することができるのが利点だ。「Windows 8との連携」では、Windows 8を搭載したマルチタッチ端末を使ったVDI(バーチャル・デスクトップ・インフラストラクチャ)環境を容易に構築できるように工夫した。最新のRDP(リモート・デスクトップ・プロトコル)をサポートしたことで、サーバーと端末間の通信の高速化を実現している。

 「事業継続オプション」では、特定サーバーの仮想マシンを、別サーバーに定期的に複製することができる「Hyper-V レプリカ」を実装した。複数世代のバックアップデータを保持し、障害・災害時のフェイルオーバーを簡単に実現できる。

●品質の高さに自信、早急導入を促進

 「Windows Server 2012」の正規版の発売は9月だが、先行して6月にはRC版(製品候補版)の提供が始まっていた。梅田本部長は、「早期導入しているユーザー企業から品質が高いという評価を得ている」と胸を張る。

 加えて、「販売パートナーにとっても『Windows Server 2012』がもたらすビジネスチャンスは多い」ことを強調する。「例えば、サーバーの仮想化はある程度まで進んだが、ストレージなどの仮想化はこれから。『Windows Server 2012』はストレージの仮想化に最適なツールとして提案できる。事業継続計画(BCP)でも、Hyper-V レプリカを活用すれば、最小限のコストで、簡単にBCPを実行することができる」という。

 今後の目標について梅田本部長は、「従来は、新OSの投入から本格的にユーザーが新OSに移行するまで2~3年はかかっていた。『Windows Server 2012』の完成度は非常に高く、今後1年の間に、最も国内で利用されているサーバーOSにしたい」と語り、意欲を示している。

(写真/大星直輝)

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外部リンク

日本マイクロソフト=http://www.microsoft.com/ja-jp/default.aspx

「Windows Server 2012」