バッファローは、これまでLinuxを搭載したNASを多く拡販してきたが、今回、「Windows Storage Server(WSS)」を搭載したNASを求めるユーザー企業・団体が増えているため、WSSを搭載したNASのラインアップを拡充している。なかでも、「Windows Storage Server 2012」を搭載した最新機種では、多くの機能を追加・強化しており、これまで以上に市場を活性化することができるとの期待が大きい。バッファローの戦略について、プロダクトマーケッターに話を聞いた。
ニーズの高いWSS搭載NAS

齋藤琢也
コーポレート・プロダクト
グループリーダー WSSは、Windows ServerベースのOSで、ユーザー企業がこれまでWindows Serverの導入・運用で培ったノウハウを生かして、管理・運用することができるメリットがある。「Active Directory」との連携によるアカウントの一元管理や、アンチウイルスソフト、バックアップソフトなどのソフトウェアを搭載することが容易なため、中小企業に人気が高い。「ユーザー企業の社内ポリシーによって、OSがWindowsに限定されるというケースがある」(グローバル・プロダクト・マーケティング部の齋藤琢也コーポレート・プロダクトグループリーダー)という点も、評価が高い理由だ。
バッファローは、このようなニーズに応えて、ユーザー企業がより快適にNASを利用できるように「テラステーションWSS」のラインアップを拡充した。最新OSであるWindows Storage Server 2012を採用したデスクトップモデルとして3機種、1Uラックマウントを1機種の合計4モデルをリリースした。
テラステーションWSSは、オフィス向けNASとしてトップクラスの速度を実現するために、「Intel Atom デュアルコアプロセッサー(2.13GHz/1.86GHz)」を採用したほか、高速なDDR3メモリを4GB搭載するなど、ハードウェアのスペックを大幅に増強している。
「WSS搭載NASにソフトを導入すると、リソースが枯渇してパフォーマンスが落ちてしまうケースがある。テラステーションWSSでは、そのようなことはない。CPUとメモリを増強し、ソフトウェアを導入しても快適に利用することができるように工夫している。また、ワールドワイドでは、よりパフォーマンスの高い製品が求められる傾向が強いので、そのようなニーズにもマッチする」と、グローバル・プロダクト・マーケティング部のコーポレート・プロダクトグループに所属する鷲野哲也氏は語る。
大規模システムも視野に入れた展開

鷲野哲也
コーポレート・プロダクト
グループ さらに鷲野氏は最新OSを搭載したことで、「とくに遠隔地のサーバーにバックアップすることができるDFSレプリケーション機能は、災害対策として有効だ」と語っている。
これまで遠隔地にあるサーバーにバックアップデータを作成するには、大規模なソリューションの導入が必須で、SMBが導入するのは難しかった。それが、各拠点にテラステーションWSSを導入するだけで、広域の災害が発生した際も、データの復旧を行うことができるようになる。災害対策を課題にする企業にとって、導入のメリットは大きい。
さらに今年度中には、「Intel Xeon Quad Core」を搭載した12ベイの2Uラックマウントモデル2製品を発売する予定だ。ラインアップを拡充することで、SMBに加えて大規模企業への販売も視野に入れている。ハイエンドモデルには、信頼性の高いニアライン向けHDDや、ハードウェアRAIDコントローラーを採用したモデルも提供する予定だ。
「ハイエンドの製品は、基幹業務のバックアップ用ストレージやデータセンターなどでの利用を想定している」と齋藤氏。ハイエンド機種はバッファローにとって新たな領域への挑戦だが、ワールドワイドで展開している強みを十分に生かし、コストメリットも出すことができる。WSSを搭載したNASという領域でユニークな動きを展開するバッファローは、注目に値する。

Windows Storage Server 搭載モデルのラインアップ
(写真/掛川雅也)