スマートフォンなど、オフィスの外でビジネスに使う端末が増えてきた。それにつれて、企業の情報システム担当者は、従来に比べて端末の管理業務が複雑になり、しかもセキュリティ確保のうえで重要になってきた。日立製作所は、統合システム運用管理「JP1」のラインアップとして、IT資産管理・セキュリティ機能の「JP1/IT Desktop Management(JP1/ITDM)」を提供している。パソコンとスマートデバイスを効率よく管理でき、セキュリティ対策も施すことができるツールだ。「JP1」のデバイス管理・セキュリティツールの強みを紹介する。

使いやすさが最大の特長

市川孝子
主任技師
 「JP1」は、サーバーやストレージ、ネットワーク機器などで構成した情報システムの運用を支援する統合システム運用管理ツールだ。昨年秋に最新のメジャーバージョン版「JP1 Version 10」を発売して、機能を強化した。システム運用管理ツールは、国内外問わず、複数のITベンダーが製品化している。日立はそのなかでも他社に先んじて開発しており、今年で初期版の発売からは20周年を迎える。多くの大手企業が採用しているが、国内だけでなく中国など、海外での納入も豊富な実績がある。

 「JP1」の機能は、大きく四つに区分される。システム全体を動かす「オートメーション」、システム基盤を支える「ファウンデーション」、システム状況を見る「モニタリング」、IT資産を守る「ITコンプライアンス」というカテゴリをつくり、それぞれで複数のツールを用意。「JP1/ITDM」は、この4カテゴリのなかで「ITコンプライアンス」のカテゴリに入る。

 「JP1/ITDM」は、資産管理とソフトウェアの配布、セキュリティ対策の機能をもつ。端末のハードとソフトの情報を自動収集・把握し、端末に対してソフトウェアを自動配布・インストールできる機能を備える。セキュリティの面では、OSのセキュリティパッチの適用状況やウイルス対策ソフトの定義ファイルのバージョンを把握できる機能がある。許可していないUSBデバイスの利用を制限したり、検疫ネットワークを構築したりすることもできる。

 「JP1」の資産管理製品は、以前のバージョンでは各機能ごとに製品を分けていたが、ユーザーの利便性を考えて、2011年秋以降はすべての機能を統合した「JP1/ITDM」に変更した。このことで「全機能を一つの管理ツールで操作・管理することができるようになった」(情報・通信システム社ITプラットフォーム事業本部ソフトウェア本部の市川孝子・ITマネジメントソリューション開発部主任技師)。ライバル製品が多く、競合が激しいが、市川主任技師は「わかりやすい操作画面とシンプルな操作方法で差異化している」と、製品の特色を説明する。1サーバーで5万台の端末を管理することができる大規模システム対応も強みになっている。

MDMサービスとの連携動作を実現

 「JP1/ITDM」は、MDM(モバイルデバイス管理)システム・サービスとの連携もポイントだ。昨秋に発売した「JP1ブランド」のMDMサービス「JP1スマートデバイス管理サービス」や、米MobileIronのMDMシステムとの連携動作が可能だ。MDMシステム・サービスから資産情報を収集し、万が一、デバイスを紛失した時に遠隔地から端末を操作できなくしたり、デバイス内のデータを消去したりすることができる。

 「JP1スマートデバイス管理サービス」や、MobileIronのシステムを利用して管理するスマートデバイスの情報も同様にマネジメントすることが可能だ。「JP1/ITDM」で、パソコンとスマートフォン、タブレット端末を問わずに、一元管理することができるというわけだ。「ユーザー企業は、パソコンもスマートデバイスも同じツールで管理することを望んでいる」(市川主任技師)というニーズを捉えて、連携動作を実現した。

 市川主任技師は販売戦略について「これまでと変わらず、システム案件への提案やパートナーとの協業で販売を伸ばす」と話したうえで、「『JP1/ITDM』とMDMサービス・システムを組み合わせたソリューションのように、今後は、パートナーや他社との連携・協業も視野に入れ、市場ニーズにマッチした製品・サービスの提供、パートナーとの顧客価値の協創など、単純な再販とインテグレーションビジネスだけでなく、新たなビジネスを創造していきたい」としている。

 初期版の発売以降、20年の節目を迎えた「JP1」。大規模システムの管理に適しているというイメージが強いが、今後はパソコンやスマートデバイスの管理という面からも注目を集めそうだ。

シンプルで見やすい「JP1/IT Desktop Management」の操作画面。
パソコンやスマートフォン、タブレット端末を一元管理することができる