「BCN AWARD 2014」UPS部門で47.8%のシェアを獲得し、最優秀賞に輝いたシュナイダーエレクトリック。旧エーピーシー・ジャパン時代を含めると、今回で6年連続6回目の受賞となる。無停電電源装置(UPS)の世界的なトップベンダーであるシュナイダーエレクトリックは、独走態勢をさらに盤石なものにしようと、顧客ニーズに応える高性能UPSの提供やパートナープログラムの強化に注力している。データセンター(DC)向けインフラソリューションにも強みを発揮するシュナイダーエレクトリックの営業施策について話を聞いた。
軽量・コンパクト化を実現 顧客ニーズに応える新型UPS
「2013年のコンシューマ向けUPS市場の伸び率は、ほぼ横ばいの状態だった。市場でトップシェアを獲得したとはいえ、シェア拡大の余地は十分に残されている。お客様の要望に応える製品を提供することで、さらなる拡販を目指したい」と、代表取締役副社長 IT事業本部 バイスプレジデントのアルノ・モンディ氏は語る。
市場拡大に向けた取り組みの一つとして、2013年6月、シュナイダーエレクトリックは「APC GS Pro 500」を市場へ投入した。これは、平均8年のバッテリ寿命をもつリチウムイオンを搭載した小型UPSだ。従来モデルに比べて重量を約1/3、サイズを約1/2まで抑えており、「コンシューマ市場で普及することを想定した価格帯」(モンディ氏)を大きなアドバンテージとして訴求している。
「東日本大震災の後、UPSに対するニーズが変化し、コンパクトで扱いやすいものを望む声が大きくなってきた。そのような要望に応える『APC GS Pro 500』は、お客様から好評をいただいている」とモンディ氏は自信をみせる。
単相UPSビジネスでの新規開拓として、シュナイダーエレクトリックがもう一つターゲットにしているのは、ファクトリーオートメーション(FA)である。IT市場を中心とする事業に加えて、今後はFA市場でもシェアを伸ばすべく、提案を強化していく。
「2014年は2ケタ成長」パートナーとの連携がカギに

代表取締役副社長
IT事業本部
バイスプレジデント
アルノ・モンディ 氏 2014年は、もう一つの柱であるデータセンタービジネスでも攻勢を強めていく考えだ。急成長を遂げているDC向けインフラソリューションにおいて、シュナイダーエレクトリックはグローバルではすでにトップシェアを獲得しており、日本でも成長を続けている。今後もさらに新規市場を開拓し、新たな製品群を投入していく。「UPSやDC向けインフラソリューションが好調だが、当社はさらなる成長を目指している。データセンター市場で新規分野を開拓し、2014年は2ケタ成長を狙う」と、モンディ氏の意気は軒昂だ。
全世界で1万5000社以上の販売パートナーとアライアンスを締結しているシュナイダーエレクトリックは、2014年の重要施策としてパートナープログラムの強化も掲げている。
現在のところ、「REGISTERED」「SELECT」「PREMIER」「ELITE」という四つのレベルで構成される「APCチャネルパートナープログラム」を提供しており、今後は営業サポートや技術トレーニングなどの支援策をさらに強化していく。パートナーの新規ビジネスなどをサポートすることで、最上位カテゴリである「ELITE」をさらに獲得していく構えだ。
「当社が成長を続けるためには、パートナー様との連携が不可欠だ。パートナー様には主力商材であるUPSに、ラックやラックマウントPDU、セキュリティ環境監視などを加えることで、提案の幅を広げていただきたい。パートナー様とはWin-Winの関係になれるはずだ」とモンディ氏はパートナー企業に向けてメッセージを送る。
UPSを主軸に、エネルギー管理の分野で世界的なシェアを誇るシュナイダーエレクトリック。同社の次の一手には市場全体の注目が集まっている。
※「APC GS Pro 500」など、各種カタログをダウンロードできます。 
(左から)APC GS Pro 500、Symmetra PX 250/500kW
【Analyst Comment】
2013年のUPS市場は、販売台数・金額ともに安定した推移を示した。平均単価も年間を通して大きな変動はみられなかった。14年4月にはWindows XPのサポート終了と消費税の増税が控えており、パソコンの買い替えと増税前の駆け込みでダブルの需要増が期待できる。UPS市場の需要も喚起される可能性が高い。(BCNアナリスト・森 英二)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。