今年1月、仮想化専用ストレージベンダーのティントリジャパンとディストリビュータのネットワールドがパートナーシップを組んだ。メーカー、ディストリビュータの立場で、それぞれ仮想化に強い企業として知られる両社の“最強タッグ”が誕生し、「第三のストレージ」をコンセプトにストレージ分野で仮想化環境の構築に力を注ぎ、クラウドシステム基盤の柔軟性やパフォーマンスの確保、運用コスト軽減のニーズに応えたソリューションの提供をさらに加速していく。ティントリジャパンの河野通明社長とネットワールドの森田晶一社長の二人に、仮想化環境におけるストレージの今と未来について語っていただいた。(司会・進行:『週刊BCN』副編集長 佐相彰彦)

既存ストレージの概念を覆す「第三のストレージ」の重要性

──まず、パートナーシップを組んだ背景を教えていただけますか。

ティントリジャパン
河野通明
社長
河野 当社は2012年の日本法人設立以来、仮想化環境に特化したストレージ製品を提供しています。直近では、圧縮前と比較して論理実効容量を2倍以上に容量拡張が可能なストレージの新製品「Tintri VMstore T800シリーズ」を1月15日に発売しました。これまで大企業を中心にユーザー企業を増やしてきたのですが、複雑な仮想化環境を簡単に構築できる当社の製品をより多くのお客様に広めていきたいと思っておりまして、ぜひネットワールドさんとパートナーシップを組みたいと考えました。ネットワールドさんは、名実ともに仮想化関連のビジネスに強いディストリビュータで、強力な販売ネットワーク網があるので、ユーザー企業の裾野が広いです。そういった意味で、当社の製品を日本市場に浸透させてくれると判断しました。

森田 設立当初からティントリさんのことは気になっていました。VMwareの仮想マシンをVMDK(仮想マシンディスク)単位で管理運用できる先進的な製品を提供していると理解していました。ただ、先進的であるがゆえにティントリさんの製品の本質的な価値を理解するのに時間がかかってしまいました(笑)。当時は、「仮想化環境に特化しているストレージよりも、通常のSANやファイルストレージのように用途を限定しないほうがお客様のさまざまなニーズに応えることができるのではないか」と考えていました。実際、市場でもSANやファイルストレージのニーズが高かったのです。ところが、「ティントリが提唱する『第三のストレージ』が重要である」と改めて認識するきっかけがあって販売代理店契約を締結することになりました。

テレワーキングの普及が「夢」 ティントリ製品で問題を解決

──『第三のストレージ』の重要性を再認識するきっかけとは何ですか。

ネットワールド
森田晶一
社長
森田 それは、VMwareが「VMware Virtual SAN」「VMware Virtual Volumes」などのストレージソフトウェアを発表したことからヒントを得ました。仮想化環境向けの高度に統合された「Software-Defined Storage」を実現するソフトウェアの登場によって、ブロックベースの「第一のストレージ」、ファイルベースの「第二のストレージ」の時代から、仮想マシンなどの対象オブジェクトを理解・認識する「第三のストレージ」の時代に突入したということです。そのなかで、ティントリさんの製品は、VMwareのVMDKを対象として粒度細かく管理・運用することで仮想化環境の複雑さを解決するストレージです。とくに、VDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ)には有効なストレージソリューションとなります。

 実は私には「夢」がありまして、いつでも、どこでも業務が遂行できる環境を日本に浸透させたい、つまり大企業に加えてSMB(中堅・中小企業)にまで、テレワーキングを普及させたいのです。そのためには、VDIが必須ですが、実際に構築するのは容易ではありません。サーバーの仮想化、ストレージ、ネットワーク、WAN、セキュリティなど、さまざまな技術が必要で、お客様への提案もわかりにくいものになってしまいます。セールスサイクルが数年にわたることも多かったのです。このような問題もティントリさんの製品で大いに改善できます。

ストレージ構築の問題を解決 サーバーでは仮想化が物理を駆逐

──仮想化におけるストレージの現状について教えてください。

河野 仮想化環境では、ストレージの構築で多くの問題が生じます。それらを解決するために、ベンダーはHDDをフラッシュに載せ換えたり、エンジニアたちはチューニングを繰り返したりする必要があるわけです。

 このような状況だからこそ、当社の製品は仮想化環境に特化するにあたって、仮想マシン単位の管理を可能にし、パフォーマンスのチューニングを自動化できるようにしています。今までエンジニアたちが行ってきた作業が必要なくなるわけです。ですので、当社の製品によって、仮想化環境でのストレージ構築は劇的にシンプルになり、運用も効率化すると自負しています。

森田 約10年前、物理サーバーの大きな変化を目の当たりにしました。仮想化ソフトウェアが物理サーバーを変えたのです。仮想サーバーが台頭したために、ある意味で物理サーバーを破壊しました。現在は、ネットワークの世界で同様のことが起きています。Linux搭載のオープンなホワイトボックスのスイッチが出始めています。

 サーバーやネットワークの世界だけでなく、ストレージも仮想化による影響を受けていて、その技術も多様化しています。ただ、サーバーやネットワークのように、今すぐすべてのストレージ技術がx86汎用機上で稼動し始めるとは想定しておりません。実際、仮想化領域でティントリさんは、高機能なストレージを短時間で導入できたり、簡単にVDIを構築したりと、統合された完成度の高い製品を提供しています。「第三のストレージ」のリーディングカンパニーであるティントリさんが今後ますます注目されることは間違いありません。

新しいビジネスの加速へユーザー企業の裾野を広げる

──今までも、お話のなかで出てきてはいましたが、改めて協業のメリットをお聞かせください。

河野 ネットワールドさんとのパートナーシップで、大企業はもちろんのこと、SMBなど当社がこれまで獲得できなかったユーザー企業に製品を提供するルートが確立しました。このことは日本市場での長期戦略の上で大きなアドバンテージになります。しかも、当社の製品を正しく理解して提供してくださる。

森田 ティントリさんの製品は、シンプルで驚異的です。従来のストレージの場合数日かかる作業が、ティントリ製品は箱を開けてから10分程度で使えるようになります。仮想化の知識がない管理者でも、「今、何が起きているのか」を把握でき、運用工数の大幅な削減にもつながります。先ほど、テレワーキングを普及させるのが夢で、それにはVDIが欠かせないと申し上げましたが、当社は夢を具現化して新ビジネスを加速することができます。それが一番のメリットです。

──リセラーをはじめ、パートナーへのメッセージをお願いします。

河野 今回のパートナーシップを新たな契機とし、製品開発を一層強化しています。日本国内のリセラー様の声を開発に反映させ、ユーザー企業の裾野を広げる製品を発売していきます。

森田 広くユーザー企業に価値のある製品・サービスを提供するには、当社のSIパートナー様の力が欠かせません。ティントリさんの製品の販売から設計・構築支援、サポートなどを行うことでSIパートナー様をご支援し、市場の裾野が広がることに大きく期待します。

仮想マシンのストレージ性能を最適化する「Tintri VMstore」


 フラッシュヒット率がほぼ100%で安定稼働する仮想化専用ストレージアプライアンス。数百台から数千台もの仮想マシンが存在する環境でも安定したパフォーマンスを実現する。仮想マシンの稼働状況に合わせた性能チューニングを自動的に実施するほか、ハイパーバイザーの情報をもとに、それぞれの仮想マシンのストレージ性能を定期的に最適化する。ストレージの設定項目が少ないため、パラメータシートを10分ほどで作成でき、複雑なストレージ構成やチューニングをしなくても数分でセットアップが可能。