シミュレーションゴルフ施設「G.NEXT」を運営する上海創作商貿(國立昇吾総経理)は、設立当初から多店舗型の経営を計画していた。店舗数が増えれば、その分だけ業務は煩雑化し、管理に手間がかかるようになる。また、顧客情報の分析によって、経営戦略を練ることも欠かせない。上海創作商貿が打ち出した解決策は、恩梯梯数据英特瑪軟件系統(上海)=NTTデータ イントラマート上海が提供するシステム共通基盤「intra-mart」上に、独自のシステムをつくり上げることだった。
容易にシステムを追加開発できる「intra-mart」ならば
新規店舗の出店時に新たな挑戦ができる

國立昇吾
総経理 上海創作商貿所在地 上海市閔行区虹梅路3213号2F
設立 2015年
業種 サービス業
従業員数 約10人
事業内容 シミュレーションゴルフ施設の運営
URL http://www.g-next.com.cn ●専用パッケージがない 上海創作商貿の運営するG.NEXTは、韓国製の最新シミュレーションゴルフシステム「4SEASONGOLF」を導入し、日本や米国、中国など、実在する45のゴルフコースが体験できる。トレーニング機能も豊富に用意。また、一般的なシミュレーションゴルフ施設とは異なる特徴ももつ。ゴルフシステム以外にも、照明やソファなどの内装にこだわって、個室内で豊富なメニューの料理や飲み物を注文できるなど、パーティー気分でゴルフを楽しめる環境を整備しているのだ。
1号店は、今年7月1日にオープンしたばかり。もともと、上海創作商貿は、貿易事業を手がける日系の親会社が、新規事業として立ち上げた法人だ。設立の背景について國立昇吾総経理は、「日本人の駐在員にとって、ゴルフは、数少ない娯楽の一つだが、コースを回るのには高いお金を払わなければならないし、打ちっぱなしのゴルフ施設に練習に行っても、混んでいてかなり待たされる」と説明。また、中国のゴルフ人口は、総人口の0.08%にあたる100万人規模。これは日本や韓国の6%と比べて低く、今後、ゴルフ人口が大きく増加する可能性がある。

精度にすぐれた最新のシミュレーションゴルフシステム そのため、上海創作商貿では当初から直営店やフランチャイズ店を含め、多店舗の出店を計画していた。國立総経理は、「1店舗だけならば、管理業務はExcelでできるし、紙の台帳で対応できないことはない。しかし、多店舗経営を考えていたので、当初からすべての店舗で同じシステムを導入する方向で考えた」と当時を振り返る。
しかし、上海創作商貿にとってゴルフ施設を運営するのは今回が初めて。事業の立ち上げとあって、ITの担当者は配置していないし、どんなシステムを導入したらいいのかもわからない。パッケージソフトを探しても、シミュレーションゴルフ施設向けの専用ソフトは見当たらない。國立総経理は、「自分たちがやりたいことを実現するためのシステムが欲しかったので、パッケージソフトに業務を当て込むことは避けたかった」と語る。
●カスタマイズ性を重視 その後、國立総経理はシステム共通基盤のintra-martを提供する恩梯梯数据英特瑪軟件系統(上海)に相談。「実現したいことを洗いざらい伝えたが、限られた予算のなかで、スタッフが使いやすく、必要な機能を抑えたシステムを提案してくれた」ことから、intra-martをカスタマイズするかたちでシステム構築することに決めた。
intra-mart上に構築したシステムには、ゴルフ利用者の予約管理や、会員情報管理、来店時の精算管理、売上管理などの機能を実装。予約管理では顧客の予約時間に重複が出ないように、コース(18ホール)予約について、一人あたり18ホールを70分で回る計算で設定といった工夫を凝らした。
オープンから2か月が経過したG.NEXTだが、順調に会員を獲得している。國立総経理は、「システムを含めたすぐれた設備が高く評価されていて、『他のシミュレーションゴルフ施設と全然違う。ここに一度足を運んだら、もうよそには通えないね』といった声をいただいている」と満足げだ。システムに構築してある、会員情報などの分析機能を活用して、顧客満足度を向上するための手を打っていることも功を奏している。もちろん、システム化によって、スタッフは予約管理や売上管理の手間が省け、生産性向上につながっている。
今後、上海創作商貿ではゴルフ用品の物販サイトをはじめ、チャットアプリ「微信(Wechat)」を通じた予約機能、「支付宝(Alipay)」や「銀聯」を通じた電子決済機能なども提供していく方針だ。これは、システム構築時に恩梯梯数据英特瑪軟件系統(上海)から提案を受けたものだ。
すでに、上海創作商貿では来年3月に、江蘇省・蘇州市にG.NEXTの直営2店舗目をオープンする計画を立てている。國立総経理は、「たくさんの店舗を出店した後には、複数店舗が合同でコンペを開催して、そのスコア管理をintra-mart上で行うなど、どんどん新しいことに挑戦していきたい」と、今後の抱負を語る。