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デル OEMレディモデルでパートナー向け販売施策を強化 高性能エントリーモデルストレージ「Dell Storage SCv2000」

2016/04/28 19:55

週刊BCN 2016年04月25日vol.1626掲載

 デルは2016年4月、エントリーモデルストレージとして15年5月にリリースしたインテル Xeon プロセッサー搭載「Dell Storage SCv2000」に、新たにOEMレディモデルを追加すると発表した。同社では近年、代理店向けキャンペーンを展開するなどパートナー向けの販売施策の強化を進めており、OEMレディモデルもその取り組みの一つだという。数年かけて拡充してきた製品ポートフォリオと、サーバーで培ってきた販売やサポートのノウハウを組み合わせて、ストレージ市場にも本格的に存在感を示そうとしている。



十分な機能・性能と導入しやすい価格を両立

守田一也
APJエンタープライズソリューション/
アライアンス
エンタープライズテクノロジスト


 Dell Storage SCv2000は、デルが買収した旧Compellentの製品ラインを受け継ぐ「Storage Center(SC)ファミリー」のうち、最も低価格なモデルとして提供されている。Compellent独自のアーキテクチャにもとづくSCファミリーのなかで、SCv2000はデルが主体で開発し、他のモデルより機能を抑えることでコストダウンを図ったほか、オプションのライセンス体系なども整理し、導入を容易にしたという。

 「導入しやすくする工夫は、エンクロージャのインターフェースにもある。iSCSIやFCだけでなくサーバーとダイレクトに接続できるSASも設定しているため、小規模な環境ならスイッチなしで構築することもできる。また、ウィザード形式の導入支援ツールも用意しており、ファミリー内で本製品のみがパートナーやユーザー自身によるインテグレーションも可能だ」と、守田一也・APJエンタープライズソリューション/アライアンス・エンタープライズテクノロジストは説明する。

 機能を抑えたとはいえ、Compellentのアーキテクチャがもつ仮想RAID機能や完全シンプロビジョニング機能をSCv2000ももっており、これにより最高8万5000超のIOPSという高いパフォーマンスを実現している。また、管理ツールの「Enterprise Manager」は上位モデルと共通で、将来的なデータ移行にも対応が可能だ。

磯林 真
エンタープライズ・ソリューションズ
統括本部 ストレージ・ビジネス本部
ビジネス・デベロップメント・マネージャー


 これらの性能・機能に加え、価格面の競争力が強みだと話すのは、磯林真・エンタープライズ・ソリューションズ統括本部ストレージ・ビジネス本部ビジネス・デベロップメント・マネージャーだ。「インテル® Xeon® プロセッサー搭載のSCv2000はSSD12本構成・3年保守で300万円台と、競合モデルに対する価格の優位性は十分。さらに案件ベースで、個別に価格面の対応をしている。また、これまで当社はストレージの販売施策をあまり行ってこなかったが、最近では代理店向けのキャンペーンを展開するなどパートナーへの支援も充実させてきている」という。

 新たに提供を開始するOEMレディモデルは、この支援策の一環で、サーバーでのスキームをストレージに取り入れ、ディストリビュータが価値を付加して販売する際に使いやすくしたものだ。磯林マネージャーは、「Dellのロゴを外したドライブなしの構成で出荷し、自由にインテグレーションすることができる。当社はストレージ市場では後発であるが、チャレンジャーとして今までにない取り組みを進めていくので、ぜひ注目していただきたい」と話している。

SCv2000ではデルがサーバーで提供しているのと同じようなOEMレディモデルも用意

広範な技術・製品ポートフォリオを武器に
ストレージ事業をさらに強化

 ここ数年、デルはストレージ事業の強化を推し進めており、さまざまな企業を買収しつつ製品ポートフォリオを拡充し、販売を強化してきた。また、それらの既存ユーザーに対しては、同じデルの他ストレージ製品への移行パスも用意しつつある。例えば、同じくデルが買収したEqualLogic製品(PSシリーズ)のユーザーに対しても、このSCファミリーへの移行パスが用意されている。


 デルのストレージ製品ポートフォリオのなかでも、「メインストリームに位置づけられているのがSCファミリー」だという。守田テクノロジストは次のように話す。

 「SCファミリーの最大の特徴は、Compellentの独自アーキテクチャだ。自動階層化を目的として開発された世界で唯一のストレージで、速度や容量の異なるHDD間・SSD間はもちろん、HDD内の内外周の差による速度差、RAID構成による速度差、サーバーやクラウド上のストレージ領域まで取り入れた自動階層化を実現している。SSDの容量単価が急激に低下してHDDと肩を並べる水準となってきた現在、この自動階層化技術が強みを発揮すると考えている」。

 Compellentを日本で広めてきたデル。今後は、EqualLogicなども含めた既存ユーザーを大切にしながら、開発を進めていく方針だ。
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外部リンク

デル=http://www.dell.co.jp/