Special Issue

ジャストシステム創業者の浮川夫妻(現MetaMoJi)が、「働き方改革」に物申す

2017/09/21 11:30

大林組の要望からできた「eYACHO」

――谷畑 さまざまな産業に御社製品が入っている。とくにいまは、建設業向けに注力しているのか。

浮川和宣社長 大林組から話をいただき、現場改善に必要なソフトを共同開発した。建設現場には、野外での記入を想定した縦長で硬い表紙のついた手帳「野帳(やちょう)」というのがあるのを知った。これは、多くの現場で現在も使われている。作業着の胸ポケットに入る大きさの手帳だが、どうやら70年以上も、建設業で使われているツール。ここに現場で起こるすべてをメモする。例えば、朝礼に際して、下請け会社を含め、点呼で実務者を把握したり、進捗状況などを常時メモしている。

浮川初子専務 メモした内容を事務所に戻ってから、キーボード入力でPCに転記している。それで、大林組からお話しをいただいた。図面を見ることはできている。だが、大量導入したiPadの利用率が低いことに悩まれていた。そこで、なにをすれば、使われるようになるかと考えたところ、「野帳」をデジタル化することだった。「野帳」はなんでも書ける。それを同じようにしなければならなかった。

 大林組は、当社の高機能デジタルノート「MetaMoJi Note」に、「野帳」の代わりにフリーハンドで書いていた。現場監督が使っていたが、単にフリーに書けるだけでなく、デジタル化した本物の「野帳」をつくりたいとの申し出を受けた。そこで、さまざまなリクエストに応えるため共同開発して完成したのが、建設業向けアプリ「eYACHO(イーヤチョー) for Business」(http://product.metamoji.com/gemba/eyacho/)だ。

 紙の「野帳」の手軽さをそのままに、デジタルの特性である管理機能を大幅に向上させた。また、建設業だけでなく、他の現場専用アプリとして「GEMBA Note for Business」(http://product.metamoji.com/gemba/gembanote/)を出した。このアプリは「待ったなし」の現場のために開発した。「eTACHO」も「GEMBA」も、「シェア機能」を搭載し、これまでにない画期的なコミュニケーションを実現している。20年開催の東京五輪を控え、建設現場はとても多忙だ。現場にも、危機感が強く、当社の技術力と合わせアプリが完成した。

――谷畑 このほかにも、売れている製品はあるようだが。

浮川初子専務 次世代ペーパレス会議アプリ「MetaMoJi Share for Business」(https://product.metamoji.com/share/)がある。オリジナルのリアルタイム伝搬技術「シェア機能」で、双方向のリアルタイムなコミュニケーションを実現する。会議資料をペーパレス化するだけでなく、発表者機能で会議の進行や議事メモ、録音機能で会議後の振り返りができる。

 紙と鉛筆の代わりができるほどのクオリティで、例えば、多くの人が世界で参加する遠隔会議をしても、サクサクと動き、共有できる。会議中の更新データは、Amazon Web Services(AWS)にインターネットを介して吸い上げている。他社製品は、画面を共有している。当社製品は、画面はイメージ情報であり、データに線を書いたりした情報だけをサーバーに上げて、同期をしている。そのためのプロトコルまでオリジナルで開発した。この技術は、「eYACHO」や「GEMBA」などにも搭載されている。

 文教向けでは、「MetaMoJi ClassRoom」(http://product.metamoji.com/education/classroom.html)というアクティブ・ラーニングを支援するアプリを出している。クラスの生徒40人が同時に協働学習するアプリがあまりないそうだ。文教向けだが、企業でも使われている。
 

浮川和宣社長 当社には、3つの中核技術がある。手書き文字入力「mazec」、自由自在に書き込める「Note」、リアルタイムに情報共有できる「Share」。多くの企業は、iPadなどのタブレットは、ブラウジング用と考えている。当社のコンセプト、技術をフル活用すれば、まったく新しい使い方ができるし、販社は顧客に対し、新しい価値を提案ができる。そして、すでに、さまざまな産業で使われ始めている。

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 浮川夫妻との取材は、2時間におよんだ。ジャストシステム時代から変わらず、その迫力はいまも健在だ。デスクワークをするビジネスパーソンに必要なオフィスソフトを開発したご夫妻が、いま着眼しているのは、PCが行き届かない「現場」だ。ほかに類をみないアプリを揃え、「働き方」の革新を目指している。

 MetaMoJiの浮川和宣社長は、9月22日(金)に大阪の梅田スカイビル スペース36で開催する「BCN Conference 2017 in OSAKA」(主催:BCN)で、「タブレットが開く新しいITビジネス」と題し講演する。
聴講希望者は、以下のリンク先からお申し込みください。
https://reg26.smp.ne.jp/regist/is?SMPFORM=nc-nfogl-c98332aba68c99fe4dfbda5b14502749

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外部リンク

MetaMoJi=http://metamoji.com/jp/