市場のさらなる拡大に向け、パートナー施策を大幅強化

 オブジェクトストレージ市場が拡大している。クラウドストレージの事実上の標準、Amazon S3 APIに完全準拠を目指して開発されたクラウディアンの「HyperStore」は、販売の倍増が続くなど絶好調だ。同社では製品をより広範な分野に売り込むべく、パートナープログラムを刷新し、パートナー獲得を進めている。今年4月に就任した関根悟・営業本部長に「HyperStore」の強み、市場性、パートナー施策について聞いた。

スモールスタートが可能で
多くの操作が自動化

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関根 悟
営業本部長

 

 関根営業本部長は、IT業界における26年の経歴のなかで、ストレージ分野で14年の経験をもつ。過去には、スケールアウト型NAS「アイシロン」の日本法人の立ち上げメンバーであり、レノボやブロケードでチャネルパートナーとのビジネスを拡大してきた。「クラウディアンは日本のオブジェクトストレージ製品市場のリーダー。日本発のベンチャーだが、欧米の顧客数は日本の5倍以上と海外で成功している点に魅かれた」と話す。

 今後のストレージ市場は、オールフラッシュのように高速処理を追求する製品と、オブジェクトストレージのように経済的に大量データを格納する製品とに二極化すると同社ではみている。HyperStoreは、従来のファイルストレージに代わり、年率50%で増加し、データの8割を占める大量の非構造化データの保存に最適な製品だ。

 「従来のファイルストレージは高価で複雑、制約も多かった。HyperStoreは、数百テラバイト以上を対象にする他オブジェクトストレージ製品と異なり、10テラバイトからとユーザーにとって適正な規模からスタートして、ペタバイト超級にまで拡張できる。スケールアウトが容易で導入や運用管理に関わる処理の多くが自動化されている。管理画面やマニュアルも日本語化しているので、運用管理者にとっても使い易い。しかも、専用機ではなく汎用サーバーで利用できるソフトウェアのため、コストが安い」とメリットを語る。
 
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 また、Amazon S3 APIに完全準拠を目指して開発されているので、豊富なAmazon S3対応アプリケーションをそのまま利用できる。「同じS3対応をうたう製品と比べて、対応のレベルが違う」と関根営業本部長は強調する。HyperStoreに格納したデータをAmazon S3、Google、Azureに自動的に転送し階層化するハイブリッドクラウドや、マルチクラウドを実現できる唯一のオブジェクトストレージ製品だという。

パートナーと新分野を開拓
純正アプライアンスも投入

 同社のユーザーは、クラウドストレージサービスを提供するプロバイダやキャリアが中心だったが、最近は大手メーカーやメディア、エンタテインメントへと拡大している。また、シミュレーションやディープラーニングなどの分野での採用も目立つという。ランサムウェア対策など、セキュリティ面からファイルサーバーを置き換える例もある。オブジェクトストレージはアクセスにHTTP(S)ベースのRESTを利用する。ファイルシステムは通常使用しないため安全性が高く、ウェブアプリケーションのように利用できる。ソフトウェア・デファインド・ストレージ(SDS)であるため、パフォーマンスやコストなど、利用目的に合わせたハードウェアの選択が可能だ。

 「HyperStoreのリリースから7年。世界の顧客数が倍増を続けているなど、製品は拡販期に入った」と関根営業本部長。海外は日本と同規模の企業でも、保有するデータ量は3~4倍にもなるため、従来型ストレージでは対応できなくなっている。「国内にもその流れがくる。当社は、100%間接販売であるため、販売強化に向けてパートナーの数を増やしたい。とくに、各インダストリ分野に強いパートナーと組みたい。各分野で2から3社をリクルートすることが目標だ。パートナープログラムも刷新し、パートナーの販売チャンスを拡大しやすい内容にした。また、ディストリビュータ、付加価値販売、単純販売など、販売チャネル構造を階層化していく」との方針を示す。

 注力分野は、エンタテインメントやメディア。他にも、金融、HPC、AIといった分野も有望と考えており、HyperStoreとパートナーがもつサービスや製品を組み合わせたソリューション販売を展開していく。業種特有のもののほか、バックアップやデータのライフサイクルマネジメントなど、多くのユーザーに共通するソリューションを検討している。そこでもオンプレミスのストレージとクラウドサービスを使い分けるハイブリッド環境に容易に対応できるメリットが生きてくるというわけだ。

 拡販に向けたもう一つの目玉が、ハードウェアがセットになったアプライアンス製品だ。関根営業本部長は、「パートナーが容易に販売できるよう、純正アプライアンスを年内中にはリリースしたい。昨今、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)のブームでアプライアンスでの導入を求めるユーザーが増えている。HCI や オールフラッシュ は単価が高く、容量に制約があるため二次ストレージが必須となる。オンラインに置くべきデータの二次ストレージとしてはオブジェクトストレージが最適である。その関連で、オールフラッシュアレイ、HCIの販売を手がけている方々ともタッグを組みたい」との考えを示す。

 これまで同社は、パートナーに技術力を求めてきたが、アプライアンス製品の提供で、取り扱いのハードルも低くなる。パートナーにとっては、従来の専用ストレージを使ったソリューションでコスト的に導入のハードルが高かったSMB市場もターゲットにできる。

 関根営業本部長は、「オブジェクトストレージの市場は必ず拡大するので、ぜひ、取り扱いを始めてほしい。HyperStoreは、従来ストレージのように容量が足りなくなると置換される製品ではない。データの増加に合わせてノードを追加(スケールアウト)し続けてもらえるため、ユーザーと長期の関係を構築できる」とアピールする。

週刊BCN+ 読者アンケート
オブジェクトストレージ製品の利用意向についての意識調査
http://www.seminar-reg.jp/bcn/survey_object-storage/