日系企業のクラウド活用を手足として支えるクラウドゲートウェイに

 ハードウェアは壊れたら買い換えればいい。以前の中国であれば、初期コストを少しでも抑えるためにこうした考え方が一般的だったかもしれない。中国政府が主導する中国製造2025の基本方針の一つには“品質優先”が掲げられている。今後「供給側改革」のもと製造業の過剰生産能力の解消も図られる。大量生産から品質重視へ。中国市場はまさに転換期にある。ヤマハのルータ「RTX820」は故障率0.0x%(※1)を誇る。日本で培われたその高い品質と信頼性は、長期的にITコストの削減を実現する。中国に拠点を構える日系企業にとっても大きなメリットとなる。

高い品質と信頼性が決め手
故障率僅か0.0x%のルータ

 「RTX820」はヤマハが2016年に中国向けにリリースした企業用ギガビットルータの最新機種だ。RTXシリーズ自体は中国で2010年からすでに販売を始め、主に中堅中小規模の事業所で多くの導入実績を持つ。日系企業では日本本社や他の複数の事業拠点とのネットワーク接続に安全で高速なIPsecを構築する目的で利用するケースが多い。特徴は何よりもその高い品質だ。ベースモデルとなる「FWX120」の日本での販売開始から3年間の累計故障率が僅か0.0x%と圧倒的に壊れにくく、その信頼性に優れた高い品質がユーザーの導入を決める大きなポイントとなっている。
 
201710161709_1.jpg
RTX820
故障率0.0x%以下

 「故障したら機器を交換すればいい。ネットワークインフラのトラブル発生に対するそうした中国の対症療法の考え方は、中国製造2025の“品質優先”や“イノベーション駆動”といった基本方針に基づく改革で今後大きく変わると見ています」と小野田氏は話す。

ネットワークの集中管理で
遠隔地から監視・予兆保全

201710161709_2.jpg

小野田 充宏
網絡会議系統企画室
室長

 「RTX820」には故障しにくいという特徴に加え、2つの実用的な機能が備わっている。一つは、ルータの配下に置くヤマハのL2スイッチをコマンドやGUIから制御できるL2MS(Layer2 Management Service)の機能だ。ネットワーク上の接続構成や各ポートのリアルタイムな状態を表示し、ルータとスイッチの一体運用を可能とする。「RTX820」に予め設定さえしておけば、LANケーブルで繋ぐだけで簡単に制御できる。

 さらに搭載するSNMPで遠隔地からでも手軽に集中管理できるため、ネットワーク全体の保守・監視による予兆保全を実現する。「ネットワークの異常時には発生した内容によってメール通知やブザー、LEDライトなどを制御して明かりでアラートを上げることができる。L2スイッチにつながる従業員のパソコンまでも監視の対象にできるため、ルータを頭にして配下のスイッチやその先のパソコンを一体で監視する体制を実現します」(小野田氏)。

 この機能を利用して、中国に進出する日系企業には統括会社やヘッドクォーターが中国国内に複数点在する工場や各事業会社のネットワークの状態を集中管理する活用例が少なくない。さらに最近は、ITガバナンスを強化する日本本社が中国拠点のネットワーク全体を管理・監視する用途も増加しているという。専任のIT管理者を置くリソースが十分にない中国側にとっては業務負荷を大きく軽減できる。

 そして、「RTX820」のもう一つの特徴的な機能が、そのルータ上で独自のプログラムを実行できる点だ。プログラミング言語の一種であるLuaスクリプトを実行できる環境が予め搭載されているため、ファームウェアに手を加えずとも、ユーザーが必要な機能を新たに追加することが可能となる。前述したネットワークの異常時のアラートは、まさにこのLuaスクリプトによって追加した機能の一つだ。

 例えば、許可されていないパソコンによる不正接続の防止や指定したIPアドレスに対する一定間隔のpingに応答がない場合などの通知、またWebアプリケーションを利用する際の認証システムといったセキュリティ対策をはじめとする様々なカスタマイズ機能がルータ上で実行できる。独自のスクリプトはもちろん、数多くのサンプルプログラムがヤマハのWebサイトでも公開されており、自由に利用が可能だ。

4つのSFPポートを搭載した
コスパに優れたL2スイッチ

 「RTX820」とともにネットワークの一体運用を実現するのが、中国では今年7月にリリースした「SWX2100-24G」だ。その特徴は、廉価なアンマネージドスイッチでありながらも光ファイバーに対応するSFPポートを4つも備えている点だ。
 
201710161709_3.jpg
SWX2100-24G

 もちろん、シスコなどの高機能なマネージドスイッチであればSFPポートはある。だが、「広大な工場敷地内の施設間やフロアが異なるオフィス間をつなぐといった用途だけにマネージドスイッチは高価過ぎる。一方、個人ユースを想定した廉価なアンマネージドスイッチでは障害やセキュリティのリスクがある。広大な工場内やオフィスビル内を光ファイバーでつなぐ用途に、SWX2100-24Gは抜群のコストパフォーマンスを発揮します」と小野田氏はその価値を説く。なお、SWXシリーズにはマネージドスイッチ並みの機能を持つ上位機種のスマートL2スイッチ「SWX2200-8G」と「SWX2200-24G」を中国で展開している。

 「企業がITインフラとしてクラウド環境を一段と活用する上で、ヤマハのネットワーク機器はそれらを確実につなぐクラウドゲートウェイとして、その手足となります。中国に拠点を構える日系企業の皆様に対しては中国国内はもとより、日中間の様々なクラウドの活用シーンにお役に立ちます」(小野田氏)。Microsoft AzureやAWS、ニフティクラウドといったクラウドサービスとは接続検証済みで、現在はアリババの阿里雲とも検証を進めている。
 

スターティア上海/上海思达典雅信息系统有限公司
日中間のインターネット・クラウド(AWS)利用をより快適に

201710161709_4.jpg

柴田 淳
スターティア上海
董事長

 スターティアが提供する「Global Gateway」(※2)は、日本と中国の間を結ぶ中国電信の回線を利用したインターネット通信サービスだ。日中間の一般的なインターネット回線は細く、中国に拠点を構える日系企業が日本本社のサーバーやクラウド環境にアクセスするビジネスユースには課題となる。とはいえ、月額数万元と高コストな国際専用線の導入は一部の大手企業に限られる選択肢だ。「専用線よりも安価に、一般的なインターネット回線よりも10倍(※3)の速度で快適な通信を実現します」と柴田氏はメリットを説明する。

 導入方法は至って簡単だ。ユーザーは、適切な経路を選択するよう予め設定したヤマハのルータ「RTX820」をオフィスに設置することで、スターティアが提携する中国電信の回線を通じて日本のインターネット網につながる。1ユーザー月額500元(初期費用別、2名以上から利用)とリーズナブルだ。これまでに累計数百社の導入実績を誇る。

 一方、ITインフラにクラウドを利用する機運はますます高まるばかりだ。加えて、グローバルに事業展開を拡大する日系企業の中には、海外拠点に対するITガバナンスを強める傾向もあり、日本本社が基幹システムや様々な業務アプリケーションのプラットフォームを用意するケースはよく耳にする。他方で比較的規模の小さな事業所にとっては、中国側で独自のIT投資も難しく、同様にインターネット経由で日本本社のシステムを利用する例は少なくない。

 こうした背景を受け、スターティアはこの9月に中国のアマゾン ウェブ サービス(AWS)のシステムを提供する有力なプレミアパートナーと提携。新たなサービスの提供を開始する。「Global Gateway」同様、事前にAWSへのルーティングを設定したヤマハのルータを通じてアクセスすることで、ユーザーは中国版AWSへはもちろん、日本本社が契約するグローバルなITインフラとしてのAWSも快適に利用できる。AWS への専用ネットワーク接続を簡単に確立する「AWS Direct Connect」に近いイメージだ。「日中どちらで契約するAWSも、まるで社内に立てたサーバーのように高速かつセキュアに利用できる」(柴田氏)。将来的にはMicrosoft Azureなど他のクラウドもサービス対象とする予定だ。


※1 ベースモデル「FWX120」の日本で販売開始から3年間の累計故障率
※2 Global Gatewayはスターティアが提携する中国電信代理店が通信サービスを提供し、スターティアはルータ機器の導入とサポートを行います
※3 スターティア調べ。ユーザーのオフィスでインターネットスピードが0.4Mbpsから5Mbpsに改善したことを確認しています

 
週刊BCN+ 読者アンケート
「中国における日系企業のIT利活用に関するアンケート」
https://www.weeklybcn.com/survey_china/