大塚商会上海/欧智卡信息系统商貿(上海)有限公司

 中国に進出する日系企業を対象に、ITインフラの構築からシステムの導入、運用保守までをトータルで提供している大塚商会。中国においても日本品質を提供するというコンセプトにより、ユーザーの信頼を獲得してきた。中国の人件費が高騰してからは、日系企業がIT関連の人員を削減する方向にあるため、IT部門の役割を大塚商会上海で担うケースが出てきている。中国事情を考慮したセキュリティ対策も好評で、身近なビジネスパートナーとしての評価は日本と変わらない。

中国5拠点で日系企業を支援

 2003年に上海に拠点を設立した大塚商会。中国に進出する日系企業を対象に、中国と日本の情報格差をなくすことを目的に、ITサービスやCAD関連の提供からスタートし、ユーザーニーズに応えることで事業を拡大してきている。「CAD/CAM/CAEソフトウェアは、日本と同じものを正規代理店として提供している数少ない企業。営業担当者だけでなく、技術者を抱えているのも、当社の強みとなっている」と、岩宮宏総経理はCAD関連の提案に自信をみせる。以前は日本で設計し、中国で生産という日系企業が多かったが、最近は中国国内で設計し、中国で生産、販売をするという中国完結型のケースが増えているという。市場としての中国の重要性を日系企業が強く意識している結果でもある。それゆえ、CAD関連の手厚いサポートは、ユーザーから高い支持を得ているという。ちなみに、「中国と日本の情報格差をなくす」とは、日本品質のサービスを中国においても提供するということだ。

 中国に新規で進出する日系企業に対しては、事務所の開設に向けた事前準備から、オフィスで使用する機器の調達、ソフトウェアの導入など、トータルでサポート。既存事務所に対しては、ITインフラの再構築や機器、ソフトウェアの運用管理などを提供している。また、クラウドサービスや包括的なセキュリティサービスなど、日系企業のニーズに応じて、適切なソリューションを提供している。

 現在では上海に加え、蘇州、大連、広州、天津の5拠点を展開。日系企業を対象にサービスを提供しており、大塚商会がこだわる日本品質の評価は高い。これまで支援してきた日系企業は、2600社を超える。

日系企業の課題解決に注力

 ITトータルソリューション、サービス・サポートをワンストップで提供し、実績を積み上げてきている大塚商会上海だが、最近では中国に拠点を構える日系企業のIT部門としての役割を期待されることが多いという。その背景について、岩宮総経理は次のように説明する。
 
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岩宮 宏
董事 総経理

 「ビジネス環境の変化が激しいことから、中国拠点の事務所などは適切な人員を考慮し、本来の事業に集中するための人材配置になっている。その影響から、IT部門の日本人スタッフは減少傾向にある。一方で、日系企業が自社に適したIT人材を中国で確保するのは容易ではない。中国では人材の流動性も高い。こうした事情から、IT関連の運用管理を丸ごとアウトソーシングしたいという要望が増えている」。

 中国の社会事情とユーザーニーズの変化が、大塚商会上海が注力している日本品質のサービス提供にマッチし、IT部門の単なるアウトソーシングの役割を超えたパートナーとして存在感を増している。

 「現地で採用したスタッフによるIT部門の場合、日本の本社に報告するかどうかの判断が、日本人の感覚とずれるケースがある。報告がないため、何か起きるまで気づかない。そういった面を不安視して、当社にアウトソーシングを依頼するケースもある」と岩宮総経理は語る。大塚商会上海は、保守サービスを通じて、現地のシステム管理状況の「見える化」もサポート。日本本社において、中国現地法人のIT運用状況を瞬時に把握できるようにしている。

 また、中国特有の法律やIT規制については、日本本社のIT部門からきたスタッフには対応が難しい。例えば、インターネットアクセスに関する規定では、60日分のログを保存する必要があるが、どのようなツールでどのように管理すべきかというノウハウは、多くの日本企業がもっていない。ほかにも、暗号化製品を利用する場合は使用申請が必要など、IT関連には注意すべき点が多い。大塚商会上海は、これらの現地のルールに則ったITの運用を含むサポートを展開している。

人件費高騰には業務効率化

 「多くの日系企業には、ITを活用してビジネスを改善できる余地がまだまだ多い」と、岩宮総経理は感じている。

 多くの日系企業は当初、安い人件費を目あてに中国に進出した。人件費が安い場合、ITに投資するよりも、人海戦術のほうが有効との判断が成立する。IT投資が不十分なのは、そのためだ。

 ところが、中国では経済発展に伴い人件費が高騰し続けているため、日系企業も変化が求められている。人海戦術では、むしろ高コストになってしまう。岩宮総経理が、IT活用によるビジネス最適化に可能性を見出しているのはそういった背景があるからだ。

 単純に人件費だけで判断するなら拠点を別の国に移すことになるが、中国からの撤退は容易ではないという事情があるうえ、これまでの設備投資やノウハウをもった社員の存在を考慮すると単純には結論を出せない。であるなら、中国において、IT活用による業務効率化を推進する方法が得策といえる。岩宮総経理は「最近ではAI、IoTなどのキーワードが多いなか、基盤となる部分が中国ではまだまだ出来ていない企業がある。現地化するうえで現地ITの見える化も必要だ」と指摘する。

 大塚商会上海では、コミュニケーションツールやさまざまなクラウドサービスの提供により、日系企業の業務効率化をサポートしてきた。「日系企業がどのような課題を抱えているのか。何に困っているのか。当社は常にそう考えて取り組んできている。業務効率化に関する提案にも自信がある」と、岩宮総経理は高い品質のサポートを約束する。

 加えて、日本で大きなトレンドとなっている働き方改革においても、IT活用が不可欠であり、業務効率化に共通する取り組みでもある。いち早く働き方改革に取り組んできた大塚商会だけに、そのノウハウを中国でも積極的に展開している。

日本品質のセキュリティ対策

 IT活用において不可欠なのは、セキュリティ対策だ。岩宮総経理は、「中国ではウェブを経由したウイルス感染が多い。業務中にもかかわらず、業務とは関係のないウェブサイトにアクセスすることに抵抗感のない人も少なくない」と中国の状況を説明する。企業としてはウイルス対策をしているものの、不正コピーのソフトウェアが入っている個人所有のPCを持ち込まれてしまうなど、セキュリティ対策が追いついていない実情もある。

 「最近では、ランサムウェアが大きな問題になりつつある。今年の5月に猛威を振るったランサムウェアの『WannaCry』は、中国でも多くの感染例が報告されていて、話題になった」(岩宮総経理)という。

 日本では、セキュリティ対策が進んでいることもあり、WannaCryの被害は少なかった。とくにWannaCryが標的とするグローバルIPアドレスは、日本ではほとんどの企業が端末で使用していない。一般的にローカルIPアドレスを使用しているため、感染が少なかったとされる。一部の企業がWannaCryの被害を受けて話題となったが、海外拠点で端末が感染し、企業内ネットワークを通じて日本に被害をもたらせたケースが多いといわれている。つまり、海外拠点のセキュリティ対策は見落とされがちなのである。WannaCryの被害が多かったとされる中国に拠点をもつ企業は、今回は被害を受けなかったとしても、ランサムウェアは常に進化しているため、油断はできない。

 また、機密情報の管理という点においても、セキュリティ対策が重要になる。「スタッフが故意に機密情報を持ち出すというケースが頻発している。とくに、製品図面や研究成果など、企業にとって極めて重要な機密情報は、決して持ち出せないようにしなければならない。それにはデータを暗号化したり、アクセス権限を厳密に設定したりする必要がある。アクセス権限を悪用されないよう、ログを収集するといった対策も有効だ。ほかにも、業務や業態によって、必要とされるセキュリティ対策は変わってくる。日本の常識が通じるとは限らない。日本にいると気づかないリスクがあることを知っておいてほしい」と、岩宮総経理は指摘する。

 スタッフに悪意がなくても、セキュリティに対する意識が低ければ、情報漏えいの可能性が高まる。そのため、スタッフのセキュリティ教育も不可欠だ。「IT部門の日本人スタッフが減る傾向にあるなかで、セキュリティ対策は重要なIT施策の一つとなる。セキュリティ教育によって現場の意識を高めつつ、新しいセキュリティソリューションでさまざまな脅威から情報を守らなければならない」。ある意味、日本におけるセキュリティ対策以上の厳密さが求められるといえよう。

 そこで大塚商会上海は、ランサムウェアへの対策や、ビジネスを守るための対策として、セキュリティやバックアップなどのITソリューションの展開にも注力している。また、IT部門の日本人スタッフが減少傾向にあることから、セキュリティ対策においても、運用管理を請け負うマネージメントサービスを展開している。

 大塚商会上海は、日系企業ではセキュリティ対策が急務との考えから、11月に上海と蘇州で「今、必要なセキュリティ対策と最新のIT活用術とは!?」をテーマにセミナーを実施した。
 

セキュリティをテーマに上海でセミナー

【上海発】大塚商会の中国現地法人である欧智卡信息系統商貿(上海)(岩宮宏総経理)は11月15日、上海市で「今、必要なセキュリティ対策と最新のIT活用術とは!?」と題したセミナーを開催した。日系企業のマネジメント層や情報システム担当者を中心に約40人が参加した。
 
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デモを交えながらわかりやすく解説した

 欧智卡信息系統商貿(上海)は2003年に設立。現在の従業員数は約55人で、上海、蘇州、大連、広州にサービス拠点を構える。現地の日系企業をターゲットに絞って、ITインフラの構築から導入、運用保守まで一連のサービスを提供している。

 今回のセミナーは、「Windows 10」「ITを活用したコミュニケーション術」「セキュリティとバックアップ対策」の三つをテーマに、大塚商会の担当者がデモンストレーションを交えて講演した。17日にも同社は江蘇省蘇州市で同様のセミナーを開催した。