ストレージ市場の新星、米Cohesity(コヒシティ)が日本に上陸した。一次代理店のネットワールドと共に、国内市場での本格提供に乗り出す。“ハイパーコンバージド型セカンダリストレージ”と銘打つ「Cohesity」のすごさとは。10月11日に開催された「Cohesity Secondary Storage Day 2018」で徹底解説した。

サイロ化、非効率、不透明の3課題

 「これまでのストレージへの保存の仕方は、あまりにも原始的。Cohesityはこの状況を革新する」。イベント冒頭、ネットワールドの森田晶一社長の挨拶に続いて登壇した米コヒシティのモヒット・アロンCEOは力強く宣言した。
 
ネットワールド
社長
森田晶一氏

 アロン氏は、かつてグーグルで「Google File System(GFS)」の開発を統括し、その後、ニュータニックスの創業メンバー/CTOとして「ハイパーコンバージェンス」のコンセプトを生み出した人物。そんなアロン氏が原始的だと指摘するのは、企業のストレージ容量の約8割を占めるとされる「セカンダリストレージ」だ。
 
米コヒシティ
CEO
モヒット・アロン氏

 セカンダリストレージとは、バックアップ、アーカイブ、開発/テスト、オブジェクトストレージ、アナリティクスなどに使われる2次的なストレージのこと。SLA(サービス品質保証)を要するような基幹業務システムなどに用いられる「プライマリストレージ」と比較してこう呼ばれる。

 セカンダリストレージの現状の課題として、アロン氏は「サイロ化」「非効率」「不透明」の3点を挙げる。用途ごとに複数のベンダーのストレージを使い分けることでデータがサイロ化してしまうことに加え、どこにどんなデータがあるか分からないという不透明な状態も発生する。また、用途ごとに余裕を持って容量を割り当てる(オーバープロビジョニング)と、容量効率が低下してしまうことにつながる。
 

SDSで実現した単一のプラットフォーム

 こうした課題を解決するものとして同社が開発したのが、ハイパーコンバージド型セカンダリストレージ製品「Cohesity DataPlatform」だ。

 Cohesity DataPlatformは、ソフトウェア定義型ストレージ(SDS)技術を活用し、多数のストレージノード群で構成されるクラスター全体を、単一のプラットフォームとして統合することができる。管理インターフェース「Cohesity Helios」を通じてセカンダリストレージ全体を管理でき、アナリティクスなどの新アプリケーションをプラットフォームに直結できるという利点がある。

 また、Cohesity DataPlatformはデータ格納領域を統合管理することで、サイロ化・非効率・不透明といった従来の課題を解決する。重複排除とデータ圧縮の効果がセカンダリストレージ全体にかかるので、容量効率もきわめて高い。

 さらに、Cohesity DataPlatformはクラウドにも標準で対応。クラウドへのバックアップやアーカイブのほか、階層型ストレージ管理(HSM)、災害復旧(DR)目的のレプリケーション(複製)なども容易に実現できる。
 

売上高は対前年比350%超で成長

 製品の市場投入に当たり、米コヒシティは漸進的なアプローチをとる。アロン氏は、「お客様に混乱を生じさせることがないよう、まずはデータ保護とクラウド統合を訴求する」と説明。その後、「ファイル共有とオブジェクトストレージ」「開発/テスト」「アナリティクス」へと拡大していくとしている。
 
米コヒシティ
副社長
ワールドワイドチャネル営業担当
トッド・パルマー氏

 米コヒシティの副社長でワールドワイドチャネル担当のトッド・パルマー氏は、「売上高は対前年比で350%を超える」と胸を張る。2018年6月には、ソフトバンク傘下のビジョン・ファンドから2.5億ドル(約280億円)の資金を調達。なお、ソフトバンクは、日本国内で初めてのコヒシティ製品ユーザーにもなっている。

 同社は、販売パートナー向けの支援策にも力を入れる方針。パルマー氏は、無償トレーニング、ハンズオンラボ、マーケティング支援、インセンティブプログラム、クラウドサービスプロバイダー向けプログラムなどを提供すると話した。日本担当の販売体制も、19年度中に整える予定としている。
 

アプライアンスとソフトウェアを用意

 Cohesity Data Platformのより詳細な製品技術については、米コヒシティのシニア・セールス・エンジニアの岩本直幸氏が解説した。製品の中核は「『SpanFS』と呼ばれるマルチプロトコル対応の独自の分散ファイルシステムにある」と岩本氏は話す。SpanFSは、SMB、NFS、S3のマルチプロトコルに対応。グローバル重複排除やノード間をまたいだストレージプールの作成が可能だ。
 
米コヒシティ
シニア・セールス・エンジニア
岩本直幸氏

 また、Cohesity独自のアプリケーション機能として、スナップショットの「SnapTree」とバックアップの「DataProtect」を用意。

 このほか、コンプライアンス確保用のWORM、品質管理のQoS、データ検索、暗号化などの機能も標準で搭載されている。

 製品はアプライアンスとソフトウェアの2形態で提供する。アプライアンスは、2Uのきょう体に4ノードを搭載可能な「C2000シリーズ」と、1ノード当たり最大183.68TBの容量を持つ「C3000シリーズ」の2種類。ソフト単体としては、仮想環境向けの「Virtual Edition」とクラウド向けの「Cloud Edition」の二つがリリースされている。Virtual Editionは、「Cisco UCS」「HPE ProLiant」「Dell EMC PowerEdge」などのサーバーで動作確認済み。Cloud Editionは「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform(GCP)」で動作する。
 
ネットワールド
SI技術本部
ストレージ基盤技術部
ストレージソリューション2課
松村達也氏

 特に優れているのが、クラウドへの対応。主な機能には、ブロックデータやオブジェクトデータをクラウドにバックアップ/アーカイブする「Cohesity CloudArchive」と、コールドデータ(使用頻度が低いデータ)などをクラウドで長期保管する「Cohesity CloudTier」がある。

 さらに、Cohesity DataPlatformの「Ver.6.0」では、オンプレミス側のデータをクラウド用の仮想ディスクに変換してクラウド側の仮想マシンをリモートで自動起動する「Cohesity CloudSpin」も登場。ネットワールドのSI技術本部ストレージ基盤技術部ストレージソリューション2課の松村達也氏は、「管理コンソールのLaunchボタンをクリックするだけで、仮想ディスクへの変換、クラウド移行、仮想マシン起動といった一連の処理ができる」といい、その様子を動画を使ってデモンストレーションした。
 

販売店向け支援策を準備

 ネットワールドは今年2月、米コヒシティと一次代理店契約を結んだ。ネットワールドはコヒシティ製品の国内展開に当たり、「セカンダリストレージという概念の周知と認知度向上」と「日本市場におけるコヒシティ製品のシェア拡大」の二つを目標に掲げる。ネットワールドの営業本部ストラテジック・プロダクツ営業部の宮本隆史氏は「この目標を達成するためには、販売店の方々の協力が不可欠だ」とした上で、パートナー支援策を紹介した。
 
ネットワールド
営業本部
ストラテジック・
プロダクツ営業部
宮本隆史氏

 一つが、10社限定の「Cohesityエリートプログラム」。「皆さんのビジネスプランを見せていただくとともに、できれば専任の担当者を割り当てていただきたい。“市場を開拓する志”を示された販売店を、当社は全力でフォローさせていただく」と宮本氏は強調。特典の一つとして、先着で検証用デモ機を8割引きで提供するという。

 また、Cohesityを取り扱う全販売店を対象にしたセールスコンテストを実施する。成績優秀な販売店向けの懸賞として、商品券や米コヒシティの役員向け研修施設ツアーなどを用意する。

 企画担当者向けには、イベントの開催や販売資料の制作を支援する。さらに、エンジニア向けには、各種トレーニングや共同検証メニューも用意。現在、米コヒシティが作成したトレーニング用教材の日本語化を進めているという。共同検証では他社のプライマリストレージやパブリッククラウドと組み合わせた複合試験にも対応しているため、より現実に近いかたちでの検証が可能だ。また、Cohesity DataPlatformを納入しようとしている販売店は、ネットワールドの検証施設「プリ・インテグレーション・センター(PIC)」や「GARAGE」も利用できる。

 このほか、Cohesity DataPlatformを組み込んだシステム構築に自信がないという販売店については、構築をネットワールドが有償で請け負うことも可能。「Cohesityの資格認定プログラムが始まった暁には、“家庭教師”として、取得をご支援することも考えている」と宮本氏は語った。

 

編集長の眼

 近年のHCI市場の成長が象徴的だが、SDxの波は大きくなる一方だ。企業が持つストレージはバックアップや開発環境、ファイルサーバーなどが多くの容量を占めているが、「セカンダリストレージ」と呼ばれるこの領域向けにSDS製品を提供する米コヒシティは、市場のディスラプター(破壊者)になる可能性を秘めているように思える。セカンダリストレージのサイロ化を排し、データマネジメントの効率化、高度化を図るという製品コンセプトは今日的な企業ITのニーズにマッチしているといえるだろう。市場開拓の戦略も無理がない。多彩な機能を最初から前面に押し出すのではなく、まずはユーザーの既存バックアップソフトのデータ格納領域としてコヒシティ製品を使ってもらい、バックアップ用途で入り込んだ後に段階的にユーザーのセカンダリストレージを置き換えていくという。こうしたベンダー・製品をいち早く開拓し、日本市場でのビジネス立ち上げを主導するネットワールドの目利き力も光る。